人口学研究
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早期公開論文
早期公開論文の3件中1~3を表示しています
  • 村越 一哲
    原稿種別: 研究ノート
    論文ID: 2202001
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/06/02
    ジャーナル フリー 早期公開

    本稿では,両大戦間期のわが国を対象として,結婚継続期間が出生期間をカバーするようコントロールされた,「初婚婦人」の平均出生児数を,地域分類別,職業分類別に求めた。求めた平均出生児数とその変化についてはつぎのようにまとめられる。

    全国的にみたとき,出産中心年が「1921-1925年」における「初婚婦人」の平均出生児数は5.87人であったが,「1936-1940年」には5.61人へと0.26ポイント低下した。また職業分類別にみると,夫が第1次産業従事者に分類される「初婚婦人」の平均出生児数は「1921-1925年」の6.62人から「1936-1940年」の7.09人へ0.47ポイント上昇した一方,夫が非第1次産業従事者に分類される「初婚婦人」の平均出生児数は5.39人から4.96人へ0.43ポイント低下した。全国の平均出生児数は,職業分類別平均出生児数の加重平均なので,全国平均が低下したのは,夫が非第1次産業就業者に分類される「初婚婦人」の平均が低下する一方,夫が第1次産業就業者に分類される「初婚婦人」の平均が上昇した結果と解釈できる。

    本稿で求めた平均出生児数を結婚出生力の指標である完結出生児数とみなすとき,昭和戦前期にわが国の結婚出生力は低下したといえるが,低下幅は大きくなかった。それは,非第1次産業従事者夫婦の結婚出生力が低下する一方,第1次産業従事者夫婦の結婚出生力が上昇したからである。低下と上昇が差し引かれて,全国的に結婚出生力はゆるやかに低下したのである。

  • 丸山 洋平
    原稿種別: 論文
    論文ID: 2201002
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/04/19
    ジャーナル フリー 早期公開

    市区町村や小地域等を対象とした地域別将来人口推計では,出生力の将来仮定値にChild–Woman Ratio(CWR)を利用することがあり,一般的には0~4歳人口を15~49歳女子人口で除した値が用いられる。しかし,推計精度の向上を目的として異なる分母年齢のCWRを積極的に推計に利用する立場の研究がある。これらは出生年齢の偏りや都道府県レベルでのTFRとCWRとの相関関係を分母年齢選択の根拠としているが,十分な実証分析がなく仮説の域を出ていない。本研究では過去の国勢調査人口を基準人口とした市区町村別モデル推計による実証分析を通して既往研究仮説の有効性を検証し,その結果を踏まえて将来人口推計の推計精度とCWRの分母年齢選択との関係を捉えるための理論的な分析枠組みの構築を試みる。そしてその枠組みを用いて考えることで,今後の将来人口推計におけるCWRの分母年齢選択について,その限界も含めて提言することを目的とする。

    モデル推計からCWRの分母年齢による0~4歳人口の推計誤差の違いを分析すると,1980年基準推計では既往研究仮説が有効であるが,1990年・2000年基準推計では仮説が成立しないことが示される。この結果に加え,CWRが年齢構造の影響を受ける指標である点に着目すると,モデル推計の期間中に2つの大きなベビーブームコーホートが再生産年齢内を加齢したことによって分母年齢女子人口の年齢構造が変化し,推計精度の高い分母年齢のCWRが変化したと考えられるという仮説が導出される。そこでCWRの分母年齢選択による推計精度の違いについて,年齢構造変化の影響を把握できるものとして0~4歳人口の推計誤差を年齢別CWR(ASCWR)の変化の寄与,年齢構造比の変化の寄与,CWRの分母女子年齢人口の推計誤差の寄与に要因分解する数式を構築した。これが本研究の提示する将来人口推計の推計精度とCWRの分母年齢選択との関係を捉える理論的分析枠組みである。これを用いても推計時に推計精度の高くなるCWRの分母年齢は特定できないという結論となるが,第2次ベビーブーム以降は比較的緩やかに出生数が減少しており,将来の出生力仮定に大きな変動がなければ今後は突出した規模のコーホートがなくなることから,将来の年齢構造変化の影響は小さくなり,CWRの分母年齢選択による推計誤差の差異が縮小すると考えられる知見もこの分析枠組みを通して得られた。このことは分母年齢選択の意義が弱まっていくということであり,今後の将来人口推計では最も一般的な定義である15~49歳を分母年齢とするCWRの選択を支持するに至った。

  • 堀口 侑
    原稿種別: 論文
    論文ID: 2201001
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/01/27
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,Wilmoth et al.(2012)を踏襲しながら,「日本版死亡データベース」(以下JMDという)の都道府県別生命表を用いて,わが国の1970年以降の著しい高齢死亡率改善に対応した死亡率モデル開発を企図するものである。

    Wilmoth et al.(2012)による“Flexible Two-dimensional Model”(以下,Flexible Modelという)をわが国の近年の死亡率に適用すると,Flexible Modelによる推計結果は,特に65歳以上の高齢層で推計誤差が大きくなること,またその推計誤差は65歳平均余命の伸長とともに大きくなる傾向を有することが確認される。

    そこで,50歳以上の年齢階級におけるFlexible Modelの推計誤差をモデル化し,これを修正項としてFlexible Modelに加えることによって,わが国の近年における高齢層での死亡率推計を改善した修正モデルを提案した。さらに,この修正モデルをClark(2019a)によるモデルと比較検討を行った。

    本研究で提案する修正モデルを,厚生労働省『2015年市区町村別生命表』の生命表に当てはめたところ,生命表の推計に必要となる(5q0, 45q15, e65)を適切に投入すれば,生命表を高い精度で推計することができることが確認できた。修正モデルについては,一定の検討課題は残されてはいるものの,(5q0, 45q15, e65)という3つの指標の将来推計ができれば生命表を得ることができるという簡便性や,これを用いた将来推計でも,Flexible Modelと比較して精度の高い推計が可能との結果も得られたことから,市区町村レベルの将来人口推計にも十分応用可能であり,本研究によって,実用性を備えた,新たなモデル生命表として,修正モデルを提案できたものと考える。

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