日本泌尿器科學會雑誌
Online ISSN : 1884-7110
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75 巻, 6 号
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  • 柳下 次雄
    1984 年 75 巻 6 号 p. 893-902
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    N-butyl-N-butanol (4) Nitrosamine (以下BBNと略す) 投与初期から発癌に至る過程のラット膀胱において解糖系の代謝活性と諸酵素の変動を組織学的変化と対応して, 経時的に検討した.
    14CO2 production により Embden-Meyerhof pathway (以下EMPと略す), hexose monophosphate pathway (以下HMPと略す) の代謝活性を測定し, さらにHMPの律速酵素である glucose-6-phos-phate dehydrogenase (以下G 6-PDHと略す), 6-phosphogluconate dehydrogenase (以下6-PGDHと略す) の活性についても検討した.
    1) 組織学的には, BBN投与10週で移行上皮の過形成が, 15週以後では全例に上皮性腫瘍を認めた.
    2) 好気的条件下では,〔1-14C〕glucose,〔6-14C〕glucose からの14CO2産生は, ともに発癌過程の進行とともに有意に増加し, また, BBN投与群ではEMPが優位となった. 一方, 嫌気的条件下では,〔1-14C〕glucose からの14CO2産生が, BBN投与群で有意な増加を示し, 嫌気的条件下でHMPが作働していることを明らかにした.
    3) G6-PDHの酵素活性は, BBN投与後1週よりすでに有意な増加を示し, 5週で対照群の3倍, 20週で5倍となった. 6-PGDHは, BBN投与5週以後で有意な増加を示した.
    BBNラット膀胱腫瘍では, 発癌過程の進行に伴いEMP, HMPの代謝活性の亢進を認めたが, とくにHMPについてはG6-PDH, 6-PGDHの活性増加が認められた. さらにG6-PDHは, BBN投与1週目より増加しており, 発癌機構の解明のみならず, 臨床的には癌の早期診断にも応用し得る可能性をも含むものと思われる.
  • 第3報 Ft-207, vinblastine 単独療法
    里見 佳昭, 仙賀 裕, 福田 百邦, 中橋 満, 大島 博幸, 古畑 哲彦
    1984 年 75 巻 6 号 p. 903-908
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    腎細胞癌に対する化学療法の第3報として, Ft-207及び vinblastine の夫々の単独療法の有効性について検討した.
    1) 進行癌13例に対し, Ft-207 (フトラフールE顆粒800mg, 連日経口) を投与し, 2例を除き, 4カ月以上投与した時点で効果を判定したが, complete response 1例 (8%), no change 5例, progressive disease 7例と低い有効率であった. 副作用が少なく, 経口投与ができ, 使用しやすいが, 単独での第1選択剤としての使用には適さないと考えた.
    2) 進行癌11例に対し, vinblastine を使用し (0.1~0.2mg/kg, i. v., 1回/週), 全例に有効例は見られなかった. 文献的には腎細胞癌の単独療法剤としては最も有効率の高いものであるにもかかわらず, 私共の症例で有効例がなかった原因は, 効果判定時期が早過ぎたことによるかとも考えた.
    3) 第1, 2報の検索成績および今回の成績から腎細胞癌に対する現在入手しうる制癌剤による単独療法はほぼ無効と結論し, 早急にインターフェロンを含めた多剤併用療法について検討すべきと考えた.
  • 第4報 インターフェロン療法
    里見 佳昭, 仙賀 裕, 福田 百邦, 河合 恒雄
    1984 年 75 巻 6 号 p. 909-916
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    腎細胞癌に対する化学療法の第4報として, インターフェロンの有効性について, リンパ芽球由来の human lymphoblastoid interferon (α型) を用いて検討した.
    1) 転移のある腎細胞癌患者19例に対し, 連日投与60回以上できた症例について効果を判定した. CRはなく, PR 2例, MR 3例, NC 4例, PD 5例で, 有効率は35.7% (5/14) と従来の抗癌剤にない高い有効率を示した. 現段階では腎細胞癌の第1選択薬剤として使用すべきと考える.
    2) 効果の発現は20回から60回投与の間で起こり, それ故, 効果の判定は60回以上投与後に行うべきと考える.
    3) 性, 年齢, 腫瘍の大きさは有効率を左右しない. low grade 症例は4/7の有効率であり, high grade 症例は1/7で, 特に low grade の腎細胞癌には第一選択剤として使用する価値のある薬剤である.
    4) 最大の副作用は全身倦怠と食欲不振で, しばしばこのために治療中止をせざるを得なくなる. 骨髄抑制はじめ他の副作用は軽微である.
