滲出液管理は、全層欠損褥瘡の局所管理に重要である。適切な管理方法の選択には、滲出液量の評価が必須となる。従来の評価法である創傷被覆材交換回数や重量による推定は半定量的であり、妥当性と信頼性に限界がある。本研究の目的は、全層欠損褥瘡の滲出液量分布を明らかにし、褥瘡の重症度を用いた滲出液量の定量的推定アルゴリズムを検討することである。研究デザインは横断研究であり、60歳以上の全層欠損褥瘡保有患者36名44褥瘡を対象とした。基準として、ポリウレタンフィルムを貼付し、中に貯留させた滲出液量を測定した。滲出液量の中央値(範囲)は4.2(0.1-47.0)ml/日であった。一般線形モデルを用いて滲出液量実測値の推定モデルを検討した結果、ガーゼ交換回数を用いた評価法単独よりも(R2=0.44)、ガーゼ交換回数と22点ごとにカテゴリー化したDESIGN-R総点、治癒過程を組み合わせた計5クラスを用いたモデルのあてはまりが最も高かった(R2=0.67)。滲出液量予測値(ml/日)の平均(95%信頼区間)は、クラス1:0.2(0.1-0.4)、クラス2:1.2(0.6-2.2)、クラス3:4.7(2.2-10.0)、クラス4:7.3(3.4-15.7)、クラス5:27.3(9.8-76.0)であった。以上より、定量的な滲出液量推定アルゴリズムが開発され、褥瘡の滲出液管理方法の標準化に貢献できる。
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