膀胱移行上皮癌でG
1T
1以下の208例 (うち初発147, 再発61), G
2T
1の27例, T
2以上の36例, 腎盂尿管腫瘍術後に膀胱腫瘍の発生した15例の計286例を対象に長期膀胱内注入療法をおこない, その再発予防効果を検討した.
対照はG
1T
1以下でTURのみで経過観察されている初発61例と, これらの再発36例である. 注入薬剤はADM 30mg, CQ 3mgの単独とADM 20mg, CQ 3mgにCA 120mgを併用した4法を無作為に選択して生理食塩水あるいは溶解液30mlに溶かして注入した. 方法はTUR後3~4日及び10~14日の間に1回, 以後2週間隔で8回, その後1カ月間隔で8回, 2年目は3カ月に1回, 3年目以降は3~6カ月に1回の割り合いで注入した.
5年再発率では各薬剤間に有意差はなく, 一括すると, G
1T
1以下初発群で28.6%, 再発群で50.8%であり, 対照群の53.2%, 78.2%に比較して有意に再発予防効果を認めた.
G
2T
1では48.1%, T
2以上では58.8%, 腎盂尿管腫瘍術後では63.0%の再発率であった.
再発あるいは再々発以後の組織学的異型度と深達度の進行 (up grade, up stage) はG
1T
1以下の注入群で15.4~19.4%にみられ, 対照群の16.7%に比較して有意差はなかった.
G
1T
1以下初発例において, 乳頭状有茎性, 3cm以下, 単発が乳頭状広基性, 3cm以上, 多発に比較して再発率が低かった.
副作用は頻尿, 排尿痛などを薬剤に差がなく, 9.1%に認めた.
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