日本泌尿器科学会雑誌
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98 巻 , 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 小原 崇, 松浦 忍, 井上 高光, 熊澤 光明, 阿部 明彦, 堀川 洋平, 冨樫 寿文, 湯浅 健, 土谷 順彦, 佐藤 滋, 佐藤 一 ...
    2007 年 98 巻 5 号 p. 671-676
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 1997年に腎癌T1/T2カットオフ値が7cmになり, 2002年にはT1が4cmでT1aとT1bに細分化された. カットオフ値と予後との関係について当科症例を用いて再評価した.
    (対象と方法) 1985年1月から2004年1月までに開腹根治的腎摘除術を施行した200名の症例に関して評価した. T1/T2カットオフ値評価のため, 3cm~9cmまで1cm区切りにカットオフ値を設定し生存率を算出した. 次にT1患者におけるT1a/T1bカットオフ値を評価のため, 3cm~6cmまで1cm区切りにカットオフ値を設定し生存率を算出した. 最後に腫瘍径7cm以上のT2~3a患者を細分化するカットオフ値が存在するかを確認するため9cm~14cmまで1cm区切りにカットオフ値を設定し生存率を算出した.
    (結果) T1/T2カットオフ値に関しては, 7cmまたは8cmが生存率に最も有意な差を認めた. T1a/T1bカットオフ値では全ての値で有意差は認めなかったが, 4cmまたは5cmで最も生存曲線に差を認めた. 腫瘍径7cm以上の腫瘍カットオフ値の検討では, 13cmでのみ有意差を認めた.
    (結論) 転移なし腎癌における現在のT分類4cmおよび7cmカットオフ値は妥当であると考えられた. また腫瘍径7cm以上の転移なし腎癌におけるカットオフ値は13cmがもっとも有効であった.
  • 木村 元彦, 笹川 亨
    2007 年 98 巻 5 号 p. 677-684
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 電磁誘導方式でX線照準であるESWL新旧2機種による治療効果や透視時間, 疹痛の違いを評価し, 新機種の有用性を解析するとともに, ESWL機として望まれる要素を検討する.
    (対象と方法) Siemens 社 Lithostar にて2,985結石 (L群: 腎691, 尿管2,294), Lithostar Multiline にて639結石 (M群: 腎153, 尿管486) の治療を行った. 3カ月後までに完全排石または残石4mm以下となったものを「有効」と定義し有効率を算出した.
    (結果) 外来のみで行ったものはL: 2,547例 (85.3%), M: 608例 (95.1%) であった. 尿管結石の有効率はL: 92.2%, M: 82.7%, 腎尿管合計の有効率はL: 89.6%, M: 81.4%とL群で有効率が有意に高かった. 尿管結石では, LM両群において, U1に比べU3で有効率が高かった. 尿管結石の平均治療回数はL: 1.62回, M: 1.64回とL群で回数が少なかった. 腎結石の有効率はL: 81.0%, M: 77.1%と差がなかった. 透視時間はU2を除きすべての区分で短縮され, 腎尿管合計の平均ではL: 3.67分, M: 2.76分であった. 鎮痛剤が必要であったのはL: 50.8%, M: 34.7%でM群で減少した.
    (結論) Multiline では有効率こそ前機種を上回らなかったが, 透視時間が短縮し鎮痛剤の頻度も減少した. Endourology の十分なバックアップを前提条件に, Multiline は外来治療として十分に簡便・安全であり一定の有用性が確認された.
  • 有働 和馬, 大坪 智志, 坂本 直孝, 井口 厚司
    2007 年 98 巻 5 号 p. 685-690
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) PSA20ng/ml以上で臨床的に転移を認めない前立腺癌症例の臨床的・組織学的な特徴, 予後について検討し, 前立腺全摘術による治療が意義あるものか検討した.
    (対象と方法) 根治的前立腺全摘術を施行した前立腺癌症例のうちPSA20ng/ml以上であった21症例について, 術前臨床所見と全摘標本の病理学的所見を検討した.
    (結果) 術前PSA値は21~65ng/ml, 中央値27ng/mlであった. 主腫瘍が70%以上存在する部位で辺縁領域 (PZ) 癌と移行領域 (TZ) 癌に分類しそれぞれ10例ずつであった. PZ癌群では組織学的リンパ節転移が2例, 精嚢浸潤が8例, 被膜外浸潤が全例, 外科的切除縁陽性が7例であった. TZ癌群ではリンパ節転移, 精嚢浸潤は1例もなく, 被膜外浸潤が5例, 外科的切除縁陽性が6例であった. 術前検査ではPZ癌群は全例直腸診, TRUS陽性であったが, TZ癌群では直腸診およびTRUS所見は乏しかった. 年齢, PSA値, 癌体積, グリソンスコアには差はなかった. PSA再発はPZ癌群では9例, TZ癌群では2例であった.
    (結語) PSA20ng/ml以上の症例ではPZ癌であれば手術療法のみでの根治は難しいと考えられたが, TZ癌であれば比較的良好な成績が得られた. 直腸診・TRUS所見が乏しければTZ癌を積極的に疑うことが重要であり, また根治的前立腺全摘術も根治的治療の一つであると考えられた.
