ブロイラーヒナに, 低蛋白質高エネルギー飼料を給与すると, ペロシスが多発し, しかも再現性が高いことがわかり, この原因を探索するために, 各種の飼料を配合して一連の研究を行なった。その結果, 次のようなことが判明した。
コーンスターチを主成分とする, 半精製の, 低蛋白質高エネルギー飼料で多発するペロシスは, トウモロコシを主成分とする, 慣用の飼料原料を用いても発症した。この飼料に, 含有量が比較的少ないと思われる, ビタミンや無機物を添加しても, 効果が認められなかった。飼料中のエネルギー含量を下げると, ペロシスの発生が少なくなった。蛋白質含量を高めると, ペロシスの発生が少なくなったが, 蛋白質含量が高くても, エネルギー含量を非常に高くすれば, やはりペロシスが発生した。このことから, 蛋白質含量は, ペロシスの発生に間接的に影響するが, 直接的な原因は, 飼料中のエネルギー含量を高めることにあると判明した。ペロシスの発生率には, 性による差は認められなかった。この飼料を, 白レグ種のヒナに給与しても, ペロシスの発生が少なかったことから, 鶏種により差があることが考えられる。
高エネルギー飼料によるペロシスを, マンガン欠乏によるペロシスと比較すると, 症状的には区別できなかったが, 体脂肪含量が非常に高く, アルカリホスファターゼの活性値にも差があり, マンガン欠乏によるものとは, 別な原因によるものと思われる。
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