ヒト腎癌細胞由来培養株KU-2の heterogeneity 解析の一環として, KU-2とクローン株N-2, 3, 5~11, 13の腫瘍形成能および natural killer (NK) 細胞に対する感受性について検討した.
In vitro における clonogenicity, 即ち軟寒天中のコロニー形成をみると, 10
4コ/mlの細胞濃度においてKU-2は45.7%と高い plating efficiency (PE) を示したが, クローン株では6.8%~54.9%と, クローンにより差がある事が判明した. そこで, これらよりN-7 (PE=21.7%), N-8 (40.0%), N-10 (22.1%), N-13 (6.8%) を選び, KU-2と共にヌードマウスでの腫瘍形成能について検討した. 2~5×10
7コの細胞を側腹部に皮下注した結果, KU-2, N-8, N-10では各々3/5, 2/6, 3/6に腫瘍形成を認めたが, N-7, N-13では全く腫瘍形成を認めなかった. 次いで, 腫瘍形成能とNK感受性との関連について解析するため, ヒトPBL中のNK細胞による細胞障害作用を
51Cr-releasing assay により検討した. その結果, NK細胞による障害に対して最も抵抗性を示したのはN-8で, 次いでN-10, KU-2, N-13, N-7の順であった.
以上, KU-2が異なる腫瘍形成能を持つ細胞より成ること, 腫瘍形成能は in vitro における clonogenicity とNK抵抗性に正の相関を示すことが判明した. 更に parent cell であるKU-2は高い腫瘍形成能を示しており, これからN-7, N-13の様な腫瘍形成能の低いクローンが分離されたことは, 腫瘍細胞の一部はより分化型へと移行する可能性があると考えられた.
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