日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
12 巻, 2 号
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  • 松澤 利明, 北野 訓敏, 鈴木 善雄
    1975 年 12 巻 2 号 p. 53-66
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    10日齢の単冠白色レグホン種雛雄を1区10羽ずつ, 平均体重に差のないように区分けした。雛は金網底の金属ケージに入れ, 100ppm/feed のベクロチアミン-NDS塩 (BCT) および330ppm/feed のサルファクロロピラジン (SCP) を7日または14日間給与した。雛1羽当り1回につき E. acervulina の胞子形成オーシスト10万個およびE. tenella の胞子形成オーシストを5万個ずつ混合接種し感染させた。感染の様式は1, 2, 4および6回の連続感染とした。接種は1日1回とした。さらに7日間投薬群には初感染後15日に攻撃するものを含めた。抗コクシジウム効果の評価は体重増加, 糞中オーシスト排泄数 (OPG) および死亡率などによって判定した。
    その結果はつぎのごとくである。
    感染対照の死亡率は接種1回, 2回, 4回および6回がそれぞれ30, 40, 50および70%であった。これに反して, SCPおよびBCT投与区ではいずれの接種回数にも死亡例は見られなかった。
    感染対照区のオーシスト排泄 (OPG) 最高日はいずれの接種回数においても E. acervulina が初感染後5~6日, E. tenella が7日であった。E. acervulina のOPG総数は接種1, 2, 4および6回が39.21×105, 44.05×105, 63.34×105, および56.30×105となり, E. tenellaのOPG総数は7.44×105, 11.03×105, 10.65×105および11.10×105になった。初感染後15日に攻撃した場合はオーシストの排泄がなかった。初感染後28日の相対増体率は接種1~6回が87%~72%であった。
    BCT 100ppm7日投与: 投薬中にE. tenella のオーシストは排泄がなく, 投薬中止後接種4および6回で少数のオーシストが検出された。E. acervulina のオーシスト排泄は投薬中から認められ, 接種回数にともなって増加が見られた。攻撃後は接種1回のみE. tenella のオーシストが少数見られた。増体量は無感染対照区に比べ接種1~4回までは差がなかった。
    SCP 330ppm7日間投与: 実験期間中E. acervulinaのオーシストは排泄されなかった。E. tenella のオーシストは投薬中排泄されなかったが, 投薬中止後接種1回をのぞいて, 接種2~6回に少数検出された。攻撃後のオーシストの排泄は接種1, 2および4回にE. acervulinaのオーシストが見られた。相対増体率は接種1および2回がすぐれた。
    BCT 100ppm14日間投与: E. tenella のオーシスト排泄は実験中見られなかったが, E. acervulina のオーシストは少数排泄された。
    SCP-330ppm14日間投与: E. tenella およびE. acervulina のオーシストは投薬中排泄されなかったが, 投薬中止後接種1回をのぞいて, E. tenella のオーシストが接種2, 4および6回に見られた。
  • 渡辺 誠喜, 吉田 治弘, 河原 孝忠
    1975 年 12 巻 2 号 p. 67-70
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニホンウズラの血清アミラーゼをポリアクリルアミドゲル電気泳動法によって7本の活性帯に分離した。活性帯は, プレアルブミンおよびアルブミン域に各一本, トランスフェリン域に2本および原点付近に3本認められた。プレアルブミンおよびアルブミン域 (Region I) の活性帯には変異がみられなかった。トランスフェリン域(Region II) および原点付近 (Region III) の活性帯には変異がみられたが, 後者の活性は低く, 再現性に乏しかった。
    トランスフェリン域 (Region II) の2本の活性帯は, 1対の常染色体性共優性遺伝子, Amy-1AおよびAmy-1Bによって支配されている。
    遺伝子頻度は, Amy-1Bで高く, Amy-1Aで低い。系統別では野生系が家禽化系よりも著しくAmy-1Bの頻度が低い。
  • 一色 泰, 中広 義雄
    1975 年 12 巻 2 号 p. 71-77
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    単冠白色レグホン種雄ヒナを初生時より同一飼料で飼育し, 腸管各部位の発達程度ならびに腸糞および盲腸糞の排泄量と排泄回数について成育期別に調べ, 次のごとき結果が得られた。
    1. 十二指腸, 小腸 (十二指腸を除く), 盲腸および直腸について体重100gあたりの重量, 長さおよび表面積をそれぞれ測定した結果, いずれもふ化後10日では大きな値を示したが, その後急激な低下がみられ, 60日以降はほぼ恒常的な値を示した。
    2. 30日齢では1日あたり腸糞を44g排泄し, その排泄回数は51回であった。しかし60日齢以降120日齢では, 排泄量は30日齢時の約2倍, 排泄回数は約2/3で一定となった。一方盲腸糞の排泄量は, 30日および60日齢では1日約69であったが90日および120日齢では3~2gに減少した。またその排泄回数は, 30日から120日齢まで減少した。
  • 仕上げ期の飼料組成が腹腔内脂肪率と風味に及ぼす影響
    山下 近男, 石本 佳之, 山田 卓郎, 目加田 博行, 海老沢 昭二
    1975 年 12 巻 2 号 p. 78-82
