視覚の科学
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35 巻, 2 号
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総説
  • 佐藤 雅之
    2014 年 35 巻 2 号 p. 33-37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    立体視には大きな個人差があるが,その詳細は明らかではない。本稿では,最近我々の研究室で行った人間の奥行き知覚に関する三つの実験について報告する。実験1では,若年層を中心とする健常者118名の立体視力を測定した。半数の被験者は立体閾が20s以下であったが,13%の被験者は測定不能であった。実験2では,奥行き情報の統合の際に被験者が網膜像差情報と遠近法情報に与える重みを測定した。遠近法情報の重みは0~1.5の広い範囲に分布し,立体閾との相関は低かった。実験3では,大きな網膜像差による奥行きの知覚における運動の効果を測定した。実験3の結果は実験1と実験2で得られた基礎的な特性で説明できる部分もあるが,それ以外の要素も寄与していることが明らかになった。これは,周辺視野における立体視力や奥行きの傾斜に対する感度などが個人の立体視能を記述するための独立した変数であることを示唆している。
  • 三橋 俊文
    2014 年 35 巻 2 号 p. 38-42
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    Zernike 多項式は,光学系の評価で有効な二次元関数である。眼のような回転対称でない光学系の収差を評価するためには,理想的なツールといえる。角膜形状測定や眼球全体の波面収差の測定が可能になってからは,頻繁に使われる。臨床的には多くの場合,Zernike 多項式の意味を理解し,解析された答えを正しく判断できれば十分であるが,その収差量の原因を知るためには,式の形を考え,光学的になぜその収差が発生するかを検討することが必要となる。そのためにZernike 多項式の理解と自由に操れるようになることを目指そう。
原著
  • 今井 新太郎, 玉木 徹, Bisser Raytchev, 金田 和文, 曽根 隆志, 木内 良明
    2014 年 35 巻 2 号 p. 43-47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/12
    ジャーナル フリー
    目的:コンピュータシミュレーションによる網膜像作成により、眼内レンズ(IOL)のエッジ形状の違い、高輝度光線からの光線の入射角度、瞳孔径の変化による網膜上でのグレアの影響を比較検討する。  方法:IOLモデルと眼球モデルを用いた光線追跡シミュレーションの結果を利用して、入力画像の輝度を眼底に分配することで網膜像を作成する。2種類のエッジ形状をもつIOLに対して、夜間の街灯照明下における網膜像を作成した。  結果:瞳孔径8mmのとき、シャープエッジとラウンド・シャープ融合型エッジの両者のIOLでグレアが確認された。しかし、後者ではグレアの明るさは弱くなっており、影響が軽減されていることが確認された。入射光の角度が大きくなった場合、円弧状グレアとは別のタイプのグレアが確認された。瞳孔径が4 mm以下のとき、グレアの影響がなくなった。  結論:シミュレーションにより網膜像を作成して異なる状況下でのグレアの影響を明らかにした。
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