採卵鶏の経済寿命延長のための飼養技術を確立するために, 育成期の飼料給与法と成鶏期の産卵制御法を組合せた一連の試験を西日本地域の共同研究として企画し, 育成期飼料給与法の効果, 強制換羽の影響について検討した。試験は春秋のふ化期について行い, 各場所は育成期の飼料給与法を自由摂取法と, 給与量を基準量の60%に制限する定量給与法の2区とし, これに強制換羽による産卵制御法を92週齢, 80週齢に各1回, 68週齢と96週齢, 56週齢と96週齢の各2回行う4区を配置する合計8区で実施した。
1. 育成期における育成飼料給与法の影響
定量給与区は自由摂取区よりも初産日齢が遅延し, 初産卵重は増加した。定量区の体重は44週齢時においても自由区よりも小さいままであった。育成率は自由摂取区が高く, 定量給与区が低かったが有意の差ではなかった。
2. 成鶏期における育成期飼料給与法と産卵制御法の影響
生産性および経済性: 20週齢から128週齢までの平均産卵率と, 卵1kg当り飼料消費量はともに自山摂取区では初回制御週齢を早めることにより成績が改善され, 定量給与区では産卵率および経済性と産卵制御週齢との関係は認められなかった。さらに, 定量給与区の各産卵制御法が示した成績は自山摂取区で最もよい成績を示した56•96週齢制御区と有意差がなかった。
生存率は産卵制御法間に有意差が認められたが一定の傾向は認められなかった。
卵質: 卵殼厚, HUに対する, 育成期飼料給与法の影響は認められなかった。HUに鶏の週齢の影響を受け週齢がすすむに従って低下した。産卵制御前後の卵質の変化は1回目制御では卵殼厚, HUともに制御前よりも制御後に改善がみられたが, 2回目制御では卵殼厚のみに改善が認められた。産卵制御後の卵質の推移は卵殼厚については少なくとも36週間は経時的に低下する傾向は認められなかったが, HUはふ化期と卵質測定時期に交互作用が認められた。
体重: 128週齢, 産卵制御前後体重ともに定量区が小さく, 自由摂取区の95%前後の割合を示した。
制御時の休産日数: 定量給与区の休産日数が自由摂取区よりも3~4日間短縮された。
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