視覚の科学
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40 巻 , 3 号
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総説
  • 佐藤 雅之, 須長 正治
    原稿種別: 総説
    2019 年 40 巻 3 号 p. 39-43
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
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    過大な両眼網膜像差は複視を生じ,奥行きの印象を弱めることが知られているが,最近の研究により,刺激の運動によって非常に大きな網膜像差に対しても鮮明な奥行きが知覚されることが明らかになった。ここでは,1次元DoG刺激を用いて奥行き知覚に必要なコントラスト閾を測定した実験を紹介し,大きな網膜像差を検出するメカニズムの時空間特性について議論する。DoGの空間定数σを0.11~2.3 degの範囲で変化させた。刺激の運動が非常に大きな網膜像差による奥行き知覚を促進する効果は中程度のσのときに特に顕著であった。これは,刺激の空間周波数ではなく大きさに同調した網膜像差検出器によって大きな網膜像差が処理されていることを示唆している。

原著
  • 広原 陽子, 広田 雅和, 宮川 雄, 雜賀 誠, 不二門 尚
    原稿種別: 原著
    2019 年 40 巻 3 号 p. 44-50
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
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    両眼視下での屈折の動的解析を用いた近見眼鏡処方の有用性を検討した。初期老視の被検者(42歳~49歳)12例に対し,前方開放型両眼波面センサー試作機(トプコン)を用い,完全矯正眼鏡装用下で5 m視標を1秒間,40 cm視標を6秒間固視した状態の収差(屈折)を30フレーム/秒で動的に測定した。さらに加入度を2 Dまで0.5 Dずつ付加し同様の測定を行い,得られた屈折の時間変化から調節ラグ,変動係数,戻りの観点で加入度を判定した。この加入度と,自覚近見処方値(視距離40 cm)と比較したところ,12例中10例は処方値のずれが±0.5 D以内の結果が得られた。外れた2例は,普段眼瞼が瞳孔にかかって焦点深度を増やした可能性や,長時間の調節維持が困難な可能性があった。本研究により初期老視の症例に対して,両眼視時の他覚測定により自覚に近い近見眼鏡処方の参考値を得ることができた。今後瞳孔径等の検討がさらに必要である。

  • 中新井田 悠太, 半田 知也, 川守田 拓志, 岩田 遥, 庄司 信行
    原稿種別: 原著
    2019 年 40 巻 3 号 p. 51-54
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
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    目的:片眼遮閉下と両眼開放下における中間距離の他覚的屈折値変化について検討した。

    方法:対象は健常被験者18名18眼(平均22.1 ± 2.1歳)である。測定には両眼開放オートレフラクトメータWAM-5500と視標移動システムが一体となったWMT-1(シギヤ精機製作所)を用いた。タブレット端末に十字視標を提示し100–50 cmの間を定屈折速度(0.2 D/sec)で移動させ,他覚的屈折値を測定し,90–80,80–70,70–60,60–50 cmで比較検討した。

    結果:80–70 cmより近方において,屈折値は片眼遮閉下と比べて両眼開放下で有意に近視化した。

    結論:80–70 cmの間で相対輻湊の範囲を超えて発生した融像性輻湊によって輻湊性調節が起こり,両眼開放下の屈折値は有意に近視化する可能性が示唆された。

  • 宮川 雄, 広田 雅和, 山口 達夫, 雜賀 誠, 森本 壮, 不二門 尚
    原稿種別: 原著
    2019 年 40 巻 3 号 p. 55-60
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
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    急性帯状潜在性網膜外層症(AZOOR)は網膜外層の視細胞が変性することで急性に視力低下や視野欠損を来たす疾患であり,また数ヶ月で急速な回復がみられることもある。既存の装置では異常所見を正確に捉えることができないが,補償光学レーザー検眼鏡(AOSLO)を用いれば錐体細胞の変性を観察できることが報告されている。今回我々は(株)トプコンの試作型広角AOSLOにより,8ヶ月にわたるAZOORの経過観察を行った。対象は左眼にAZOORを発症した44歳女性である。全体像を把握する低倍率(視野角21度)と,錐体細胞を詳細に観察する高倍率(同1度)で毎回同様の撮影を行い,さらに錐体細胞密度を計算した。結果,AZOORに伴う眼底の異常所見とその回復過程を明瞭に捉え,錐体細胞密度の増加を確認できた。今後AOSLOが普及すれば,AZOORのような疾患の経過に対する理解がより深まるものと期待される。

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