人口学研究
Online ISSN : 2424-2489
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49 巻
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
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表紙・目次
論文
  • 村越 一哲
    原稿種別: 本文
    49 巻 (2013) p. 1-16
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本稿は,死産統計の信頼性を明治,大正および昭和戦前期を対象として検討することを目的とした。まず大阪府の「墓地及埋葬取締細則」と「産婆規則」の内容を提示し,死産の無届を減らす方向に作用したと指摘されている1884(明治17)年の「墓地及埋葬取締規則」だけでなく,1899(明治32)年に定められた「産婆規則」が「墓地及埋葬取締細則」を改正させ,それがさらなる死産の無届減少につながったのではないかと推測した。20世紀に入っても死産統計の精度が高まる余地が残されていたという主張である。では20世紀において届出改善が進んだのはいつか,そして届出が改善された後の死産統計は信頼できるのか。つぎにこれらの問いのうち,前者つまり無届が減少した時期を,死産率と新生児死亡率の動きから検討した。母体の健康状態の影響を直接受ける死産率と新生児死亡率は,上昇する場合,低下する場合のいずれであっても同じ方向に動く傾向にあることを説明したうえで,1900年代の死産率と新生児死亡率は整合的な動きをしていないことを示した。そこからいまだ届出改善が進みつつあったのではないかと推測したのである。他方,1910年以降の両死亡率の動きは整合的であることから届出改善が進んだ結果と解釈した。さらに,先に示した問いのうち,届出が改善された後の死産統計は信頼できるのかという問いについて検討した。無届が減少した後にも新生児死亡(出生後の子どもの死亡)を死産として届け出るという「届出違い」が残存していたことから,「届出違い」数を推計し,そのことをとおして1910年以降における死産統計の精度を明らかにしようと試みた。昭和戦前期を基準としたとき,登録死産数に占める推計された「届出違い」数の割合は,1910年代では最大20%,また1920年代前半では最大10%であった。明治末年から大正期においては,いまだ無視できないほどの届出違いが残存していたのである。いいかえれば,登録死産数の最大10%から20%を除けば現実に近い死産率を求められるという程度の精度であったということである。
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研究ノート
  • 〓 成虎
    原稿種別: 本文
    49 巻 (2013) p. 17-30
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    本研究は日本と韓国における出生意欲について,両国の全国標本調査のデータを用い,養育費と子どもの性別選好に焦点をあてて分析を行った。分析結果をまとめると,第2子への出生意欲は,両国とも養育費が上がるほど有意に下がるが,韓国の有意性が強いのに比べ,日本は弱いことがわかった。そして,子どもの性別構成は,日本のみ有意な影響があり,第1子が男児であると,出生意欲が有意に上がることが確認された。第3子への出生意欲は,日本のみ養育費が上がるほど有意に出生意欲が下がることを示しており,韓国は有意な影響がみられなかった。子どもの性別構成は,日本では有意な影響がみられなかったが,韓国では女児のみであると出生意欲が有意に上がることがわかった。両国ともに養育費は子どもを持つか否かの意欲に影響を与える結果を得られたが,韓国では3人目の出生意欲に対し教育費は有意ではなかった。韓国において3人目の子どもを持ちたいと思っている女性にとっては,〓(2011)が示したように将来かかると見込まれる養育費が,現在の養育費より重要であるかもしれない。そう考えると,本分析結果は,先行研究で示された養育費が出生意欲に影響を与える要因であるという知見と整合しており,やはり子どもを持つことには金銭的な側面が重要であることを示唆するものである。
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  • 原 俊彦
    原稿種別: 本文
    49 巻 (2013) p. 31-46
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    日本の主要な人口移動統計としては,各年の住民基本台帳人口移動報告と10年ごとの国勢調査報告人口移動集計があるが,いずれも配偶関係別には集計していない。このため配偶関係(有配偶,未婚,離別,死別)ごとの移動率の相違や,それが地域の人口構造に与える影響については殆ど未解明である。本稿では,札幌市をケーススタディに,1995-2000年のモデル推計値(人口動態統計の男女初婚件数,再婚件数,離婚件数を各歳コーホート別に積算し5歳階級別に累積件数を求め推計)と,2000年国勢調査の人口移動集計の個票から再集計して得た実測値と,この値をもとにセンサス間の配偶関係異動を補整した補整値を比較し,推計の確度と札幌市の配偶関係別純移動率の特徴について検討した。主な知見は以下の通り。(1)未婚は男女とも進学年齢まで転入超過,大学卒業・就職期に急激な転出超過を示し,以降は転出超過から純移動率0に向かう基本的傾向がある。未婚者が集まる街というイメージは移動傾向ではなく,定住人口の高い未婚割合を反映したものであることが補整値でも確認された。(2)有配偶は男女ともほぼ全年齢で転入超過で,特に引退年齢以降で転入超過がさらに強まるという推計モデルの知見は支持されたが,男子の30〜34から55〜59までと,女子の25〜29→35〜39の補整値は転出超過であり,家族形成期の有配偶人口の流出はないとする推計モデルの結果は確認できない。(3)死別は高齢を除き男女とも0に近いが,男子が75歳以上,女子は65歳以上から上昇し高齢ほど転入超過傾向が強まる。札幌市の高齢単独世帯の増加には死別高齢者の転入超過が影響している可能性が示された。(4)離別は男女ともほぼ全年齢で転出超過という推計モデルの知見は補整値では確認できない。このため高い離別割合の背景として示唆されて来た離別者の転入超過傾向(福祉サービスが誘引となる「出戻り」や「集中」)も補整値では否定できない。
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  • 可部 繁三郎
    原稿種別: 本文
    49 巻 (2013) p. 47-62
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー
    低水準かつ短期間での劇的な低下という東アジアの出生力の特徴は台湾にも当てはまり,2010年には台湾の合計特殊出生率(TFR)は0.895と史上例をみないほどの低水準に落ち込んだ。低水準と急低下という傾向は,台湾全体のみならず,県・大都市ベースでも見出される。McDonald(2009)は東アジアの低出生力の背景として,経済的なリスク回避志向を強める子育て世代にとって,子育て関連の社会経済制度が優しくないことを挙げる。本稿は,子育て世代の経済面におけるリスク回避志向というMcDonald(2009)の視点に基づき,子育て支援環境の整備が出生率に対する規定要因になりうるのかどうかについて,地域単位のデータに基づいた分析を試みた。対象期間は台湾において急激な出生率の低下傾向が見られる1990年から2010年である。子育て支援環境の整備策のうち,保育所利用率の効果は認められなかった。子育て世代は,経済的なリスクは子ども世代にも続きかねないと考えるため,子どもへの教育投資熱が高まる結果,私立保育所による高額な幼児教育サービスの利用が増え,それが家計の圧迫につながると考えられる。一方,低費用だが,親の幼児教育期待に余りそぐえないというイメージの強い公立保育所については,保育サービスにおける公立比率が高まれば出生率に正の影響を与えるという結果が得られた。これは,低費用で,且つ,市場原理に過度に依存しないといった公立本来の特徴を生かした保育サービスが提供されれば,有用な子育て支援になりうることを示唆している。また,出産や育児関連の休業制度の効果も認められた。こうした制度が浸透すれば,特に働く女性にとって,出産や子育てに伴う就業継続リスクの低減が期待されることを示している。
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