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーの肉質を改善するため, 仕上げ用飼料の組成が体脂肪含量と風味に及ぼす影響を明らかにするため, 愛知県農業総合試験場及び岐阜県種鶏場の共同研究として, 1971年7月ふ化のブロイラー雛960羽を用いて, 4週齢からCP16%-TDN73%とCP20%-TDN73%の飼料で10週齢まで飼育するものと, 8週齢からCPを4%あるいはTDNを9%増加させる6区を設けて, 10週齢に体脂肪含量及び腹腔内脂肪量を測定し風味との関連について検討した。
    体脂肪含量と腹腔内脂肪率との間に高い相関 (r=0.94) があることを確認した。
    腹腔内脂肪率は, 低CP飼料が高CP飼料に比較して有意に高くなった。飼料中のCPを増加させると, 腹腔内脂肪蓄積を抑制する効果が認められた。TDNについては, CPほど顕著な差はみられなかった。
    腹腔内脂肪率が高くなる飼料で飼育したブロイラーは, 食塩蒸熱処理法では風味においても良いという傾向が得られた。
  • V. 累代飼養試験の総合的検討
    吉田 実, 多田 昌男, 番匠 宏行, 松島 正洋, 木庭 研二, 飯野 雅夫, 梅田 勲
    1975 年 12 巻 2 号 p. 83-92
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    対照飼料もしくは炭化水素酵母を15%含む飼料を与えた5世代の雄および雌鶏の成績を総合して解析するとともに, 3代鶏で2年以上対照もしくは酵母飼料を与えたものの肉と卵について, 核酸, 重金属すなわち水銀, 鉛, カドミウムおよびヒ素, ならびに発ガン性が考えられる多環芳香族化合物の含量を測定した。酵母は国内4社の製品である。
    本報および前報の実験結果を総合して, つぎのような結論がえられた。
    1. 炭化水素酵母は, 養鶏用飼料の蛋白質, エネルギーおよびリンの給源としてすぐれている。ただ, 大豆粕の栄養的特徴と似ていて, 含硫アミノ酸とビタミンB12が不足するので注意する必要がある。
    2. 酵母を与えて生産した肉や卵を食べる人の健康を損なうほどの多量の有害物質が, 酵母に含まれているとはいえない。また, 酵母を与えて生産した肉や卵の品質が劣るというデータはえられなかった。
    3. 酵母には鶏の健康を維持し, 生産力を高める活性因子が含まれていることが示唆された。
  • 一色 泰, 田先 威和夫, 中広 義雄
    1975 年 12 巻 2 号 p. 93-95
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 吉田 実, 堀内 貞治
    1975 年 12 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    炭化水素酵母を与える累代飼養試験において, 初代鶏120羽の臓器25部位を採材して, 病理組織学的検査を行なった。各臓器に共通して見られた下記の変化は, 1~5およびTの記号で示した。
    1: 好酸性穎粒球 (恐らく大部分は偽好酸球) が多い。
    2: 小円形細胞 (リンパ球), リンパ組織, 囲管性細胞浸潤, またはグリア結節が多い。
    3: 新鮮な小出血 (大部分は殺処分した時に現われたもの)。
    4: 漿膜面 (特に膵や腸管の) における細胞浸潤 (上記の1, 2, その他を含む), 水腫, 線維素様物質の沈着など。
    5: 腸腺の嚢胞形成。
    T: 腫瘍。
    また, 臓器ごとに特異な変化は, 臓器ごとにつぎの記号で示した。
    心 *: 血管壁の細胞浸潤。
    腎 ○: 尿円柱。
    +: 嚢胞形成。
    ×: うつ血。
    *: 蜂巣状の組織あり。
    肝 ○: 硝子様物質の沈着, 小壊死巣または類壊死巣。
    +: 類洞内皮の腫大。
    ×: 軽いうつ血。
    *: 対照区の1例には, 結晶柱成分 (恐らく胆汁) を容れた嚢胞1コあり。酵母区の1例には, 壊死と出血あり。
    肺 ○: 軽い肺炎。
    +: うつ血。
    *: 気嚢炎あり。
    脾 ○: 細網細胞の活性化。
    *: 赤色髄に少量の硝子滴。
    腺胃 ○: 軽い分泌のうつ滞。
    筋胃 ○: 軽いびらんまたは潰瘍。
    十二指腸 ○: 回虫寄生。
    小脂 ○: 回虫寄生。
    *: 対照区と酵母区の各1例は多核巨細胞で囲まれた壊死巣。酵母区の2例は筋層が肥厚。
    盲腸 ○: ネマトーダ (AscaridioHeterakis) の感染。
    *: 1例は筋層が肥厚。1例は腸腺の嚢胞が壊死に発展。
    卵巣 ○: 基質に硝子様物質の沈着。
    *: 多核巨細胞で囲まれた壊死巣。
    卵管 ○: 軽い分泌のうつ滞。
    *: 分泌顆粒が極めて少。
    甲状腺 ○: 甲状腺腫 (滬胞の大小不同, 小滬胞の多発, 滬胞上皮の肥厚, 増殖など)。
    胸腺 *: 1例には小嚢胞がみられ, 他の1例にはうつ血がみられた。
    副腎 ○: クローム親和細胞の細胞質が粗。
    小脳 *: クモ膜下の血管内に異物。
    坐骨神経 ○: 神経炎。
    +: 周膜にリンパ組織。
    全データを合併して, χ2-テストもしくは直接確率計算法により統計的に検討した結果, 観察されたすべての変化について, 対照区と酵母区の出現率の間に有意な差は認められなかった。したがって, 酵母の給与により特異な変化が起るとはいえない。
  • 1975 年 12 巻 2 号 p. 101-105
    発行日: 1975/03/20
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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