  • 特に深部リンパ節吸引生検について
    藤岡 知昭, 石井 延久, 新藤 雅章, 真島 光, 金藤 博之, 胡口 正秀, 近田 龍一郎, 前原 郁夫, 高岩 正至, 寺島 保典, ...
    1984 年 75 巻 6 号 p. 917-926
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    泌尿器科領域における針吸引生検は, 予てより前立腺や腎のう胞に対し広く行なっているが, 今回さらに腫瘍の診断及びその転移の検索手段として, 表在触知腫瘤やリンパ節, 胸腔内及び骨盤内腫瘍さらには骨盤内及び後腹膜リンパ節に対し経皮的針吸引生検を施行したので報告する. 表在病巣においては直接穿刺し検体を採取, 深部病巣に対しては各種X線検査, 特にリンパ節に対しては, 通常のリンパ管造影を併用し, 透視下に針吸引生検を施行した. 表在病巣においては12例全例で生検による細胞診で癌転移を確認した. 胸部及び骨盤内腫瘍の2例において悪性リンパ腫と診断した. 深部リンパ節吸引生検施行14例中11例で検体を採取, 原病巣手術的摘出したリンパ節病理所見との一致率は90.1% (10/11), 術前 stage と術後 stage 診断の一致は81.8% (9/11) であるが, 生検施行例全体では64.8% (9/14) と必ずしも満足すべきものではない. false positive は経験していない. よって現時点において経皮的針吸引生検は, 表在腫瘤や深部大腫瘍に対しては開放性生検に代わりうるが, 深部リンパ節吸引生検に関しては, 比較的高率の診断率やその細胞診の結果により不要な治療, 手術を回避が可能であるものの, そのfalse negative, 検体採取率さらにはリンパ管造影を生検の前に施行しなければならない等の点を考慮すると staging lymphadenectomy の有用性を必ずしも否定することはできない.
  • とくに結合織タンパク質を中心として
    中田 瑛浩
    1984 年 75 巻 6 号 p. 927-933
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット (SHR), 脳卒中易発症ラット (SHRSP) では8週齢という幼若期に血圧は上昇しはじめ, 睾丸動脈の non-collagenous protein 代謝, collagen 代謝および腸間膜動脈の non-collagenous protein 代謝が正常血圧ラット (WKY) のそれに比し亢進していた. clonidine 投与はこれらすべてのラットの血圧を下降させ, SHRSPの睾丸動脈, 腸間膜動脈の non-collagenous protein 代謝, collagen 代謝を低下させた. 本剤投与によりSHRの fibrous protein 代謝もSHRSPのそれとほぼ同様に低下した. SHRSPの睾丸動脈の高血圧性病変は著しかった. 一方, SHRSPの睾丸中の collagen 含量, elastin 含量はWKYのそれよりそれぞれ多かった. したがって, これら genetically hypertensive rats の early hypertensive stage に於て, 睾丸動脈の non-collagenous protein, collagen 代謝亢進および腸間膜動脈の non-collagenous protein 代謝亢進が高血圧の病因として主要な役割りを果しており, 前者の病変は睾丸に障害を惹起させたと推測された.
  • 伊藤 晴夫, 川村 健二, 片海 善吾, 角谷 秀典, 布施 秀樹, 村上 光右, 島崎 淳
    1984 年 75 巻 6 号 p. 934-939
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    7例の精管切断術後の患者に対して顕微鏡下に精管再吻合術を施行した. 手術法は9~0モノフィラメントナイロン系で8~12針, 全層を縫合する一層縫合である. 患者の年齢は25歳~49歳, 平均41歳であり, 精管切断より手術までの期間は4ヵ月より19年, 平均9年であった. 手術を希望した理由は妻の病気改善, 経済状態の改善がそれぞれ1例で, これ以外はすべて再婚であった. 手術後1ヵ月しか経過していない1例を除いた6例中6例 (100%) の妻に妊娠の成立をみとめた. これより, 一層縫合法は, 現在多く行われている二層縫合に比して優るとも劣らない良い方法と考えられた. 手術後, 妊娠成立までの期間は2ヵ月より1年1ヵ月, 平均6ヵ月であった. 精管切断術より精管再吻合術までの期間と精管再吻合術より妊娠成立までの期間との間には相関がなかった. 精管切断術後2年および6年経過していた2例に行なった睾丸生検で score count はそれぞれ6.7および6.6と低下を示した.
  • 松島 常, 赤座 英之, 岸 洋一, 梅田 隆, 河辺 香月, 岩動 孝一郎, 新島 端夫
    1984 年 75 巻 6 号 p. 940-944
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    臨床的に表在性膀胱腫瘍と診断し, TUR, TUCを中心とする保存的治療を行なううちに, 膀胱全摘除術へとその手術適応が進む症例が少なくない. 過去6年間, 当科において2年以上保存的治療が行なわれ, 最終的に膀胱全摘除術が施行された症例は12例であった. このうち最近の2症例を呈示するとともに, 上記12例を retrospective に分析した.
