人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
Print ISSN : 0386-8311
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15 巻
選択された号の論文の102件中1~50を表示しています
表紙・目次
会長講演
論文
  • 府川 哲夫, 今井 香織
    原稿種別: 本文
    15 巻 (1992) p. 5-17
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    家族のライフ・サイクルは死亡率の低下によって大変大きな影響を受けている。夫28歳・妻25歳の新婚カップルの平均婚姻期間の推移を見ると,戦前には30年以下であったが,今日では約46年にのびている。現在60歳の父親と30歳の跡取り息子の将来を考えると,あと約20年父親の代が続き息子が50歳で親の跡を継ぎ,息子の代が29年続くというのが今日の死亡水準での平均像である。嫁50歳・姑80歳のペアの共生期間は戦後35年間に5.9年から8.2年に増加し,姑が死亡してから嫁が死亡するまでの平均期間はこの間に21年から26年に増えていることがわかる。60歳の平均余命の延びという観点だけから見ると, 1960年の60歳は1990年の67〜68歳に相当する。高齢者の要介護率は年齢とともに上昇し,その率を1990年簡易生命表の定常人口にあてはめると, 80歳以上の女性の要介護者と50〜64歳の女性人口との比率は1対20 (男性の要介護者も含めると1対13)となる。家庭における介護機能の低下及び寿命の延びによって,高齢者介護の問題は今後ますます深刻になることが予想されているが,我が国においては女性の就業にまつわる問題,住宅事情,福祉のたち遅れ,介護マンパワーの圧倒的な不足,等高齢者介護の問題の解決を困難にしている多くの要因が存在している。特に介護マンパワーについては,例えば高齢者保健福祉推進十カ年戦略(ゴールドプラン)にあるホームヘルパー10万人という目標値が達成されたとしても,他の先進諸国に比べて低水準にとどまり,日本社会の意識改革やパラダイムの転換といった変化が必要である。高齢者介護の問題では, (1)できるだけ介護を必要とする高齢者を作らない, (2) ADLが多少低下しても高齢者が自立した生活を送れるように社会サービスを拡充する, (3)重度の要介護高齢者に対しては社会全体で支える介護システムを作る,といった3段階のアプローチが重要であると考えられる。要介護の高齢者をかかえている家族だけが精神的にも経済的にも過度の負担を強いられている現状は一刻も早く解消する必要がある。
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  • 小島 宏
    原稿種別: 本文
    15 巻 (1992) p. 19-30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本研究は出生力に関する動向と政策に対する日本人の意識の規定因を明らかにし,場合によっては家族政策のための基礎資料を提供することを目的とする。人口問題研究所が1985年に実施した「家族ライフコースと世帯構造変化に関する人口学的調査」のデータに多項ロジット・モデルを当てはめた。これらの意識の人口学的,社会経済的,地域的規定因に関する仮説は,既存の欧米の同種調査の分析結果に基づいて策定された。本研究は次の四つの文に対する肯定的,否定的,中立的態度を分析した。それらは(1)「日本の人口は多すぎるので,これ以上増えないように夫婦が生む子供の数は減った方が良い」, (2)「老人の割合が高くなると社会の負担が重くなるので,夫婦が生む子供の数は増えた方が良い」, (3)「日本の夫婦は自分達が本当に欲しい数の子供を生んでいる」, (4)「日本の夫婦が欲しい数の子供を生めるように政府は対策をたてた方が良い」。結果の大部分は仮説と合致したものであった。女子,若年,高所得(支出),農村居住は(1)に対する否定的態度を促進し,高年,低所得,大都市居住は肯定的態度を促進する。(2)に対する態度についてはほぼ同じ変数が逆方向の効果をもつ。高年,低学歴,農村居住,東北・北陸地方居住は(3)に対する肯定的態度を促進する。女子,農村居住は(4)に対する肯定的態度を促進し,中年,未婚,高所得,四国・九州地方居住は否定的態度を促進する。なお,離死別,小家族(出身),低学歴,農業はいずれの文に対しても中立的態度を促進する傾向がある。
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  • 大谷 憲司
    原稿種別: 本文
    15 巻 (1992) p. 31-43
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本稿は,現代日本における未婚者の性行動,結婚前の妊娠,女子の結婚確率,結婚後の避妊,ならびに最初の妊娠の確率といわゆるlocus of controlの関係を吟味している。1987年に厚生省人口問題研究所によって行われた第9次出産力調査のデータを用いて, logistic regressionおよびproportional hazards modelにより次のような予想が確認された。(1)18-22歳の未婚女子における外因帰属者(externals)は,内因帰属者(internals)よりも性交する可能性が高い。(2)内因帰属者である未婚女子の結婚確率は外因帰属者の結婚確率よりも高い。(3)最初の妊娠が生ずる前の避妊実行確率は内因帰属者である妻の方が外因帰属者よりも低い。(2)と(3)の結果は,内因帰属(internal locus of control)がより周到な計画的行動と密接に結びついているという一般的な期待と一見矛盾するように見えるが,それを説明する試みがなされた。また,われわれの期待とは反対に,既婚女子に関する限り彼女達が結婚前に妊娠をする確率はlocus of controlと何の関係も示さなかった。さらに,第1子妊娠確率についてもlocus of controlとの関係は見いだされなかった。これらの予想と結果のギャップを生みだした要因について考察がなされた。
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  • 古郡 靹子
    原稿種別: 本文
    15 巻 (1992) p. 45-55
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本稿では,若年の勤労観,就業行動の変化の実態を把握し,それを人口問題の主要課題である出生率の低下現象との関係で分析・検討する。若年の就業行動の変化は,アルバイトの日常化,フリーター的労働者の出現,離転職(希望)者の増加などに特徴的に表われている。最近の若年層は従来の雇用形態やライフスタイルとは違った,より自分流の経済関与のあり方を選択してきている。離転職関数の時系列分析と横断面分析を行なった結果は,景気変動のような一時的な要因に加え,人口構造の変化や仕事の選択基準の変化が若年の就業行動を変えてきていることを示している。若年者は,労働時間の長い企業,仕事の多すぎる企業を敬遠するようになってきた。これは,生活水準の向上とそれにともなう社会観,人生観の変化を反映したものであろう。若年層の就業行動の変化は,その勤労観の変化と呼応したものである。物質的な欲望が充足され,生活が安定すると,個人の生活を犠牲にしてまで働こうとする者が少なくなってくる。各種の調査は,最近の若年者が仕事志向型から仕事と余暇の両立志向型に移ってきていること,いわゆる会社人間となって組織に縛られることを嫌う者が増えていることを明らかにしている。若年者の意識や就業行動の変化は,当然,結婚や出産の行動にも反映する。ベッカー流のモデルに従い,出生率の分析を行なってみると,女子の市場賃金に加えて,余暇・娯楽時間の動向が出生率を左右する要因になっている。物質的な経済原則のもとでは,若年の余暇・娯楽志向が強まり,その上に子供の養育に費用もかかりすぎるとなると,それが出生率に影響を与えるのも当然のことだろう。わが国では晩婚化が進み,出生率は低下の一途をたどってきた。しかし,出生率を上げることが望まれるならば,税制による優遇措置,児童手当の引き上げのような直接経済的な施策もさることながら,子供を育てる上での障害を取り除き,心にゆとりのある生活ができるような社会環境を整備することも大事だろう。それには,たとえば,労働時間の短縮,雇用形態の弾力化,育児休業制度,教育制度の改革,職場環境の整備などを行なう必要がある。
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