日本における外国人人口は,1980年代後半から90年代前半にかけて,入管法改正やバブル景気の影響もあって急激に増加し,依然として増加基調にある。こうした中,日本における外国人の人口動態,中でも死亡動向について分析する重要性が高まりつつある。本稿では,こうした現状を踏まえ,在留資格別人口の年次変化が年齢調整死亡率(間接法,ベイズ推定値)の年次変化に与える影響についてモデルの推定を行った。これらの分析により,日本における外国人の死亡動向の現状について整理するとともに,定住化が外国人の死亡動向に与える影響について明らかにすることを試みた。推定結果からは,日本における外国人の死亡率の変化は,日本社会からの影響を受けているとともに,在留資格別人口の変動から一定程度,説明されることが示された。また,その結果,移住過程と死亡動向の関係についていくつかの重要な仮説を提示することができた。1つ目の仮説は,「分節化された同化」のように,現地社会への適応に失敗することで,定住化の進展がむしろ,死亡率の上昇をもたらすというものである。2つめの仮説は,同化効果のように定住化の進展が死亡率の低下をもたらすというものである。今後の課題は,社会経済的地位と死亡動向の間にどのような関係があるのか,また,社会経済的地位が移住過程とどのような関係にあるのか,といったことについてより詳細に明らかにしていくことだろう。
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