日本泌尿器科学会雑誌
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96 巻, 1 号
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  • 岩村 博史, 根来 宏光, 諸井 誠司, 岡 裕也, 川喜田 睦司
    2005 年 96 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2005/01/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 当院における腎細胞癌に対する後腹膜鏡下腎部分切除術の検討.
    (対象と方法) 対象は2002年4月から2003年10月までに腎細胞癌の診断のもと後腹膜鏡下腎部分切除術を施行した11例である. 適応はT1aN0M0症例のうち腫瘍が腎外側に突出し腎門部を占拠しない症例とした. 方法は先に留置したシングルJカテーテルより冷却した生理食塩水を灌流しつつ, 腎動静脈をそれぞれ腹腔鏡用ブルドック鉗子で遮断し, 実質を剪刀で切除, 血管はバイポーラで凝固した. 尿路が解放した場合は腎杯縫合を施した. なお腫瘍径2cm以下で腫瘍の断端から腎杯までの距離が1cm以上ある症例に対しては腎茎を遮断せずに, マイクロターゼで凝固後切除した.
    (結果) 9例に対しては腎茎を遮断, 2例に対しては遮断しなかった. 平均腫瘍径は27.5±8.9mm, 平均手術時間は350±92分, 平均出血量は743±998cc, 平均温阻血時間は70±30分であった. 1例切除面からの出血をコントロールできず開腹術へ移行した. 切除断端は全例陰性で, その他合併症を認めていない. 術後血清クレアチニン値の上昇は平均0.07mg/dlであった. 平均観察期間は8ヵ月で局所再発および転移を認めた症例はない.
    (結語) 腎細胞癌に対する後腹膜鏡腎部分切除術は一定の条件を満たす患者には有用であると考えられた. ただし本術式の確立にはより確実な腎冷却法および迅速な縫合技術, さらには長期にわたる経過観察が必要と思われた.
  • 松本 富美, 東田 章, 島田 憲次
    2005 年 96 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2005/01/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 尿管利用膀胱拡大術の比較的長期にわたる観察結果とその臨床的検討.
    (対象および方法) 対象は, 1996年2月から1999年3月の間に当科にて尿管利用膀胱拡大術が施行された神経因性膀胱の小児4例 (男児2例, 女児2例). 手術時年齢は3歳~7歳 (平均5歳6ヵ月). いずれも膀胱拡大術には一側の中部尿管より遠位部を用い, 近位側は対側の尿管へ端側吻合された. 観察期間は4~8年 (平均7年1ヵ月).
    (結果) 術後早期には膀胱容量は術前の平均96 (64~150)mlから平均113 (40~220)ml, コンプライアンスは平均2.7 (1.3~5.8)ml/H2Oから平均4.5 (2.0~11.0)ml/H2Oと著明な増大はみられなかったが, 4例ともに尿失禁の改善がみられ, 2例は3時間毎の間欠性導尿にて昼間 dry となった. 5年以上を経た後再評価が可能であった3例では, 膀胱容量は平均239 (237~241)ml, 膀胱コンプライアンスは平均11.5 (5.7~18.5)ml/H2Oと, 早期に比べていずれも漸増傾向がみられた. しかしながら, 次第に増悪する上部尿路拡張と腎機能低下のため, 2例に消化管利用膀胱拡大術が再び施行された. 残り2例も検討中である.
    (結論) 当科の神経因性膀胱の小児における経験では, 尿管は年長児において十分な膀胱容量とコンプライアンスを提供する理想的な材料とはいえず, 手術適応には慎重を期すべきである.
  • 硬膜外麻酔併用全身麻酔下前立腺全摘除術との比較
    仲野 正博, 松嵜 理登, 成田 伸太郎, 渡辺 淳一, 森川 弘史, 村田 浩克, 小田 裕之, 小松 秀樹
    2005 年 96 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2005/01/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 恥骨後式前立腺全摘除術における硬膜外麻酔併用腰椎麻酔 (硬麻併用腰椎麻酔) の有用性を検討した.
    (対象と方法) 2003年7月より2004年2月までの間に硬麻併用腰椎麻酔下恥骨後式前立腺全摘除術を施行した連続した20例を対象とした. 2002年4月より同年12月までの間に硬膜外麻酔併用全身麻酔 (硬麻併用全身麻酔) 下恥骨後式前立腺全摘除術を施行した連続した20例と比較した. 純粋な麻酔による影響のみを検討するために, 術中合併症のあった症例が含まれない様に期間を設定した. 手術は全例, 同一術者が行った.
