日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
10 巻, 2 号
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  • 堤 可厚, 保坂 啓子, 松室 達郎, 船橋 史憲
    1973 年 10 巻 2 号 p. 41-46
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本に独特の飼養形態で発達した日本ウズラの飼育場 (養鶉場) におけるコクシジウムの感染を調査した。
    鹿児島, 豊橋, 静岡, 神奈川, 埼玉の56ケ所の養鶉場から, 1969年7月から, 1972年6月までの3年間に, 2,630検体の糞便を採取し検査を行なった。
    1) Eimeria 陽性検体は96.6%であり, OPG値105以上の検体は15.5%に達した。
    2) Eimeria の感染は地域, 採糞した季節による差は認めらなかった。またヒナの増体量, 育すう率, 産卵率に影響をおよぼしていることが推察できた。
    3) 養鶉場から分離した Eimeria 混合材料の人工感染を試みた。
    4) 育雛率の低い養鶉場ほどOPG値が高い傾向があり, この間に相関々係が認められた。(γ=-0.504)
    5) 養鶉場から採取した Eimeria 混合材料の人工感染を認めた結果, 成熟オーシスト2.88×105感染群では, ヒナの増体量, 産卵率ともに対照群に比べ極端に低い値を得た。
    以上の結果から, 養鶉場は濃厚に Eimeria の感染を受けており, そのため生産性の低下をきたしている事が推察できた。
  • II. 産卵鶏の摂食活動におよぼす飼料形状の影響
    藤田 裕
    1973 年 10 巻 2 号 p. 47-55
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の摂食活動の変動に関する研究の一環として, 摂食活動の日内変動におよぼす飼料の形状の影響を検討した。
    白色レグホーン種産卵鶏8羽を人工照明 (午前5時より午後7時まで1日14時間) 下で個体別ケージに収容し, マッシュ, ペレットおよびクランブルの各形状を含む5種の形状の飼料を給与した。各飼料給与時についてそれぞれ摂食活動記録装置を用いて, 摂食量および摂食に費やされる時間の変化を連続的た測定し, 摂食活動の日内変動の様相を調べた。
    1日の飼料摂取量は飼料の形状によってほとんど影響をうけなかったが, 摂食に費やされる時間は飼料の固型化によって明らかに減少した。
    摂食活動はマッシュ給与時には照明時間内でほとんど連続的に行なわれるのに対し, ペレット給与時には著しく断続的となり, 短時間のついばみで相当量の飼料が摂取される。
    通常の市販マッシュ給与時には飼料給与開始の当初に摂食活動が著しく活溌となることが特徴的に認められる。しかし, この一時的な摂食活動の高まりは, 飼料の粒度分布を均一にした微粉砕マッシュまたはペレット給与時には全く消失した。
    一般に摂食活動は照明時間内に集中的に行なわれるが, 飼料の形状にかかわらず, 早朝の照明開始時から飼料の更新直前にかけて摂食活動が低下する傾向があり, また, ペレット給与時には, 照明時間帯の中期, 正午前後に摂食活動の低下する時間帯が認められた。
    飼料の物理的形状, とくに粒度分布は摂食速度および摂食活動発現の時間間隔を規制する要因として意義が大きいものと考えられた。
  • 吉田 実, 恩田 正臣, 小坂 清巳
    1973 年 10 巻 2 号 p. 56-62
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーヒナに, 低蛋白質高エネルギー飼料を給与すると, ペロシスが多発し, しかも再現性が高いことがわかり, この原因を探索するために, 各種の飼料を配合して一連の研究を行なった。その結果, 次のようなことが判明した。
    コーンスターチを主成分とする, 半精製の, 低蛋白質高エネルギー飼料で多発するペロシスは, トウモロコシを主成分とする, 慣用の飼料原料を用いても発症した。この飼料に, 含有量が比較的少ないと思われる, ビタミンや無機物を添加しても, 効果が認められなかった。飼料中のエネルギー含量を下げると, ペロシスの発生が少なくなった。蛋白質含量を高めると, ペロシスの発生が少なくなったが, 蛋白質含量が高くても, エネルギー含量を非常に高くすれば, やはりペロシスが発生した。このことから, 蛋白質含量は, ペロシスの発生に間接的に影響するが, 直接的な原因は, 飼料中のエネルギー含量を高めることにあると判明した。ペロシスの発生率には, 性による差は認められなかった。この飼料を, 白レグ種のヒナに給与しても, ペロシスの発生が少なかったことから, 鶏種により差があることが考えられる。
    高エネルギー飼料によるペロシスを, マンガン欠乏によるペロシスと比較すると, 症状的には区別できなかったが, 体脂肪含量が非常に高く, アルカリホスファターゼの活性値にも差があり, マンガン欠乏によるものとは, 別な原因によるものと思われる。
