目的:加齢に伴う脆弱な皮膚は創傷発生のリスクとなる。本研究は、地域高齢者に対する脆弱な皮膚状態(スキンフレイル)のスクリーニングツールを開発し、妥当性を評価した。
方法:65 歳以上の地域住民を対象とし、横断研究を実施した。ツール項目は文献や皮膚科医らの助言をもとに作成した。高齢者が回答できるよう平易な言葉で質問文を作成し、回答は2 件法とした。本人評価に加え、看護職1 名が独立して前腕部のデジタル写真に対し、所見を評価した。看護職評価値を用い、構成概念妥当性として探索的因子分析を、併存妥当性として角質水分量、皮膚粘弾性、超音波法による皮膚の厚みとの関連を評価した。
結果:192名を解析対象とした。平均年齢は75.2歳、女性が181名であった。項目として2因子10項目が抽出された。「はり低下」因子には4項目が含まれ、合計得点は皮膚の最大変形R0(r=0.18、p=0.021)と正の相関を、復元率R2(r=-0.39、p<0.001)、皮膚の厚み(r=-0.42、p<0.001)と負の相関を示した。「乾燥」因子には6 項目が含まれ、合計得点は角質水分量と負の相関を示した(r=-0.40、p<0.001)。フレイル群は健常群にくらべ第1因子合計点が有意に高かった。
結論:地域高齢者に対するスキンフレイルスクリーニングツールを開発し、看護職評価の構成概念妥当性、併存妥当性を確認した。
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