本研究は、皮膚・排泄ケア認定看護師(以下WOCN)が褥瘡管理体制を組織化するための調整力自己評価尺度の信頼性と妥当性の検証を目的とした。尺度は先行研究より項目を抽出し作成した。調査方法は、全国の病院に勤務するWOCNに無記名自記式質問紙調査を実施した。妥当性の検証は因子妥当性、判別妥当性、併存妥当性の観点より分析した。信頼性の検証は、内的一貫性の観点より6ドメインにおける各因子のクロンバックα係数を算出した。その結果、尺度は、対病棟管理者調整力1因子、対スタッフナース調整力3因子、対医師調整力1因子、対管理組織調整力1因子、対多職種調整力1因子、褥瘡を治癒させるスキル1因子の計64項目で構成された。各ドメインの累積因子寄与率は46~61%であり、因子妥当性が検証された。WOCN歴3年以上群は、褥瘡を治癒させるスキル以外の5ドメインで合計得点が有意に低く、経験年数が多いほうが調整力が高かったことから、判別妥当性が検証された。褥瘡ハイリスク患者ケア加算導入の有無で5ドメイン、WOCNが横断的に活動できる環境の有無で6ドメインの合計得点で有意差がみられた。このことから、一部併存妥当性が検証された。信頼性の検証では、1因子以外すべてα係数0.80以上であり、内的整合性が検証された。以上より、本尺度は、WOCNの調整力をアセスメントする参考資料としての活用可能性が示唆された。
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