本稿は,1992年ジンバブエ人口センサスの個票データを基に,1980年独立後の1982〜92年の農村/都市間の男女別,出生地別,教育水準別の移動の選択1生に焦点をあて分析を行ったものである。また,本分析では,植民地期の都市政策をはじめとする植民地政策,文化的規模や最近の社会経済情勢との関連において移動の選択性の解明を試みた。主要結果:第一に,都市から農村への成人男女の流出率は,労働年齢を通して高い水準を保ち,年を経ても低下する傾向が認められなかった。これは,植民地期の都市政策が少なからぬ影響を与えていると考えられる。すなわち,大部分のアフリカ人都市労働者は,都市に資産を形成し,生涯定住することを妨げられたためである。第二に,男性と比較し,女性は農村から都市への移動率がより低い一方,都市かち農村への移動率はより高い。これは,伝統的に,女性に農業労働の重圧が課されているばかりか,都市では女性の雇用機会は相対的に少ないためである。第三に,男性,特に農村生まれで未就学の男性に限り,都市から農村への移動が高齢期に急増する傾向が見られた。これは,以下の社会経済的状況が移動性向に反映したものと考えられる:(1)男性高齢者が,特定の地域に資産を形成する最も重要な方法は農地を維持すること,(2)農村社会では,高齢の男性は,一族の中で長老者として特権的な地位が与えられること,(3)有配偶の男性移動者の多くは,農村における耕作権の保持などのために,妻を農村に残していること。第四に,未就学者は,農村から都市への移動が困難で,一方,容易に都市から農村にはじき出される。彼等は,経済不況が長期化する中で,教育水準の低い階層における「反都市化」現象に貢献している。
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