日本泌尿器科学会雑誌
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95 巻, 6 号
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  • 岩本 晃明, 柳瀬 敏彦, 高 栄哲, 堀江 均, 馬場 克幸, 並木 幹夫, 名和田 新
    2004 年 95 巻 6 号 p. 751-760
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 日本人成人男子の血清総テストステロン (総T) および遊離テストステロン (遊離T) の基準値を設定すること.
    (対象と方法) 健常に日常生活を営んでいる年齢20歳から77歳の男性1,143例を対象とした. 採血時間は総Tおよび遊離T共に日内リズムを認めたことから高値で比較的安定に推移する午前中に実施し, 分離した血清検体は測定まで-20℃保存した.
    (結果) 総Tの基準値は加齢の影響が小さかったことから全データを一括して2.01~7.50ng/mL (平均±2SD) と設定した. 一方遊離Tは加齢の影響を強く認めたことから10歳毎の年齢階層別に群別して, その基準値 (平均値±2SD) を求めた. 20歳代は85~27.9pg/mL, 30歳代は7.6~23.1pg/mL, 40歳代は7.7~21.6pg/mL, 50歳代は6.9~18.4pg/mL, 60歳代は54~16.7pg/mL, 70歳代は4.5~13.8pg/mLと設定した.
    (結論) 日本人成人男子の総Tおよび遊離Tの基準値を設定した. また, 遊離Tについては, 基準値とは別に20~39歳の若年成人平均 (YAM: Young Adult Mean) 値を求め, このYAM値の80% (124pg/mL) および70%値 (10.9pg/mL) を, 男性ホルモン補充療法の参考適用値として提示した.
  • 福原 慎一郎, 横山 昌平, 蔦原 宏一, 森 直樹, 原 恒男, 山口 誓司
    2004 年 95 巻 6 号 p. 761-765
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) Combined Androgen Blockade (CAB) 療法施行中の前立腺患者に認められた hot flush (HF) に対するリン酸エストラムスチンナトリウム (EP) の治療効果について検討した.
    (対象・方法) CAB療法施行中の前立腺癌患者のうち, HFが3ヵ月以上継続し, HFに対する治療を希望した7例にEPを1日280mgあるいは140mgを症状が軽快するまで投与した. 治療効果は hot flush score で判定した.
    (結果) hot flush score の減少率は平均86%であり, 全例が50%以上の減少率を示した. 血栓塞栓症など重篤な副作用は認めなかった.
    (結論) EPは前立腺癌CAB療法中のHFに対して有用な治療であることが示された.
  • 曽我 倫久人, 杉村 芳樹
    2004 年 95 巻 6 号 p. 766-772
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 排尿障害は年齢依存的に発生し, 高齢者の quality of life (QOL) を著しく障害する. 本研究では, 検診受診者を対象として加齢に伴う下部尿路症状および排尿状態の変動を検討した.
    (対象と方法) 男性225名 (20~79歳) において, International prostate symptom score (IPSS), QOLスコア, 尿流量測定, 経腹的超音波による前立腺容量, 残尿量を評価した. また, 女性539名 (20~89歳) においてIPSS, QOLスコアを調査した.
    (結果) 男女とも, 排尿障害を有する比率は年齢依存的に増加した. 男性においては, QOLスコアは増加する傾向があり, IPSS, 前立腺容量ならびに残尿量が有意に増加し, 排尿量, 最大尿流率は低下した. QOLスコアとIPSS各項目との検討において, 残尿感, 尿勢低下と強い正の相関を示した. 最大尿流率とは負の相関を認めた. また, 前立腺肥大症診療ガイドラインによる症状分類を用いると, 中程度とされる比率が年齢依存的に有意に増加した. 一方, 女性のQOLスコアには大きな変動はなく, IPSSも軽度の上昇を認めるのみであった. 2時間以内の頻尿と, 残尿感, QOLスコアは強い正の相関を示した.
    (結論) 今回の検討により, 男女とも年齢依存的な下部尿路障害を認めた. とくに, 男性では前立腺肥大症治療の適応とされる中程度症状が, 50~60歳代の約半数に認められ, 加齢に伴うさらなる下部尿路症状の悪化が予想された.
  • 佐々 直人, 松浦 治, 上平 修, 磯部 安朗, 木村 恭祐, 近藤 厚生
    2004 年 95 巻 6 号 p. 773-776
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    患者は72歳男性. 肉眼的血尿を主訴に当科を初診した. 既往歴として, 27歳のときに左腎結石に対して左腎摘出術を受けていた. 尿細胞診にて Class IIIb を四度繰り返した. 我々は入院下に膀胱内ランダム生検及び右側逆行性腎盂造影を行ったが, 明らかな出血点, 悪性所見を認めなかった. 2ヵ月後, 再び肉眼的血尿となり, 膀胱鏡にて残存する左尿管よりフィブリン塊の漏出を認めた. CTにて膀胱近傍に腫瘍塊を認め, 残存尿管腫瘍と診断し, 残存尿管摘出術を施行した. 病理学的診断は未分化癌であり, 残存尿管に発生した未分化癌の報告は本邦一例目であった.
  • 石黒 伸, 池田 哲大, 島本 憲司, 丹司 望, 大岡 啓二, 横山 雅好
    2004 年 95 巻 6 号 p. 777-780
    発行日: 2004/09/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    腎移植後に発症した, サイトメガロウイルス (CMV) 感染が原因と考えられる急性胃潰瘍の1例を報告する. 症例は48歳, 男性. 献腎移植術後30日目より心窩部の不快感および疼痛を訴えたため胃内視鏡検査を施行. した. 肉眼的には急性胃潰瘍の診断であり, 胃粘膜生検の病理学的診断はCMV感染による胃潰瘍と診断された. 術後57日目よりガンシクロビルを投与開始し, 計2週間投与した. その間, CMV-antigenemia が陽性となることはなかった. ガンシクロビル投与とともに徐々に胃部症状は改善した. レシピエントが術後, 消化器症状を呈し, 急性胃潰瘍が疑われた時は, 薬剤性・ストレス性・ピロリ菌感染以外に, CMV感染も必ず念頭に置く必要があると思われる.
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