腎細胞癌の病理組織の詳しい分析は, 比較的少ない, 今回我々は, 1957年1月より, 1980年12月末までの24年間に慈恵医大泌尿器科およびその関連病院において手術を施行した162例の細胞型, 組織構築, 組織学的悪性度および病期も含めて, それらの関連について検討した.
細胞型では, 明調細胞型が43%を占め, その他, 混合細胞型が27%, 紡錘細胞型が17%, 顆粒状細胞型が12%の順であつた. 組織構築では, 単一構築型が58%, 重複構築型が29%, 未分化型が13%であつた. さらに各構築型を細分類すると, alveolar pattern が92%と大部分を占めており, その他, papillary pattern, tubular pattern, cystic pattern, trabecular pattern が分類可能であつた. 組織学的悪性度では, grade Iが20%, grade IIが39%, grade IIIが31%, grade IVが10%であつた.
細胞型と組織学的悪性度の関係では, 明調細胞型に low grade が多く, 逆に紡錘細胞型に high grade が多く, 顆粒状細胞型および混合細胞型は, 前記二者の中間であつた. 細胞型と病期の関係では, 明調細胞型は, low stage が多く, 紡錘細胞型は, high stage が多く, 顆粒状細胞型および混合細胞型は, 前記二者の中間であつた. 組織学的悪性度と病期の関係では, low grade には low stage が多く, grade の上昇に伴つて high stage の占める率が高かつた.
抄録全体を表示