  • 小杉 繁, 池本 庸, 古田 昭, 下村 達也, 清田 浩, 鈴木 康之, 岸本 幸一, 頴川 晋, 鳥居 伸一郎, 白井 尚, 武内 宏之 ...
    2007 年 98 巻 5 号 p. 691-699
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 蓄尿症状を主体とする排尿障害を有する前立腺肥大症 (BPH) 患者に対し二種のα1ブロッカーを投与し, その臨床効果を比較検討した.
    (対象と方法) 対象は塩酸タムスロシン0.2mg/日またはナフトピジル50mg/日で8週間治療され, 治療前後で自他覚所見を比較検討した過活動膀胱 (OAB) 症状を合併する121例のBPH患者である.
    (結果) ナフトピジルは国際前立腺症状スコア (IPSS) 全ての項目において, 塩酸タムスロシンは頻尿および腹圧排尿の項目以外全てにおいて有意に改善した. QOL index は両群とも有意に改善した. 他覚所見では両群とも最大尿流率において有意に改善したが, 残尿量はどちらも有意な変化を認めなかった. 二群間の有効性の比較でもナフトピジルの方が頻尿において有効であった.
    (結論) 蓄尿症状の強いBPH患者においてはナフトピジルの方がより症状改善に寄与するものと考えられた.
  • 高田 剛, 波多野 浩士, 佐藤 元孝, 辻本 裕一, 本多 正人, 松宮 清美, 藤岡 秀樹
    2007 年 98 巻 5 号 p. 700-709
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    (目的) 当院における前立腺癌の治療成績を retrospective に検討する.
    (対象と方法) 1990年1月から2004年12月までの15年間に, 大阪警察病院泌尿器科で病理組織学的に診断のついた前立腺癌初発症例482例を対象とし統計学的臨床検討を行った.
    (結果) 初診時の年齢は51歳から99歳までに分布し平均72.9歳であった. 年次別患者数をみると近年著しく症例数が増加しており, なかでもPSA高値のみを主訴とする症例が多くなっている. 臨床病期分類別患者数は stage A が92例 (19.1%), stage B が238例 (49.4%), stage C が48例 (10.0%), stage D が104例 (21.6%) であった. 全症例のうち425例 (88.2%) で何らかの内分泌療法が選択され, 前立腺全摘除術が77例 (16.0%) に放射線外照射が57例 (11.8%) に行われた. 全症例における5年疾患特異的生存率は79.7%, stage 別5年疾患特異的生存率は stage A1 100%, stage A2 96.8%, stage B 89.4%, stage C 79.9%, stage D 42.9%であった. 全症例を1990年から1996年までの前半と1997年から2004年までの後半に大別すると, stage C・Dにおいて疾患特異的5年生存率がそれぞれ56.3%から90.9% (p=0.0226), 34.5%から51.5% (p=0.0448) と改善していることがわかった. その理由として stage C においては前立腺全摘術・内分泌療法併用群が内分泌療法単独群に較べ疾患特異的5年生存率で有意に優れており (p=0.0027), その症例数も後半増加していた. stage D2 においてはVP-16・ADM・CDDPを用いた初期内分泌化学療法を受けた症例が後半増加しており, 内分泌療法単独群に較べ再燃までの期間と疾患特異的5年生存率で有意に優れていた (P=0.0467, P=0.0381).
    (結論) 当院での前立腺癌の治療成績を示した. stage C での根治療法 (特に前立腺全摘) と内分泌療法の併用と stage D2 での内分泌化学療法の有用性が示唆された. 本邦における前立腺癌治療成績のさらなる集積を期待する.
  • 吉永 敦史, 吉田 宗一郎, 中込 一彰, 後藤 修一
    2007 年 98 巻 5 号 p. 710-712
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    症例は62歳, 男性. 1998年交通事故によりC3-4レベルの頚髄損傷となり両上下肢麻痺, 膀胱直腸障害が出現したが, 手術とリハビリテーションによって現在では歩行可能となっている. また排尿状態については術後尿閉がみられたが, 次第に改善し自排尿可能となっていたとのことであった. 2001年排尿障害を自覚し, 尿の排出ができなくなったため自己導尿目的にネギを尿道に挿入したが抜去できなくなったため当科受診となった. 鉗子による異物の除去はできず, 経尿道的に異物の除去を行った. 尿道カテーテルの歴史について調べてみると, 金属製のものや自験例のようなねぎなどが用いられていた時代もあった.