  • II. 2代および3代鶏の成績について
    吉田 実, 多田 昌男, 番匠 宏行, 松島 正洋, 木庭 研二, 飯野 雅夫, 梅田 勲
    1973 年 10 巻 2 号 p. 63-75
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    畜産試験場と6県の研究機関の共同研究として種鶏の繁殖能力におよぼす炭化水素酵母の影響を検討した。3世代にわたり継続して対照飼料もしくは酵母15%を含む酵母飼料のいずれかを与えて飼育した, 延4,318羽による成績および, 合計40,592コの種卵を採取して行なったふ化試験の成績を要約するとつぎのようであった。
    1) 産卵期間中の産卵率, 飼料摂取量, 飼料要求率, 平均卵重, 36週齢時体重には, 対照区と酵母区の間にはほとんど差がなかった。
    2) 受精率とふ化率は, 酵母区のほうが少しずつ対照区よりよい成績であったが, 統計的に有意とはいえなかった。ふ化したヒナは健康で, 畸型は認められなかった。そして, 20週齢までのヒナの育成率は, 両区間に大差はなかった。
    3) 産卵期間中の生存率は, 酵母区のほうがわずかに高く, 対照区との差は統計的に有意であった (危険率5%)。
    4) 酵母区のヒナの発育は, 対照区より遅れ (危険率1%), 性成熟も3日遅れた (危険率5%)。この差の一部は, 試験飼料間のエネルギーおよび蛋白質含量の差によるものと考えられる。
  • I. 標準蛋白質および基礎飼料について
    吉田 実
    1973 年 10 巻 2 号 p. 76-58
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    蛋白質価の測定方法の改善に関する研究の第一段階として, 標準のカゼイン-アミノ酸混合物の最適な組成を求める実験を3回, カゼイン-アミノ酸混合物の代謝エネルギーを測定する実験を1回行なった。
    飼料中の蛋白質含量が18%の条件では, カゼイン90.9%, L-アルギニン塩酸塩5.4%, DL-メチオニン1.7%およびグリシン2%の混合物が, 標準蛋白質として適しているといえた。グリシンやL-トリプトファンをさらに添加してもヒナの成長には影響が認められなかった。また, DL-メチオニンをさらに添加したり, L-グルタミン酸を加えて必須アミノ酸と可欠アミノ酸の比を下げると, ヒナの成長が阻害される。
    大豆粕89.6%, 魚粉10%およびDL-メチオニン0.4%からなる蛋白質混合物で, 従来本研究室において標準蛋白質として使用していたものは, カゼイン-アミノ酸混合物とほぼ同じ蛋白質価を持っていた。蛋白質混合物のほうが, カゼイン-アミノ酸混合物よりはるかに安いので, 前者の蛋白質価を正確に測定した上で, 標準蛋白質として使用できる。
    この蛋白質混合物は, 基礎飼料の単一な蛋白質源として利用できる。
    カゼイン-アミノ酸混合物と蛋白質混合物の代謝エネルギーは, それぞれ3.90と2.31kcal/gであった。
  • 阿部 猛夫
    1973 年 10 巻 2 号 p. 86-89
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    LUSHは, 組合せ選抜の個体選抜に対する相対正確度を論じたが, それは, 個体自身の表型価と家族平均に対する重みづけ係数の算出に用いられる全きょうだい似通いの値 (級内相関) が, 組合せ選抜を実施する集団におけるその実際の値に完全に一致することを前提にしての論議であった。この前提はしかし, ほとんど全ての場合, 厳密には満されていない。
    そこで, 全きょうだい似通いの想定値と実際値の喰違いが, 組合せ選抜の相対正確度をどのように低下させるかを知るため, これら2種の値を別個の値として含む, 組合せ選抜の正確度の式を導き, 数値例として家族の大きさが4の場合と8の場合について検討の結果を示した。
    1) 全きょうだい似通いの実際値τがおおむね0.3以下ならば, その想定値tとして0から0.5までの間のどのような値が選ばれても, 組合せ選抜が個体選抜より不正確になることはない。
    2) τがおおむね0.3以上であるにかかわらず, tとして0.3以下の値を用いた場合, τとtの差の大きさによっては, 組合せ選抜はかえって個体選抜より不正確になる。
    3) τが0.1から0.4の範囲では, tがτより0.1程度大きくても小さくても, 組合せ選抜の正確度は, そのτにおける最高の正確度 (t=τの場合) に比してわずかに約2%落ちるだけである。
  • 1973 年 10 巻 2 号 p. 90-91
    発行日: 1973/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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