日本泌尿器科学会雑誌
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原著
  • 牧野 哲也, 佐倉 雄馬, 後藤 健太郎, 市川 寛樹, 川島 清隆
    2018 年 109 巻 3 号 p. 127-130
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    (目的) 初回経直腸的超音波ガイド下前立腺生検症例について,前立腺癌陽性率及び前立腺癌症例に対しては臨床病理学的事項をレトロスペクティブに検討した.

    (対象と方法) 2003年から2015年の13年間に栃木県立がんセンターで行った初回前立腺生検を施行した2,246例を対象とし,PSA値と前立腺癌陽性率との関係について検討するとともに,前立腺癌症例に対しては,PSA値と臨床病理学的事項の関係を比較検討した.

    (結果) 生検結果は,良性,癌,異型腺管がそれぞれ883例,1,294例,69例であり,前立腺癌陽性率は全体で57.6%であった.また,PSA階層別での癌陽性率は,PSA値が0.0~3.0,3.1~4.0,4.1~10.0,10.1~20.0,20.1~100.0,>100.0ng/mlの群でそれぞれ,27.8,39.8,53.6,67.4,88.4,100%であった.前立腺癌症例1,294例におけるPSA階層別の低リスクの割合は,PSA値が0.0~3.0,3.1~4.0,4.1~10.0,10.1~20.0,20.1~100.0,>100.0ng/mlの群でそれぞれ,0,30,22,0,0,0%であった.

    (結論) 初回前立腺生検における前立腺癌陽性率は高く,PSA低値の前立腺癌は低リスクが多くはなかったという結果から,PSA値のみで前立腺癌の診断や治療方針の決定は困難であると思われる.

  • 青木 裕次郎, 松井 善一, 西川 健太, 渡邉 圭太郎, 萩原 佑亮, 佐藤 裕之
    2018 年 109 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    (目的) 小児救急外来を受診した急性陰囊症の患者を調査した.

    (対象と方法) 2010年3月から2014年3月に,急性陰囊症で救急外来を受診した患者を対象とした.診療録から最終診断を精索捻転症,精巣付属器捻転,精巣上体炎,精巣炎,鼠径ヘルニア嵌頓,特発性陰囊浮腫,シェーンライン・ヘノッホ紫斑病,陰囊水腫,外傷,原因不明として後方視的に検討した.

    (結果) 救急外来を受診した急性陰囊症の患者は257例であった.患児は平均6.7歳,発症部位は右側120例(47%),左側108例(42%),両側29例(11%)であった.疾患別の頻度は,精索捻転症33例(13%),精巣付属器捻転8例(3%),精巣上体炎85例(33%),精巣炎4例(2%),鼠径ヘルニア嵌頓59例(23%),特発性陰囊浮腫6例(2%),シェーンライン・ヘノッホ紫斑病9例(4%),陰囊水腫10例(4%),外傷12例(5%),原因不明31例(12%)であった.精索捻転症は発症から受診まで平均0.6日で,12例(36%)の症例が直接受診していなかった.泌尿器科の緊急手術は31例(12%)で,28例(90%)は精索捻転症で6例(21%)は精巣を摘出した.

    (結論) 小児救急外来の急性陰囊症は精巣上体炎が最も多く,精索捻転症は13%に認めた.精索捻転症は発症から受診までに時間を要しており,発症後に早期受診をするように疾患の啓発を行うべきである.

症例報告
  • 米谷 重俊, 並木 俊一, 工藤 貴志, 山下 慎一, 相沢 正孝, 庵谷 尚正
    2018 年 109 巻 3 号 p. 137-139
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    症例は55歳男性.2010年8月,肉眼的血尿を認め当院紹介受診.右腎腫瘍(cT2aN0M0 Stage II)の診断にて2010年11月に根治的右腎摘出術及び大動静脈間リンパ節郭清を施行した.病理診断は clear cell carcinoma,G2>>G3,v(+),pT2N0であった.術後,再発なく経過していた.2014年4月より咽頭違和感を訴え5月に当院耳鼻科を受診し喉頭鏡にて喉頭披裂間部に5mm程の腫瘍性病変を認めた.明らかな周囲への浸潤やその他の転移は認められなかった.2014年5月に経口腔的喉頭腫瘍摘出術を施行した.病理診断は腎細胞癌の転移であった.その後,再発所見なく外来通院中である.

    腎細胞癌は血流に富み,血行性に肺,リンパ節,骨,肝への転移が多いことが知られているが,喉頭への転移を認めた症例は非常に稀である.また腎細胞癌は初回治療から比較的長時間経過した後でも再発転移する可能性が知られており,腎細胞癌の既往がある症例においては腎細胞癌による転移を念頭に置く必要がある.

