難治性のために患者のQOLの低下を招く静脈性下腿潰瘍のケア介入につながるアセスメントツールの将来的な作成上の基礎資料とするために、本研究は肉眼的に観察可能である静脈性下腿潰瘍に特有の治癒のプロセスを明らかにすることを目的とした。6ヵ月間に、静脈疾患が専門の医師が勤務する一般病院に受診した患者の静脈性下腿潰瘍10部位の変化を縦断的に記述し、グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析を行った。分析の結果、静脈性下腿潰瘍は、<下肢のうっ滞の改善>に伴い、<創周囲皮膚の正常化>、<滲出液の量と質の改善>、<創面の付着物の減少>が同時期に起こる結果、<肉芽の浮腫の改善>が起こる。その後、<良性肉芽の出現>、<色調変化のある肉芽の出現>がみられ、最終的に創周囲から、または周囲および創内部からの島状の<上皮化の開始>が生じて創閉鎖にいたるというプロセスが抽出された。特に、今回、新たな知見として、①肉芽内部の点状の陥凹部分から島状の上皮化が起こること、②褐色の肉芽部分からも上皮化が起こることの2点が静脈性下腿潰瘍の治癒過程の特徴として初めて明らかになった。本研究の結果により、静脈性下腿潰瘍は他の慢性創傷とくらべて特徴的な治癒過程をたどること、したがって、静脈性下腿潰瘍特有の創面のアセスメントツールが必要であることが示唆された。
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