既に報告したごとく, 大きさ40×24×40cmの産卵鶏用単飼ケージに2羽の産卵鶏を収容してケージ鶏舎の収容密度を2倍にしても, 産卵鶏の能力には悪影響のないことが知られた。本実験はこの事実を再確認し, 更にケージの配列方法を変えて鶏舎の収容密度を高めた場合の影響を検討するため実施したものである。
4mの間隔で平行して建てられた間口4m, 奥行20m, 高さ3.5mのケージ鶏舎2棟を使用した。
実験I 前報の実験結果を再確認するために行った実験で, 両鶏舎とも産卵鶏用単飼ケージを雛壇状2段に配列した。1つの鶏舎では1つのケージに1羽を, 他の鶏舎では2羽を収容した。供試羽数は300羽と600羽で白色レグホン種の1系統 (Babcock B-300) を用いた。実験期間は125~600日齢である。
実験II 鶏舎のケージ配列を雛壇状2段とした場合と3段とした場合の影響を検討した。両鶏舎とも1つのケージに2羽を収容したので供試羽数は600羽と900羽であった。白色レグホン種の2系統 (Babcock B-300, Babcock B-305) を半数ずつ用い134~604日齢を実験期間とした。
50%産卵日齢, 産卵率, 卵重, 飼料摂取量, 飼料要求率, 体重についてはケージの収容羽数, ケージの配列方法による差は認められなかった。軟卵の産出にも差がなかったが, 破損卵は1つのケージに1羽を収容した場合が最も少なく, 雛壇3段に配列したケージに2羽宛収容した場合が最も多くなった。卵殼重量と卵殼の厚さにはケージ配列の影響は認められなかった。
鶏の日常の管理のため必要とする時間は鶏舎の収容密度が高い程長くなったが, 1羽当りの所要時間は雛壇状2段に配列したケージに2羽を収容した場合が最も短かくなった。
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