人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
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25 巻
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表紙・目次
会長講演
論文
  • リャウ カオ・リー, ロジャース アンドレー
    原稿種別: 本文
    1999 年 25 巻 p. 3-14
    発行日: 1999/12/01
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本稿は,中立的移動過程の理論的概念を検討したものである。この概念は,(1)地域間人口移動の再分布効果を決定する際における出発地・到着地選択過程の相対的重要性を評価し,(2)出発地・到着地選択過程に,より有効な代替指標を提案することによって,シュライオックの移動選択指数の基本的な性格を明らかにすることに用いることができる。これらの目的を明示するために,ここでは,合衆国の4大地方間合衆国生まれ(及び外国生まれ)人口の移動に関するデータを用いる。50州や数百の経済地域のデータを用いずに,少数の地域データを用いるのは,全体の分析手続きと実証結果を単純化して,明示しようという目的のためである。
  • 加藤 久和
    原稿種別: 本文
    1999 年 25 巻 p. 15-25
    発行日: 1999/12/01
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    この研究の目的は,重複世代モデルを利用した人口変動と資本蓄積の同時決定メカニズムを考察するものである。その主たる仮説は,ライベンシュタインによって提示された子ども需要に関するものであり,このうち子どもの消費効用と保険効用に焦点をあてて分析を行っている。モデルには,経済の生産構造も組み込み,人口成長と資本蓄積の動学的経路と安定状態における均衡解の探索ができるように構成されている。最初に,子どもに対する需要はその労働所得に対しては正,また直接及び機会コストに関しては負の関係を持つという基本的な関係を示し,さらに動学的な資本蓄積経路から安定状態にこの動学経路が収束するための条件を求めた。次いで,年金制度を導入し,引退後の保険としての子ども需要を重視した分析を行った結果,年金給付水準が高まるほど人口増加に正の影響をもたらすこと,子どものコストの上昇は民間貯蓄率を上昇させるが,一方で年金制度の充実は民間貯蓄率を低下させることなどを明らかにした。最後に,出生促進政策の一環としての家族給付をとりあげ,価格補助方式による給付の方が所得補助方式による給付よりも子どもに対する需要へのインパクトが大きいことを示した。
  • 木下 太志
    原稿種別: 本文
    1999 年 25 巻 p. 27-39
    発行日: 1999/12/01
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本稿は,日本の歴史人口学において,長い間未解決であった問題を取り扱った。それは,宗門改帳における出生の過少登録に関する問題である。この問題は宗門改帳から乳児死亡率だけではなく,出生率をも正確に推計することを妨げており,日本の歴史人口学の発展のネックとなっていた。この問題を解決するため,本稿では,乳児死亡率と出生率を別々に扱い,前半部分で宗門改帳の記録から正確な乳児死亡率を推計する方法について検討し,後半部分で宗門改帳における出生の過少登録を中心に論じた。前半部分では,宗門改帳から得られる情報だけではなく,明治・大正期の人口動態統計も使い,宗門改帳から得られる乳児死亡に関する指標を「初年死亡率」と定義して,それと乳児死亡率との関係を見つけ出し,この関係を乳児死亡率の推計のために使った。後半部分では,マイクロシミュレーションを利用した。その結果,出生の過少登録のレベルは乳児死亡率のレベルと密接に関係しており,徳川時代の乳児死亡率のレベルでは,宗門改帳に記録された出生は,実際の出生よりも14パーセントから18パーセント程度過少に,日本国内の地域性を考え,少し安全側に立っても,12パーセントから18パーセント程度過少に記録されている可能性が高いことがわかった。近年の歴史人口学の研究では,このレベルを20パーセントと仮定することが多かったが,本稿の結果からすると,この仮定は過大に見積もられているという結論が導き出された。本稿では,宗門改帳の記録日によって,出生の過少登録のレベルが大きく影響されるのかどうかという問題についても検証した。この問題に対する答えは否定的なもので,宗門改帳の記録日の違いは,懸念されるほどには出生率の推計に影響を与えないことがわかった。最後に,シミュレーションを使って,異なるサイズの小集団における出生率の分散を検討した。この結果は,小集団における出生率の分散に関するひとつの指標となり,断片的な宗門改帳を扱う際の助けとなるであろう。
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