(目的) 内分泌療法中の前立腺癌患者におけるホットフラッシュ (HF) に関する臨床報告は欧米では数多く認められるが, 本邦における報告は数少ない. そこで内分泌療法中の前立腺癌患者におけるHFの出現頻度および臨床因子との関連を検討した.
(対象と方法) 対象は内分泌療法中前立腺癌患者68例である. 患者の治療内容は, LH-RHアナログ単独症例 (LH-RHA群) が22例, LH-RHAおよび非ステロイド性アンチアンドロゲン剤併用症例 (LH-RHA+NSAA群) が30例, LH-RHAおよびステロイド性アンチアンドロゲン剤併用症例 (LH-RHA+SAA群) が9例, LH-RHAおよびリン酸エストラムスチン併用症例 (LH-RHA+EP群) が1例, 両側精巣摘除術単独症例 (O群) が5例, O+NSAA群が11例, O+SAA群が1例である. 方法は一定の自己記入式アンケート調査を行い, HFの出現頻度, 臨床的因子との関連, およびSAAや漢方薬のHF抑制効果を分析した.
(結果) 全体のHF出現頻度は37%であった. 治療内容別の内訳はLH-RHA群が36%, LH-RHA+NSAA群が45%, LH-RHA+SAA群が13%, LH-RHA+EP群が0%, O群が20%, O+NSAA群が45%, O+SAA群が100%であった. またHFの出現と臨床的因子との有意な関連は認められなかった. 一方HFの抑制効果に関しては, SAAで治療した4例中3例, 漢方薬で治療した3例中2例が4週間後にHFが消失した.
(結論) 本邦の内分泌療法中前立腺癌患者おいても欧米同様, HFは大きな副作用であることが示唆された. またSAAや漢方薬はHFの治療に有用であると考えられる.
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