人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
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13 巻
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表紙・目次
会長講演
論文
  • 河野 稠果
    原稿種別: 本文
    13 巻 (1990) p. 5-13
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本論文は,人口高齢化の影響について,特に子供と老人という従属人口の二つのグループを取り上げ,彼等の相対的経済的地位,彼等の生活の質が高齢化社会の到来によってどのように変化して行くのかを考察することを目的とする。出生率が低下し,中高年の死亡率が改善されれば,人口高齢化が起こり,年少人口は相対的においても実数においても増加する。そうなれば年少人口が社会経済的に有利であり,逆に老年人口は不利なことばかりだろうか。これに対し,プレストンは事実は全く逆だと主張する。人口高齢化の状況において老人の生活はむしろ良くなっており,むしろ割を食うのは年少人口であると論ずる。本報告は,年少人口が相対的に小さいことがその構成員に必ずしも有利な条件を与えないこと,逆に数の大きい老年人口はその数の大いさのためにむしろ良い効果を生ずるという"プレストン効果"が,日本の場合に当てはまるかどうかを検証しようとした。ここで2種類のデータを用いた。一つは「厚生行政基礎調査」による支出データであり,他は総務庁の「全国消費実態調査」による所得データである。前者は1975, 80, 85年の3年次に対するものであり,後者は1979年と84年の2年次のものである。そこで,個票の段階にまで遡り, equivalence scaleという世帯の規模による修正係数で一々を割り,インフレーターを掛けて時系列比較を可能にし,ついで世帯の殻をとって,世帯員個人のデータを年齢別に集計したものである。以上の分析の結論は,日本においてもプレストン効果が意外に見られるのではないかという点である。過去10年間をとってもわが国の生活水準は老若を問わず向上した。その全般的向上のために,プレストン効果は必ずしも格別に明らかではないが,少なくともこれまで高齢化によって老人の生活は悪くなっていないし,むしろ子供と比較して恵まれた状況になりつつあることは紛れもない事実だと思われる。人口高齢化の過程で,弱者は高齢者だけだというのは思い込みである。社会的弱者は従属人口の二つのカテゴリーである老人と子供だとして,複眼的に人口現象を眺める必要がある。
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  • 小島 宏
    原稿種別: 本文
    13 巻 (1990) p. 15-26
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本稿は日本における独身青年層の親との同居に対する兄弟姉妹数と出生順位の効果を検討することを目的とするが、これは結婚後については長男が親と同居することがしばしば期待されているのに対して、結婚前については必ずしもはっきりしていないためである。そこで, 1982年に人口問題研究所によって実施された「第8次出産力調査・独身者調査」のデータ(未婚者のみ)を用いてロジスティック回帰分析を行った。兄弟姉妹数は男女いずれにおいても結婚前の親との同居に対して有意な負の効果をもつが、長男・長女(あとつぎ)の続柄は男子においてのみ有意な正の効果をもつ。これらの結果は(1)娘に対して結婚前は親と同居し、結婚後は親と別居するようにとの圧力が強くかかり、(2)長男・長女に対して結婚前も結婚後も親と同居するようにとの圧力が強くかかり、(3)子供数が多い家庭の子供に対して混雑のため、結婚前に親と別居するようにとの圧力が強くかかる、という三つの仮説を裏付けている。結婚直後の親との同居予定の決定要因についてもロジスティック回帰分析が行われた。長男・長女の続柄は男子において非常に有意な効果をもつが、兄弟姉妹数は男女いずれにおいても有意な効果をもたない。このことは長男・長女への結婚後の親との同居に関する規範的圧力が、混雑による逆方向の圧力に左右されることがある結婚前の親との同居に関する圧力よりも強いことを示すようである。
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  • 南條 善治, 重松 峻夫, 吉永 一彦
