日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
22 巻, 4 号
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原著
  • 吉田 美香子, 井川 靖彦, 東村 志保, 鈴木 基文, 真田 弘美
    2019 年 22 巻 4 号 p. 335-344
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     目的:清潔間欠自己導尿(CISC)を行う際に、女性患者はカテーテルの取り扱いが困難なことがある。本研究の目的は、CISC を行う女性患者において、コーティングのない通常の使い捨てカテーテル(UC)と比較することで、親水性コーティング付コンパクトカテーテル(HC)の尿路感染症(UTIs)予防と生活の質(QOL)向上への有効性を検証することとした。
     方法:前向き多施設無作為化比較試験(平行デザイン)を用い、6 ヵ月間にわたり女性患者36 名を追跡した。主要アウトカムは、症状性UTIs の発生率とし、抗菌薬による治療を行ったUTIs と、厳密なUTIs(抗菌薬による治療と尿中細菌数>102 CFU/mL)に分けて発症を調べた。副次アウトカムは、Intermitted Self-catheterization Questionnaire(ISC-Q)とQualiveen® により評価したQOL と、CISCに対する感想とした。 
     結果:研究に組み入れた36名のうち、29名が調査を完遂した。抗菌薬による治療を行ったUTIsの発生は、UC群(5/13, 38.5%)にくらべてHC 群(2/16, 12.5%)で低かったが、統計的有意差はなかった。両群ともに厳密なUTIs を発症した者はいなかった。UC 群にくらべてHC 群は、ISC-Q の3 つの下位尺度「使いやすさ」「利便性」「心理的ウェルビーイング」と、Qualiveen® の4つの下位尺度において、有意によいQOL を示した。割り付けられたカテーテルを用いた導尿に対する安全性や満足度はHC 群で高かった。 
     結論:HC は、UC と比較して症状性UTIs のリスクを減少させる効果は認められなかったが、女性患者においてCISC に関連するQOL を改善できることが示された。

  • 横野 知江, 真田 弘美, 須釜 淳子, 中山 和弘, 河合 薫, 紺家 千津子, 松井 優子, 木下 幸子, 佐藤 文, 溝上 祐子
    2019 年 22 巻 4 号 p. 345-356
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     本研究は、褥瘡管理を行うWOCN の調整力およびストレスマネジメント力向上を目的としたE ラーニングプログラムを開発し、そのプロセス評価およびアウトカム評価を行うことを目的とした。病院で褥瘡管理にかかわるWOCN 80 名を対象に3 ヵ月間プログラムを実施し、実施前後にアンケート調査を行った。その結果、プロセス評価では、プログラム修了者が80名中36名であった。修了者の特徴として専従の割合が高かった。また、調整力尺度の病院管理者、SOC-13 の合計得点において、修了群のほうが中断群より得点が低かった。プログラムの改善点について【思考の整理ができる】といったポジティブな感想、【現実とのギャップ】といったネガティブな感想、そして今後のプログラムに望むことについて【実用化を希望】など35 カテゴリが抽出された。アウトカム評価では、実施前後における調整力尺度および心理的well-being 尺度に統計学的に有意な得点変化はみられなかった。これは対象者のニーズとの不一致、調査期間が短かったことが考えられた。以上より本プログラムを必要としている対象者の社会的役割の変化やニーズを的確に捉えた内容にアップデートすることが求められる。また多忙なWOCNが自分のペースで学習できる質、量に改善する必要がある。このことにより特に病院管理者との関係性に難渋しているWOCN、ストレス対処力に自信をもつことができないWOCN にとって有効なプログラムになるであろう。

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