    その結果, 次の様な場合には, 表在性膀胱腫瘍でも, 膀胱全摘除術を考慮すべきであると思われた.
    (1) high grade (grade 3) で再発をくり返す場合.
    (2) 高分化癌が低分化癌へと grade が進行した場合.
    (3) stage の進行が予想又は診断された場合.
    (4) CIS (carcinoma in situ)
    (5) VUR (vesicoureteral reflux) のある再発性膀胱腫瘍で, 腫瘍が尿管口周辺にある場合.
    (6) 異所性多発性再発に対し, 経尿道的操作が技術的に不可能となった場合.
  • 第2報 リンパ球混合培養反応におけるフローサイトメトリーの応用
    神田 英憲, 国方 聖司, 松浦 健, 井口 正典, 秋山 隆弘, 栗田 孝
    1984 年 75 巻 6 号 p. 945-950
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    リンパ球混合培養におけるリンパ球幼若化反応をフローサイトメトリーを用いDNA合成から観察し, 得られたDNAヒストグラムからその幼若化率を数量的に算出する方法を試みた.
    ヒストグラムにおける細胞周期のS+G2+M期の細胞集団を dividing compartment とし, 応答細胞に占める dividing compartment の割合, すなわち幼若化率を%dividing compartment として算出した. 対照として同時に行った従来法による stimulation index と比較検討した結果, r=0.9493, p<0.01, n=12と極めて良い相関を認めた.
    本法はラジオアイソトープを必要としない利点があり, 今後組織適合性試験として有用であると考えられた.
  • 大川 光央, 岡所 明, 天野 俊康, 竹前 克朗, 折戸 松男, 菅田 敏明, 久住 治男
    1984 年 75 巻 6 号 p. 951-958
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    急性尿路感染症患者における血清中 sialic acid (以下, SSA) の急性相反応物質としての臨床的意義について検討した. 対象は, 急性単純性膀胱炎患者34例および急性腎盂腎炎患者14例の計48例で, 健康成人30例を対照とした. SSAの測定は, シアル酸テスト試薬 (極東製薬, 東京) を用いて酵素法により施行した. 採血は, 原則として, 急性膀胱炎では初診日, 急性腎盂腎炎では初診日および3, 5, 7, 14, 28日後に行い, 測定に供した. また. 同時に赤沈, 血清総蛋白量, 血清蛋白分画, CRP, 末梢血白血球数も測定した. なお, 対象例はすべて初診日より抗菌化学療法が施行された. 健康成人のSSAは55.1±1.1mg/dl (mean±SE, 以下同じ) で, 男子では55.5±1.6mg/dl, 女子では54.6±1.7mg/dlで男女間に有意差は認められなかった. 急性膀胱炎患者の初診日のSSAは65.4±1.8mg/dlで, 対照に比し有意の高値を示した (p<0.001). 急性腎盂腎炎患者のSSAは, 初診日には97.4±5.1mg/dlで, 対照および急性膀胱炎患者の初診日のそれよりいずれも有意の高値を示し (p<0.001), さらに3日後には102.0±5.1mg/dlの最高値となり, 以後漸減した. 一方, 他のパラメーターとの関係をみると, SSAは赤沈, α1-globulin およびα2-globulin と類似の推移を示した. 以上より, SSAは急性尿路感染症, ことに急性腎盂腎炎の病勢判定のための1指標となりうることが考えられた.
  • 藤永 卓治, 北村 慎治, 吉田 全範
    1984 年 75 巻 6 号 p. 959-966
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    Tissue polypeptide antigen (TPA) が健康人167例, 膀胱癌患者51例, 尿路上皮癌以外の他の泌尿器系癌患者20例, 泌尿器系良性疾患患者20例, 他臓器癌患者13例および chemical worker 66例の尿 (以下U-TPA) で測定された. また, 血清 (以下S-TPA) についても, 膀胱癌患者35例で検討された. 結果は以下のごとくであった.
    1) U-TPAには日内変動が認められた.
    2) 各群のU-TPA陽性率はコントロール群5.4%, 膀胱癌患者群92.2%, 他の泌尿器系癌患者群40%, 泌尿器系良性疾患患者群20%, 他臓器癌患者群23.1%および chemical worker 18.2%であった.
    3) 膀胱癌患者群はすべての群より陽性率および平均値ともに有意に高かった.
    4) S-TPAとU-TPAを同時に測定した膀胱癌患者35例において, U-TPAはS-TPAより陽性率および平均値ともに高値を示した.
