人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
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33 巻
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表紙・目次
会長講演
論文
  • 高橋 美由紀
    原稿種別: 本文
    2003 年 33 巻 p. 7-26
    発行日: 2003/11/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本論文では,近世後期に地方の町を中心とした地域(現在の福島県郡山市)で,女性が行った労働移動の実態を,地域経済の変化への対応も含めて把握する。対象とする地域では,製糸業の発展に伴い,農村においても自宅・あるいは自宅から通いで従事できる賃労働が増加した。そして,特に既婚女性が家計を補助したり自ら支えたりする場合には,かつて行っていた地域の中心となる町で行う世帯を離れた労働よりも,世帯にとどまって働くほうを選好するようになった。この状況を,安積郡郡山上町への周辺農村地域からの女性奉公人を第一期(1729-99年)と第二期(1800-70年)とに分けて確認する。また,周辺農村からの有配偶女性の単身での出稼ぎ労働が減少した町では,労働者を遠方からの家族単位での引越流入者で代替した。彼らは,町における人口の再生産活動にも寄与し,町での現住者の人ロピラミッドを生産年齢人口の突出した形態から,裾広がりの富士山型へと変化させた。さらに,村や町での賃仕事の増加に関する人口学的含意として,有配偶率低下の一因となった可能性も考えられる。そこには,再婚市場への参入の遅れも考えられる。しかし,それは同時に町への労働供給を行っていた農村出身既婚女性の村落においては,夫婦がともに暮らす時間を増加させ,出生率の上昇をもたらした可能性がある。以上を,歴史人口学および「ジェンダー」(社会的性差)の観点を用いて明らかにするのが本稿の目的である。
  • 森 洋一, 中澤 港
    原稿種別: 本文
    2003 年 33 巻 p. 27-39
    発行日: 2003/11/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本論文は,ヒトの死亡についての新しいモデルを提示し,これが100を超える生命表に適合することを示すことで,その有用性・理論的重要性を示すものである。ヒトの死をモデル化するには,2つの競合するゴールがあるように思われる。現実の生存曲線を記述することと,病因論的な変数で死亡を説明するごとである。これまでは,この2つのゴールを1つのモデルで達成したものはなかった(Woodら,1992)。Gavrilov and Gavrilova (1991)の雪崩モデルにヒントを得て本論文で構築した単純な病因論的モデルは,これら2つのゴールをともに達成したと考えられた。フランス,日本,スウェーデン,米国の生存曲線に対して,このモデルを最小二乗法で当てはめたところ,最適なパラメータの場合にはきわめて良い適合が得られ,しかも日本についてみると,これらのパラメータは,現実の歴史的変化を十分に説明していることが示された。
  • 福田 節也
    原稿種別: 本文
    2003 年 33 巻 p. 41-60
    発行日: 2003/11/30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    未婚化傾向の進展とともに,若者が親と同居する期間が延長している。1990年代以降,未婚期の世帯構造が若者の自立や婚姻行動と深い繋がりをもつことが指摘されるようになり,青年層の居住形態が注目されるようになった。これに伴い,全国レベルの標本調査において離家に関する項目が設けられるようになり,若者がいつ,どのような理由で親元を離れ新たな世帯へと移行するのかについて知ることができるようになった。しかし,先行研究においてはデータや方法論上の制約により離家を規定する個人や世帯の属性についての考察が十分に行われてこなかった。そこで本稿では『全国家族調査(NFRT98)』の個票データを用いてイベントヒストリー分析を行い,若者の離家行動についての要因分析を行った。分析の対象は,1940年から70年に出生した男女4,378人である。モデルではライフコース変数,人口学的要因,親の社会経済的地位,そして出生コーホートを説明変数とし,対象者の最初の離家および進学,就職,そして結婚に分類した理由別離家の規定要因について検証した。分析の結果,先行研究において指摘されてきた晩婚化や若年者人口の都市部への集中といった要因に加え,出生順位や高等教育への進学が離家のタイミングを規定する重要な要因であることが明らかとなった。さらに,離家を規定する個人や世帯の属性が明らかとなり,1940年以降の出生コーホートにおける離家傾向を説明するいくつかの知見が得られた。
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