卵用鶏の育成期における光線管理が, その後の産卵能力に及ぼす影響を検討するため, 異なる暦月にふ化した同一銘柄のコマーシャルびなを用いて3回の試験を行なった。
すなわち, 第1回の試験は1965年2月•4月•6月•8月•10月•12月にふ化したひなを用い, 120日齢まで自然日長下で飼育し, 121日齢以降は14時間照明になるよう点灯した。第2回は1967年4月•7月•10月および1968年1月にふ化したひなを用い, 154日齢まで自然日長下で飼育し, 155日齢以降は照明時間が毎週15分づつ増加するように点灯した。そして照明時間が16時間に達した後は増加をやめ, この時間を継続した。第3回は1969年4月•6月•8月•10月•12月および1970年2月にふ化したひなを用い, 120日齢まで自然日長下で飼育し, 121日齢以降15時間照明になるよう点灯した。
これら3回の試験成績から性成熟, 産卵能力, 生存率の関係を検討した結果は次のとおりであった。
1) 121日齢か155日齢から点灯を行い, そのときの自然日長より長い一定もしくは漸増の照明時間を与えたにもかかわらず, ひなは点灯前までの自然日長時間推移の影響を強く受け, その結果として, 性成熟は3回とも秋(10月) と冬 (12月•1月•2月) にふ化したひなが早く, 夏 (6月•7月•8月) にふ化したひなが遅く, 春(4月) ふ化したひなはその中間であった。
2) 690日齢までのヘンデー産卵率は, 3回とも秋または冬にふ化したひなが高い産卵率を示した。
3) 初産日齢と産卵数との相関係数を, 初産より510日齢まで, 570日齢まで, 690日齢までの3期間をとり, それぞれ生存鶏について各試験ごと, ふ化月ごとに求めた。その結果, 各試験回の値 (各ふ化月群を一括して)は3回とも負の有意な値 (第3回の690日齢が5%水準, その他はすべて1%水準) を示し, 初産日齢の早い方が多産であることが認められた。
また各期間•各回における各ふ化月毎の値も, 第1回の6月びなの510日齢までを除いてすべて負の数値を示した。このことは前述の各回毎の値とともに性成熟の早いものが高ヘンデー産卵率であったことを示すものである。
4) 性成熟日齢と生存率との間には一定の傾向はみられなかった。
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