    5) U-TPA値は膀胱癌患者群で histological grading 間に有意差を認めなかったが, pathological stage 間 (low stage と high stage) に有意差を示した.
    6) 膀胱癌患者で治療前後にU-TPAを測定しえた16例で, 全例治療後U-TPAの低下を認めた.
    7) 同時に測定された尿細胞診の陽性率は52.9%であり, U-TPAの陽性率の方が高い結果を示した.
    以上の結果より, U-TPA測定は尿路上皮癌の腫瘍マーカーおよび術後のモニタリングとして有用である可能性が示唆された.
  • 武島 仁, 石川 博通, 相川 厚, 影山 隆久
    1984 年 75 巻 6 号 p. 967-972
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    最近1年間に当院でおこなわれた下部結腸癌に対する手術は15例でそのうち5例が骨盤内臓器全摘術であった.
    これら5例の年齢は最高74歳, 最低35歳で男性4例, 女性1例であった. 主訴は血便が2例で, 便秘, 腹部膨満および直腸腫瘤がそれぞれ1例ずつであった. 病悩期間は, 最長25ヵ月, 最短10日であった. また5例のうち2例は以前に人工肛門を造設されていた.
    原発巣は直腸が4例で, 直腸とS状結腸に同時発生したものが1例であった. 全例とも膀胱浸潤があり, 女性例では子宮, 回腸に, 他の2例では前立腺と口側S状結腸にそれぞれ浸潤が認められた. 手術時間は最長695分, 最短310分であり, 出血量は800mlから5,200mlにおよんだ.
    病理組織学的所見では, 高分化癌3例, 中分化癌2例であり, リンパ節転移, 腹膜浸潤がそれぞれ1例にみられた.
    術後合併症は3例に認められたが, 重篤なものはなかった. 予後をみると, 1例が術後6ヵ月で癌死した以外は4例とも生存中である.
    文献的報告やわれわれの成績において, 骨盤内臓器全摘術をうけた症例の5年生存率が同病期の浸潤癌全体のそれを大きく上まっていることや最近手術死亡が減少傾向にあることが証明されたため, この手術の有用性が示唆された一方, 術式を中心として末だに改良すべき点が残されているのが現状である.
  • 中村 薫, 白水 幹, 山本 正, 木村 哲
    1984 年 75 巻 6 号 p. 973-978
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    左腎静脈内腫瘍血栓を伴った左腎平滑筋肉腫の1例を報告する. 腎平滑筋肉腫は1957年以来, 本邦では自験例を含め38例が報告されているが, 腎静脈腫瘍血栓を伴った症例は我々が検索した限りではこれまでに報告をみない. 症例は51歳男性で, 1983年7月18日左季肋部痛と左季肋部腫瘤を主訴に当科に入院した. 排泄性腎盂造影では左腎は描出されず, 逆行性腎盂造影では左腎盂, 尿管は腫瘍の辺縁に沿って圧排されていた. 体部CTでは腫瘍は大部分 low density で壁不整像を呈した. 大動脈造影では hypovascular pattern を示し, 左腎動脈は閉塞し, 脾動脈腰動脈からの parasitic supply を通して, 左腎静脈に thread and streak pattern がみられ, 左腎静脈内腫瘍血栓が示唆された. 1983年8月16日経腹的左腎摘出術を施行した. 腫瘍内には500mlの黄色透明液を含み, 左腎静脈内に腫瘍血栓を認めた. 摘出腫瘍の大きさは17×12×18cm, 重量は内容を含めて1,300gmで腫瘍は左腎被膜と連続し, 左腎は腫瘍にとり囲まれていた. 組織学的には, 原発性左腎平滑筋肉腫で, 左腎静脈内には腫瘍血栓を認めた. 術後左腎床に30Gyの Linac 照射を行った. 術後4ヵ月経過し, 腫瘍の再発の徴候もなく健在である.
    腎平滑筋肉腫の臨床像, 画像診断を中心に若干の文献的考察を加え報告する.
  • 岡村 菊夫, 伊藤 浩一, 佐橋 正文, 下地 敏雄
    1984 年 75 巻 6 号 p. 979-983
    発行日: 1984/06/20
    公開日: 2010/07/23
    ジャーナル フリー
    原発性前立腺扁平上皮癌は, 極めて稀であり, 本邦では, 現在までに3例が報告されているにすぎない. また本症の予後は不良であるとされている.
    本症例は, 59歳の男性で排尿困難・尿閉を主訴に受診した. 前立腺肥大症の診断下に, 経尿道的前立腺切除術が施行され, 病理組織学的に扁平上皮癌と診断された. 2ヵ月後前立腺全摘術及びリンパ節郭清術を施行した. リンパ節転移に対し, 放射線療法をおこなったが, 局所に再発し, 初診より10ヵ月後に死亡した.
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