日本プロテオーム学会誌
Online ISSN : 2432-2776
ISSN-L : 2432-2776
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総合論文
  • 伊東 可寛, 川島 祐介
    2025 年10 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/28
    ジャーナル フリー

    皮膚は生体の最外層のバリアーであり,皮膚の常在菌叢は皮膚バリア機能の重要な要素である.宿主-微生物の相互作用の破綻は,アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬などの慢性炎症疾患と深く関連する一方で,炎症を抑制し治療薬のシーズとなり得る皮膚常在菌の存在が指摘されている.本稿では皮膚常在菌のひとつであるStaphylococcus cohniiの皮膚炎抑制能と,皮膚に定着した細菌の遺伝子発現解析で用いたプロテオミクスの手法を紹介する.さらに皮膚常在菌の棲家となる皮膚最外層の角層について,内側から弱酸性-酸性-中性の異なるpHによる明瞭な三層構造を呈すること,角層のタンパク質解析について最新の知見を含めて紹介する.タンパク質解析を含めた様々な手法を用いることで,皮膚常在菌と角層の相互作用を解明し,皮膚常在菌による新たな治療法の開発が期待される.

総説
  • 吉沢 明康, 小林 大樹, 河野 信
    2025 年10 巻1 号 p. 11-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/28
    ジャーナル フリー

    Journal of Proteome Data and Methods(JPDM)はデータ論文を掲載するが,データ論文と通常の研究論文の違いやその目的がわかりにくい,という印象を抱く人は少なくないと思われる.そこで本論では,データ公開が必須になった経緯のまとめ・データ論文では何を目的にどのような内容を書くべきか・JPDMでデータ論文を書くときの具体的な注意点,の3つの主題について論じた.最初の主題ではインターネットの普及など技術的側面ではなく,ヒトゲノム計画をはじめとした研究プロジェクトと,そこでのデータ公開指針の変遷に焦点を当て,その次の主題ではデータの再利用の例や,他のデータジャーナルではデータ論文をどのように位置づけているのかについて紹介する.最後の主題では,実際にJPDMに投稿された論文に対する査読者のコメントに基づいて,具体的な箇所を挙げて述べる.

  • 近藤 格
    2025 年10 巻1 号 p. 27-34
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/28
    ジャーナル フリー

    希少がんは症例数の少なさゆえに診断・治療法の整備が遅れており,研究用の臨床検体や患者由来がんモデルが入手しがたい.本稿では,症例数が少ないことに起因する制約が希少がんのプロテオーム解析に及ぼす影響と,その克服に向けた工夫として古いFFPE病理標本の利活用やリビングバイオバンクの整備について述べる.また,筆者の研究室で樹立され肉腫細胞株やゼノグラフトなどの患者由来モデルを紹介し,研究資源の共有の重要性について議論する.さらに,希少がん研究で開発される手法や概念が,分子異常に基づいて細分化される他のがん種の研究に応用されうるという「リバース・イノベーション」を提案する.疾患の希少性に由来する課題に正面から向き合うことは,がん研究全体の未来を先取りする試みである.希少がん研究の推進は,臨床検体のバイオバンク体制やがんモデルの開発を通じて,がん研究全体に貢献するだろう.

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