    (結果) 出血量は, 硬麻併用腰椎麻酔下群の方が有意に少なかった (p=0.024). 術後平均飲水開始日は, 硬麻併用腰椎麻酔下群は0.4日, 硬麻併用全身麻酔下群は1.1日であった (p<0.0001). 術後平均食事開始日は, 硬麻併用腰椎麻酔下群は0.7日, 硬麻併用全身麻酔下群は1.5日であった (p<0.0001). 術中平均血圧の最高値は硬麻併用腰椎麻酔下群の方が有意に低かった (p=0.002).
    (結論) 硬麻併用腰椎麻酔下前立腺全摘除術は, 硬麻併用全身麻酔下前立腺全摘除術と比較して術中の出血量が少なく, 血圧変動が小さかった. また, 術後腸蠕動の回復が早かった. 硬麻併用腰椎麻酔下前立腺全摘除術は, 術中出血量の減少と術後早期回復が期待でき, 全身麻酔関連の合併症が予防できることなどから硬麻併用全身麻酔下前立腺全摘徐術より利点が多いと考える.
  • 本邦における異時発生報告例166例の検討
    福原 喜春, 志賀 淑之, 佐藤 健
    2005 年 96 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 2005/01/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    今回我々は本邦では最長となる31年後に対側に発生した異時性両側精巣腫瘍を経験した. 症例は62歳男性. 精巣の腫大を自覚し当院を受診した. 超音波検査にて左精巣に3個の低エコーの腫瘤と微小石灰化を認め, 精巣腫瘍と診断した. 腹部CT, 胸部CTではリンパ節腫大や他臓器転移は認めなかった. 左高位除睾術を施行し, 病理組織はセミノーマ, stage Iであった. 31年前に右精巣腫瘍に対して右高位精巣摘除術を施行し, 術後放射線療法を行っていた. 異時性両側精巣腫瘍は比較的稀な疾患であり, 本邦では我々が調べた限り166例目の報告となる. 過去の報告を集計すると, 平均年齢は37.5歳で, 対側精巣への発生間隔は平均72.6ヵ月である. 約半数は5年以降に対側へ発生しているため, 精巣腫瘍患者は長期の経過観察と対側精巣の自己触診が重要であると考えられる.
  • 山下 慎一, 尾形 幸彦, 川村 貞文, 栃木 達夫, 立野 紘雄, 桑原 正明
    2005 年 96 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2005/01/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    精巣腫瘍の晩期再発は稀であり, 今回我々は, 治療後18年目に左鼠径部リンパ節に再発した Seminoma の1例を経験したので報告する.
    症例は63歳, 男性. 陰嚢・鼠径部の手術既往歴はなく, 1985年2月左精巣腫瘍 (T1N0M0) にて左高位精巣摘除術を施行した. 病理組織検査にて Seminoma (pT1) と診断され, 大動脈周囲と左半骨盤部に予防的照射 (34.2Gy) を行った. 2003年11月左鼠径部のしこりに気付き近医を受診, リンパ節転移が疑われ当科紹介となった. 腫瘍マーカー (AFP, hCG, hCGβ, LDH) はいずれも正常範囲内であった. CTにて左鼠径部に腫瘤を認めたが, その他には明らかな腫瘤を認めず, 04年1月左鼠径部リンパ節摘出術を施行した. 病理組織検査にて Seminoma のリンパ節転移と診断された.
  • 吉田 宗一郎, 中込 一彰, 後藤 修一
    2005 年 96 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2005/01/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    31歳男性, 反復する無症候性肉眼的血尿を主訴に来院. 排泄性尿路造影にて左下部尿管内側に内部に結石形成を伴う袋状突出を認めるも, 尿路感染, 水腎症の合併を認めず, 経過観察となった. 29ヵ月後, 左腰背部痛出現し, 当科再診. 尿沈渣にて赤血球10~19/HPF, 白血球20~29/HPFを認め, 排泄性尿路造影にて袋状突出直上部の尿管狭窄のための左中等度左水腎症を認めた. 左下部尿管憩室に合併した尿路感染, 尿管狭窄, 及び尿管憩室内結石と診断し, 左尿管部分切除, 尿管端々吻合術を施行した. 組織学的に尿管壁全層の突出した真性尿管憩室と診断された. 真性尿管憩室は稀な先天性尿路異常であり, 我々が調べたかぎりでは本邦3例目にあたる.
  • 2005 年 96 巻 1 号 p. 36
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
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