人間の色覚は一般的には可視光の異なる波長域に感度ピークを持つL, M, S錐体という網膜にある3種類の錐体の応答に基づく3色覚である。一方で,人間の色覚には多様性があることも知られている。その代表例が医学用語で2色覚や異常3色覚(総じて「色覚異常」)と呼ばれる色覚特性を有する人である。これらの色覚特性の特徴は,見分けられない色の組み合わせが存在することである。そのため,2色覚や異常3色覚は,かつて色盲や色弱と呼ばれ,進学や就職の際に制限が設けられるなどし,差別の対象となっていた。また,これらのことから,2色覚は不利な色覚であるとみなされてもいた。しかしながら,色覚が担う全ての役割にて,2色覚であることが不利に働くわけではないことも報告されている。例えば,Morganら(1992)やSaitoら(2006)はカモフラージュパターンにて,色ノイズの影響が3色覚よりも2色覚に対して弱くなることから,目標となるパターン検出にて2色覚は3色覚よりも優位になることを報告している。本論文では,色覚多様性と2色覚の優位性について紹介する。
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