  • 佐藤 元己, 川畑 さゆき, 水野 伸彦, 大古 美治, 柳本 邦雄, 江澤 直樹, 吉長 恒明, 矢崎 正英
    2018 年 109 巻 3 号 p. 140-143
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    膀胱アミロイドーシスは稀な疾患であり,約200例の報告があるに過ぎない.今回我々は膀胱癌の治療後に限局性結節性アミロイドーシスを発症した一例を経験したので報告する.患者は85歳男性,膀胱尿路上皮癌に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)で治癒後に定期フォローされていた.膀胱鏡で粘膜不整を認め,膀胱癌の再発を疑いTURBT施行.病理組織診断は悪性所見なく,Congo-red染色で陽性を示し,アミロイドーシスと診断.免疫組織学的診断を追加し,最終診断は膀胱限局性ALアミロイドーシスであった.

  • 湊 晶規, 藤本 直浩, 富崎 一向, 山崎 清玄, 中島 信能, 槇原 康亮
    2018 年 109 巻 3 号 p. 144-149
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    72歳の男性.無症候性肉眼的血尿を主訴に来院した.膀胱鏡では,左側壁に結節型広基性の腫瘍を認めた.CTにて浸潤性腫瘍および左水腎症を認めたが,リンパ節転移や遠隔転移は認めなかった.末梢血白血球数が27,600/μl,血清granulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)が158pg/mlと高値であった.G-CSF産生浸潤性膀胱癌疑いに対して,膀胱前立腺尿道全摘除術および回腸導管造設術を施行した.病理組織学的診断は,urothelial carcinoma with squamous differentiation,pT3a,pN0,ly1,v1であった.免疫組織化学染色にて,腫瘍細胞は抗G-CSF抗体陽性であった.術後,末梢血白血球数は十分に低下し,血清G-CSFは正常化した.術後補助療法は行わなかったが,術後41カ月経過し,再発や転移は認めていない.

  • 齊川 周, 保科 勇斗, 米岡 祐輔, 首藤 直樹, 安部 光洋, 吉松 正, 亀山 周二, 志賀 淑之, 堀内 啓
    2018 年 109 巻 3 号 p. 150-155
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    症例は53歳男性.検診でPSA高値を指摘され当院泌尿器科受診となった.PSAは5.33ng/mlであり,直腸診で前立腺はやや弾性硬で軽度肥大していた.MRIで前立腺移行域に異常信号域を認め,前立腺癌を疑い経直腸的前立腺針生検を施行した.病理診断は,adenocarcinoma,Gleason score 5+5=10であった.胸腹骨盤部CT, 骨シンチグラフィで転移がないことを確認後,ロボット支援下前立腺全摘術(以下RARPと記載)を施行した.手術検体の病理診断では前立腺癌は認められず,免疫染色を追加し再検討を行った結果,MALTリンパ腫の診断であった.追加で上下部内視鏡検査,PET-CT,骨髄生検を行い全身に腫瘍性病変,リンパ節の腫脹がないことが確認され,前立腺原発のMALTリンパ腫と診断した.本症例は術後12カ月が経過したが再発はなく,外来で経過観察中である.前立腺原発のMALTリンパ腫の報告は邦文,英文問わず非常に少なく,確定診断に苦慮した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 山本 順啓, 小松 功生士, 松浦 泰史, 島田 隼人, 木村 章嗣, 小池 祐介, 佐々木 裕, 三木 淳, 山田 裕紀, 木村 高弘, ...
    2018 年 109 巻 3 号 p. 156-159
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    頭頚部以外の手術後では,視機能障害の発生は稀ではあるが,患者の機能的予後や社会的,医療法学的にも重大な影響を及ぼすため,その予防と対策は重要な課題である.今回我々は,腹腔鏡下根治的前立腺摘除術後,一過性に高度な視機能低下を認めた一例を経験したのでここに報告する.全身麻酔をともなったすべての手術手技直後に生じ得る重大術後合併症の一つとして認識し,障害発生の際には可及的に迅速な対応により,後遺症を回避し得るものであることを臨床医として銘記すべきであると考えられた.

  • 山田 真海, 黒田 健司, 浅野 篤, 尾島 健一郎, 伊藤 敬一, 新本 弘, 淺野 友彦
    2018 年 109 巻 3 号 p. 160-163
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    悪性リンパ腫との鑑別に苦慮した両側同時性精巣腫瘍の1例を報告する.症例は56歳男性.左陰囊内腫瘤を主訴に近医を受診し,両側精巣腫瘍の診断のため当科に紹介され受診した.超音波検査では両側精巣内に内部均一な低エコー領域を認めた.MRI T2強調画像にて両側精巣内に内部均一な低信号像を認めた.胸腹部骨盤CTではリンパ節腫脹を含め転移を示唆する所見を認めなかった.精巣腫瘍の好発年齢から外れていること,両側同時性であることから,精巣原発悪性リンパ腫を第一に考えた.患者と相談し,組織学的診断をつけるために右高位精巣摘除術を施行した.病理所見はセミノーマであったため,両側同時性胚細胞腫瘍と診断し,左高位精巣摘除術を施行した.左に関しても同様にセミノーマであった.現在のところ,再発・転移所見を認めていない.両側同時性精巣腫瘍の診断は,年齢,腫瘍マーカー,画像所見等から総合的に行う必要があると思われる.