    原稿種別: 本文
    13 巻 (1990) p. 27-35
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    この論文は全年齢区間での日本の全死因および主要死因の年齢別死亡率パターンを一つの数式であらわした,いわゆるパラメタライズドモデルに関するものである。全死因の場合にはこれまで多くの数式が年齢別死亡率に適用され,このモデルによって死亡率の平滑化,補間,死亡率の比較や死亡率の将来予測などに広く用いられているHeligman-Pollardモデルを1895-1985年の各年における日本の全死因の年齢別死亡率に適用した。4種類のコンピュータプログラムが用いられたが,適合の良さにやや問題があるのは1900年前後, 1945年前後, 1980年以降である。古い時代においてはデータの不備のためと思われるが, 1980年以降については死亡率曲線の形がこのモデルからわずかながらはずれて来ているためと思われる。従って今後よりよい適合のためには上記モデルを少し改良すべきかもしれない。このモデルの8パラメタの我々の表に基づいて1895-1985年における我が国の年齢別死亡率低下の歴史が説明された。ついで死因別死亡率に対するモデルとして悪性新生物,心疾患および脳血管疾患について新しいパラメタライズドモデルが試みられた。この様な結果は外国でも報告されていない。本研究は死亡率のモデル研究の初期の段階に過ぎず,もちろん満足すべきものではない。また年齢別死亡率パターンの将来推計ではモデルの持つパラメタの数が多く扱いにくいといわれる。そのためパラメタの将来推計に対し多次元としての新しい手法が研究されている。我々の死亡率モデルの将来研究として現在のモデルの改良とともに全く別の方法をも考慮している。
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  • 府川 哲夫, 清水 時彦
    原稿種別: 本文
    13 巻 (1990) p. 37-49
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    都道府県別生命表の作成は,かなり以前から行われており,厚生省統計情報部でも昭和40年から5年ごとに作成している。これに対し,市区町村別生命表は,死亡数の少ない小地域で観察される死亡率の不安定性という困難な問題のため,あまり研究が進んでいない。しかし,このような小地域における死亡率の推定には,ベイズ統計学が強力な手法となることが明らかにされてきている。「地域別生命表に関する研究班」(主任研究者:鈴木雪夫 多摩大学教授・東京大学名誉教授)では,小地域生命表の作成にベイズ統計学の手法を適用して1989年3月に「1985年市区町村別生命表」を発表した。本論文では,上記研究班での研究をもとに,ベイズ統計学の手法を生命表作成に適用する際の方法論を,伝統的統計学の手法との比較を含めて検討し,ベイズ統計学を用いた効果を論じ,結果として得られた市区町村別平均寿命を用いて死亡水準に関する若干の地域分析を行った。市区町村別生命表における性・年齢階級別中央死亡率の推定は,当該市区町村を含むより広い地域の死亡率の情報を利用するという形でベイズ統計学の手法を適用している。この方法は,ある市区町村の死亡率の推定において,その市区町村を含むより広い地域の死亡率を当該市区町村における観測結果により補整するという点できわめて自然なものであるといえる。このため,性・年齢階級別の推定死亡率は安定し,その結果,ほとんど全ての市区町村で平均寿命に対する標準誤差が0.5年以内に収まることがわかった。北海道の全市区町村を例に,ベイズ統計学の手法を適用した場合と適用しない場合の,女の平均寿命に対する標準誤差を比較してみると,全ての市区町村でベイズ統計学の手法を適用した場合の方が精度がよく,特に人口規模の小さい市町村においてその効果が顕著であることがいえる。市区町村別生命表の結果を用いて地域の死亡率の特徴を考察すると, (1)長野,岐阜,静岡の3県は男の平均寿命が高い市町村が多いが,男の90歳以上の死亡率は全国平均値より高い, (2)有明海沿岸の市町村は男女とも比較的平均寿命が高いが,特に女の80歳以上の死亡率はきわだって低い,等のことがわかった。このように,市区町村別生命表の結果を用いて,従来観察できなかった小地域の死亡水準に関する分析が可能となった。
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