人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
Print ISSN : 0386-8311
12 巻
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表紙・目次
論文
  • 勝野 真人
    原稿種別: 本文
    1989 年 12 巻 p. 1-10
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    一般に,特定年齢以上死亡割合は年齢別死亡率よりも死亡登録の不完全性,年齢申告の不正確性など,発展途上国におけるデータ上の問題の影響を受けにくいという利点がある。例えば, Swaroopと, Uemuraの提唱した50歳以上死亡割合(PMI: Proportional Mortality Indicator)は,このような途上国間の保健水準の比較に簡便かつ有効な指標として知られる。しかし,本来PMIは各年齢階級における死亡率の相対的水準のみを反映するもので,人口構成の影響をも含んでおり,平均寿命のように年齢階級別死亡率の絶対的水準を集約した死亡指標に比べて,死亡水準との関係はかなりおおまかなものと考えられていた。そこで,今回筆者はPMIの値が死亡水準と実際には極めて密接な関係を持っていることを証明するべく,国連が収集した43の発展途上国の78組の男女別生命表と日本の1920年以降の12組の男女別生命表の合せて90組, 180表の生命表を分析した。これらは全て充分に吟味された信頼性の高い生命表であり,その平均寿命の値は約36年から80年までの幅広い範囲を網羅しており,様々な人間集団の死亡状況の適切なサンプルとみなしうる。分析内容は生命表のl(x)関数の各年齢における値と平均寿命との関係である。l(x)の値の範囲は今回検討した最高年齢である65歳まで年齢が高くなる程広くなる。しかし,散布図を観察すると,l(x)の値は50歳から60歳の範囲において平均寿命との関連が最も強くなり,この範囲ではほぼ直線的な関係を示すことがわかった。そこで, 5歳毎の各年齢におけるl(x)値と平均寿命との相関係数が男女別及び男女合計の3セットについて算出された。その結果, 50〜60歳のl(x)値については,相関係数はおよそ0.99と極めて高い値を示した。生命表の定常人口は,特定の年齢階級別死亡率と完全に均衡する水準の出生力によって人口が静止状態に達した時の人口構成を示しているが, l(x)値はこの定常人口における特定年齢以上の死亡割合に相当する。一方,平均寿命は定常人口における総死亡率の逆数である。従って上記の結果は,一般に静止状態の人口間では, 50〜60歳の特定年齢以上死亡割合を用いて平均寿命と同様に年齢階級別死亡率の総合的水準を比較しうることを示している。また,この結果はBrassの生命表理論にも合致するものであり,一つの経験的死亡法則とも言うべきものと考えられた。なお,実際人口におけるPMIの値は,人口転換が進展してその人口構成が静止人口に近づくほど生命表のl(50)の値に近づいていくことになるが,人口転換の達成を公衆衛生の最終目標と考えるならば, PMIは人口転換の進度を調整した死亡水準を表すものというように解釈できるものと考えられた。
  • 渡辺 真知子
    原稿種別: 本文
    1989 年 12 巻 p. 11-24
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    人口移動は様々な要因によって引き起こされる一つの現象であり,経済的要因によってのみ説明されるものではない。しかしながら,マクロ的にみると経済成長が加速化している時期には人口移動の量は拡大しており,経済成長が停滞してくると人口移動も沈静化してきている。このことからいっても人口移動は一つの経済現象である。事実, 1950年代後半から60年代にかけて地方から大都市地域への人口集中によって急速に量的拡大を遂げた国内人口移動は, 70年代に入ると移動量の縮小・移動方向の変化というように趨勢を大きく変えているが,この動向は,日本経済が高度成長期を経て低成長期の現在に至る30数年の間に遂げた産業構造変化と地域構造変化,そしてその結果である各地域の就業構造の変化と密接に関連している。各地域の転入者数の動向と産業別就業者数の動向を対応させると,高度成長期を通じて,人口移動への影響度が高かったのは第二次産業,特に製造業の雇用動向であった。しかしその影響度は低成長に移行してから急速に小さくなり,それに替わって第三次産業の雇用動向が人口移動の動向を大きく支配するようになってきた。従って,これからの人口移動の動向は,第三次産業の地域的展開に大きく依存することになろう。県民一人当り産業別付加価値額の変動係数の推移をみる限り,これまで地域的偏在が比較的小さかった第三次産業の状況は, 1980年代に入ってから若干変化をみせている。しかしながら高度成長期に大規模な人口移動を引き起こした製造業に比べれば,その立地の偏りは小さい。そうだとすれば第三次産業の地域的集中が進んだとしても, 1960年代のような大規模な人口移動が今後起こるとは考え難い。
  • 皆川 勇一
    原稿種別: 本文
    1989 年 12 巻 p. 25-35
    発行日: 1989/05/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    1960年頃から,農山村および山村地域では,新規学卒者ならびに若者の激しい都市への流出,中高年層にまでおよぶ出稼ぎ,さらに,大量の挙家離村が生じ,その結果,地域人口および世帯の減少が顕著となった。これらの現象およびそれにともなう産業衰退ならびに農山村住民の生活困難が過疎問題である。この過疎の問題が認識され,過疎への対応策が取られてから20年を経た今日,過疎地域はどのような状況にあるか,過疎問題は改善されたと言えるだろうか。本稿ではこうした問題を人口学的側面から検討した。過疎白書にもとづき過疎地域の人口の動向をみると, 1960年代の急激な人口流出とくらべ,最近では,全体としての人口減少は鎮静化しつつある。1960年代のセンサス間人口減少率は10%をこえていたが, 1980〜85年間には3%台に低下し,各センサス間に10%以上の人口減少をみた市町村数も, 1965〜70年期の877から, 1980〜85年期には107に減少した。しかしながら,若年層の人口流出率は依然高い。その上,過去20年以上にわたる若年層の流出の必然的結果である人口老齢化にもとづく出生減と死亡率の上昇によって,過疎地域の人口減少率は今後ふたたび上昇することが将来推計によって明らかにされている。現在,過疎地域の最も深刻な問題は高齢者比率の急上昇である。過疎地域全体の65歳以上の人口の比率は, 1985年現在, 17%に達しており,今後の老齢化の進行も全国にくらべはるかに急速と推計される。この結果,過疎地域では,これから人口の自然減がさらに増大し,高齢者夫婦および高齢者の一人暮らしの世帯が急激に増加することになる。高齢化の進行は過疎地域の社会福祉問題を深刻化させるが,さらに今ひとつの問題は,'高齢化が地域経済の動向におよぼす影響の大きさである。1970年代には,地方経済のささやかな成長が生じたが,それを可能にした第一の主体的条件は,地元居住の中高年世代の多就業化であった。20代30代の若者の大量流出にもかかわらず,戦後農村部に留まりつづけた現在50歳以上層の多就業化こそが70年代の地方経済の拡大の一つの基礎条件であった。しかし,今後これらの就業者は引退ないし死亡し,地方の労働力の供給源は急速に萎縮せざるをえなくなる。とくに過疎地域ではこれは深刻な問題である。村おこし町づくりが様々な形で試みられるなかで,過疎地域の産業ならびに生活の再構成は,当面の地域政策に対し最大の難問を提起している。
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