肉用種鶏の制限給餌法を確立するために, 3つの実験を実施した。実験-1は6鶏種338羽を用い, 対照区は0~518日齢の全期間自由摂取, 制限区は71~154日齢の育成期間隔日給餌を実施し, 産卵期は自由摂取とした。実験-2は4鶏種233羽を用い, 対照区は0~357日齢の全期間自由摂取とし, 制限区は6日間絶食処理を行った。絶食はそれぞれの鶏群別に, 10~20%の個体が産卵を開始した時点 (141~169日齢) に行った。実験-3は1鶏種72羽を用い, 育成期, 産卵期を通しての制限給餌を実施した。1区は対照区で0~518日齢の全期間自由摂取, 2区は0~154日齢自由摂取, 155~518日齢は1区の90%給餌, 3区は71~154日齢隔日給餌, 155~518日齢自由摂取, 4区は71~154日齢隔日給餌, 155~182日齢自由摂取, 183~518日齢は3区の90%給餌を実施した。
実験-1において, 対照区の初産日齢は鶏種によって, 149~169日と20日間の差を生じたが, 制限区は178~183日と5日間に集中した。初産は平均値で23.1日遅れ, 初産卵重は4.1g増加した。これらのことから隔日給餌法は, 初産抑制の手段としてきわめて有効な方法である。これに対し一定期間絶食法は (実験-2), 絶食期間が6日間と短かかったため, 初産日齢が11.2日遅れたのみで, 初産卵重も2.6gの増加にとどまった。
育成期隔日給餌によって, 飼料摂取量は, 実験-1において2.3kg, 実験-3では2.6kg減少し, 産卵期における増加分を差引いても, 前者が1.4kg, 後者が2.3kg少なく, 飼料の節約が可能であった。
ヘンデイ産卵率は, 実験-1において制限区が2.0%上回った。実験-2, 3では1.4~2.3%下回ったが, 種卵の採取率では, すべて制限区が5.1~7.5%上回った。
種卵1個当りの飼料摂取量は, 実験-1において制限区が43g下回り, 実験-3においては育成期制限によって11g, 産卵期制限によって35g減少した。全期間自由摂取区と育成, 産卵期制限区とでは39gの差を生じた。このことから育成期, 産卵期を通して制限給餌を実施するのが, 経済的に有利であることが明らかとなった。
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