目的:清潔間欠自己導尿(CISC)を行う際に、女性患者はカテーテルの取り扱いが困難なことがある。本研究の目的は、CISC を行う女性患者において、コーティングのない通常の使い捨てカテーテル(UC)と比較することで、親水性コーティング付コンパクトカテーテル(HC)の尿路感染症(UTIs)予防と生活の質(QOL)向上への有効性を検証することとした。
方法:前向き多施設無作為化比較試験(平行デザイン)を用い、6 ヵ月間にわたり女性患者36 名を追跡した。主要アウトカムは、症状性UTIs の発生率とし、抗菌薬による治療を行ったUTIs と、厳密なUTIs(抗菌薬による治療と尿中細菌数>102 CFU/mL)に分けて発症を調べた。副次アウトカムは、Intermitted Self-catheterization Questionnaire(ISC-Q)とQualiveen® により評価したQOL と、CISCに対する感想とした。
結果:研究に組み入れた36名のうち、29名が調査を完遂した。抗菌薬による治療を行ったUTIsの発生は、UC群(5/13, 38.5%)にくらべてHC 群(2/16, 12.5%)で低かったが、統計的有意差はなかった。両群ともに厳密なUTIs を発症した者はいなかった。UC 群にくらべてHC 群は、ISC-Q の3 つの下位尺度「使いやすさ」「利便性」「心理的ウェルビーイング」と、Qualiveen® の4つの下位尺度において、有意によいQOL を示した。割り付けられたカテーテルを用いた導尿に対する安全性や満足度はHC 群で高かった。
結論:HC は、UC と比較して症状性UTIs のリスクを減少させる効果は認められなかったが、女性患者においてCISC に関連するQOL を改善できることが示された。
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