  • 新美 文彩, 久米 春喜, 熊野 信太郎, 石川 晃, 西松 寛明, 冨田 京一, 高橋 悟, 武内 巧, 北村 唯一
    2007 年 98 巻 5 号 p. 713-717
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    症例は27歳女性. 気胸の既往があり他院にて加療されていた. 2回目の左気胸発症時に肺生検にて肺リンパ管筋腫症 (LAM) と診断された. その後の精査目的のCTで右腎前面に径10cmの脂肪濃度を含む腫瘤を認め, 腎血管筋脂肪腫 (AML) と診断され, 当科に紹介された. 当科にて腎部分切除術が施行された. 腫瘍は腎実質と5cm程度の部分で連緯しており, 有茎状に発育していた. LAMは病理学的に肺の気道, 血管, リンパ管周囲の平滑筋の異常増生を示し, 気道閉塞による多数の肺嚢胞状病変形成が特徴とされ, 殆どの症例で経過中に気胸を発生する予後不良の疾患である. また47~60%の症例にAMLを合併することが知られている. LAMを合併したAML患者の特徴としては20代から30代の生殖可能な女性に好発しており, 結節性硬化症に合併するAMLと比較すると片側単発傾向ではあるが, 両側例が25~62%と比較的多く, また多発例も報告されている. LAMは予後不良のため, AMLに対しては出血などの症状が出現するまで無治療で経過することが多く, 治療としては腎摘除術が多い. しかしながら, 最近の報告ではLAMの予後はやや改善してきており, AMLの再発例も認められることから, 可能な限り腎温存を図るべきである. 本症例は本邦10例目である.
  • 久米 春喜, 饒村 静江, 新美 文彩, 藤村 哲也, 福原 浩, 石川 晃, 西松 寛明, 冨田 京一, 武内 巧, 北村 唯一
    2007 年 98 巻 5 号 p. 718-722
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    腎細胞癌が膀胱に転移することは珍しく, 現在までに本邦では約30例が報告されているに過ぎない. 今回2例の膀胱転移を経験したので報告する.
    症例1は87歳女性で, 17年前に右腎細胞癌に対し, 根治的腎摘除術を受けた. 2週間前頃より食欲低下・嘔気があり, 内科を受診したところ, 高カルシウム血症が発見された. 更に精査したところ, 多発性骨転移および非乳頭状有茎性の膀胱腫瘍が発見された. 経尿道的切除術を施行したところ, 組織学的に粘膜に限局した淡明細胞癌であり, 17年前の腎細胞癌の転移であると考えられた.
    症例2は67歳男性で, 4年前に左腎細胞癌に対し根治術が施行された. その後, 免疫療法が行われたにもかかわらず多発性肺転移が出現した. 1ヵ月前より無症候性肉眼的血尿が出現したため, 精査したところ3個の非乳頭状有茎性の膀胱腫瘍が発見された. 経尿道的切除術を施行したところ, 組織学的に粘膜に限局した淡明細胞癌であり, 4年前の腎細胞癌の転移であると考えられた.
    本報告の2例はいずれも粘膜に限局する再発であることから, 尿路内の播種・implantation がその機序として最も疑われた.
  • 皆川 倫範, 西澤 秀治, 上垣内 崇行, 中山 剛, 岡根谷 利一
    2007 年 98 巻 5 号 p. 723-726
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    68歳女性. 小脳血管芽腫摘除術の既往がある. 全身倦怠感で受診し, CTで同時性両側腎腫瘍と肺・肝転移を認めた. 家族歴や遺伝子異常は明らかでなかったが, 臨床的に von Hippel-Lindau 病 (VHL) と診断し, 右主病変に対して根治的右腎摘除術, 左の小病変に動脈塞栓術を施行し, 術後インターフェロン療法を行った. 左腎腫瘍は縮小し, 肺転移巣は消失した. 手術の4年後に左腎腫瘍が増大し, 左腎部分切除術を施行したが, 1年後に腫瘍死した. 左右腎共に淡明細胞癌と肉腫様癌の混合型腎細胞癌であった. VHL腎癌のほとんどは淡明細胞癌で, 比較的に予後良好とされている. しかし, VHLの肉腫様腎癌の報告やその予後に関する報告は少なく, 本症例は本邦で1例目である.
  • 辻本 裕一, 波多野 浩士, 佐藤 元孝, 高田 剛, 本多 正人, 松宮 清美, 藤岡 秀樹, 室崎 伸和, 妹尾 博行
    2007 年 98 巻 5 号 p. 727-730
    発行日: 2007/07/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    63歳, 男性. 騎乗型打撲による尿閉と外尿道口からの出血にて受診. 球部尿道に約1cmの断裂を認め, 膀胱瘻を造設した. 二期的にエコーガイドを併用し内視鏡的尿道形成術を施行した. 術後の再狭窄に対しては2回の経尿道的瘢痕切除術を施行した. 術後の排尿時膀胱尿道造影では狭窄を認めず, 尿失禁・性機能障害もなく自排尿可能となる, 近年, 内視鏡器具の進歩に伴って尿道損傷に対して開放術より容易で, 低侵襲で, 再手術可能な内視鏡的尿道形成術が行われている. 今回併用したエコーガイドの有用性は断裂部の遠位端と近位端を同一平面に描出することによって, 正確に穿刺し, ガイドワイヤーを挿入でき, 直腸損傷や偽尿道の危険がなく, 本来の尿道走行を再建出来ることである.
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