  • 山中 庸平, 河嶋 厚成, 林 裕次郎, 氏家 剛, 阿部 豊文, 永原 啓, 福原 慎一郎, 藤田 和利, 植村 元秀, 木内 寛, 今村 ...
    2018 年 109 巻 3 号 p. 164-168
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    症例は2009年多発腰椎圧迫骨折を契機にクッシング病(Cushing disease:CD)と診断された64歳男性.3回の経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術(Transsphenoidal surgery:TSS),2回の放射線治療を含む各種治療を行うも再燃を繰り返し,2014年3月コルチゾールの再上昇と難治性臀部褥瘡を発症.重度の肝機能障害によりCD増悪に対する薬物治療を中止した直後に深部静脈血栓症,肺動脈塞栓症を発症した.その為,CDの病勢コントロールを目的として,同年5月に1期的腹腔鏡下両側副腎摘除を施行した.術後ステロイド補充は必要であったが,合併症なく病勢コントロール良好となった.

  • 藤本 幸太, 松山 聡子, 松井 太, 矢澤 浩治, 松本 富美
    2018 年 109 巻 3 号 p. 169-172
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    鏡視下腎盂形成術においては,術後管理に技術的な理由からダブルJステント(DJステント)が用いられることが多い.しかしながら,DJステントに特有の合併症があり,治療に難渋することもある.今回われわれは,鏡視下腎盂形成術後に留置したDJステントが結石形成により抜去困難となった小児の1例を経験したので報告する.

    症例は11歳,女児.以前より繰り返す腹痛にて近医を受診.左水腎症を指摘され,精査加療目的に当科を紹介された.左間欠性水腎症の診断にて後腹膜アプローチによる鏡視下左腎盂形成術を施行.腎盂尿管移行部に異常血管を認めた.腎盂尿管移行部を一旦離断した後,異常血管の前方にて腎盂尿管吻合を行い,DJステント(6F,24cm,Polaris™ Ultra)を留置した.術後経過に特記すべきことなく,5日目に退院した.9週後に全身麻酔下にて経尿道的尿管ステント抜去を試みたが,腎盂内のピッグテイル部が吻合部を通過せず断念した.stent encrustationを疑い,11週後に6F硬性尿管鏡で腎盂内に結石を纏ったステントを確認した.holmium:YAGレーザーにて周囲の結石を破砕後,ステントを抜去した.結石分析結果はリン酸アンモニウムマグネシウムであった.術後8カ月現在,左水腎症および結石の陰影の再発は認めていない.

  • 山田 真海, 堀口 明男, 河村 一樹, 尾島 健一郎, 新地 祐介, 伊藤 敬一, 淺野 友彦, 東 隆一
    2018 年 109 巻 3 号 p. 173-177
    発行日: 2018/07/20
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル フリー

    後部尿道外傷は骨盤骨折のまれな合併損傷である.待機的尿道形成術は後部尿道外傷治療のgold standardであるが,不成功例に対する救済手術は前回手術による瘢痕の増強や,利用できる尿道長に限りがあることから難度が高い.他院で3回の尿道形成術を施行されるも再狭窄を繰り返した後部尿道外傷に対して,4回目の尿道形成術で修復し得たので報告する.症例は22歳男性,4歳時の交通事故により後部尿道外傷を受傷した.他院で3回の尿道形成術(2回の経会陰的尿道形成術,1回の経会陰経腹的アプローチによる経恥骨的尿道形成術)を施行されたが再建し得ず,膀胱瘻管理されていた.外尿道口は度重なる治療により医原的に閉塞していた.陰囊正中から陰茎根部右側を経由し,下腹部まで皮膚切開を加えた.陰茎根部で陰茎海綿体を全周に剥離,瘢痕内に埋没する尿道を授動し,盲端で離断した.中枢側盲端を膀胱瘻から挿入したブジーの触感で同定し,周囲の瘢痕を充分に除去して健常な尿道粘膜を露出した.4-0吸収糸で8針結節縫合により尿道端々吻合を行い,吻合部および授動した尿道周囲を有茎薄筋弁で充填した.術後8カ月の排尿時膀胱造影で再狭窄を認めなかったため,閉塞していた外尿道口の腹側に切開を加えて外尿道口を形成した.現在は膀胱瘻から離脱し,一切の追加処置を要することなく良好な排尿状態を維持している.

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