日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
15 巻, 5 号
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  • 清水 弘
    1978 年 15 巻 5 号 p. 225-229
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 肉用鶏の短期産卵数, 初産日齢と成体重に及ぼすふ化の差と父家系との相互作用効果を調べ, さらに, 相互作用に因るこれら形質の遺伝率推定値の偏りについて検討することであった。
    分析に用いた記録は選抜系統とその基礎集団の若雌鶏について5ヶ年間収録された, 116父家系に属する1,761羽についてのものであった。統計的分析は各年内で行い, ふ化効果を母数型とし父家系効果を変量型として2元分類混合模型に基づいて最少自乗法で行った。
    3形質ともに, 4ヶ年ないし5ヶ年のうち, 1ヶ年で統計学的に有意なふ化と父家系の相互作用効果が認められた。全体の平均で, 産卵数, 初産日齢, 成体重に対する相互作用は全変動の3.67, 1.88, 1.97%であった。これらの大きさはまた父家系分散成分のそれぞれ66.0, 14.0, 11.0%であった。この結果から, 特に産卵数の遺伝率をふ化内一元分類模型に基づいて推定すると, 相互作用に因り過大に推定されることが示された。
  • 1. 調温実験室における高温および低温処理の影響
    上野 満弘, 高橋 彰, 上林 峯治, 諏訪 一男, 守屋 進
    1978 年 15 巻 5 号 p. 230-235
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏に対する照明時間の昼夜逆転の影響を知る目的で, 窓無し型の環境調節室を用いて, 高温 (日内変動25~37°C) と低温 (日内変動5~15°C) の条件を与えた実験を行い, 次の成績を得た。
    夜間照明区は昼間照明区に比較して, 飼料摂取量は有意に多く, 飼料要求率は有意に劣った。しかし, 高温における夜間照明区は, 1日1羽飼料摂取量は2.8g多いのに対して, 産卵率が1.4%すぐれ, 1日1羽産卵量は0.6g多かったため, 飼料要求率は0.04劣るだけであった。低温における夜間照明区は, 1日1羽飼料摂取量が7.2g多いのに対して, 産卵率が0.8%劣り, 1日1羽産卵量は0.2g多かったが, 飼料要求率は0.15劣る結果となり, 低温における夜間照明の有利性は認められなかった。
    卵殼強度と卵殼の厚さは夜間照明によって改善されなかった。
    体温と呼吸数の日内変動は, 高温においては温度の日内変動の影響を大きく受け, 高温帯では睡眠と活動に関係なく高い数値を示した。
  • 1. 野生色との関係
    近宗 干城, 金井 幸雄
    1978 年 15 巻 5 号 p. 236-241
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色型と褐色型のウズラを交配し, それから分離した野生色型, 白色型, 暗色型, 褐色型, 暗白モザイク型および褐色モザイク型の遺伝について調査した。その結果, これらの羽色型は2対の常染色体性遺伝子の組合わせによって決定されることが示された。
    すなわち, 有色羽の色は2つの対立遺伝子の組合わせをよるもので, 暗色羽は単一の遺伝子+Dにより, また野生色は+によって決定する。+Dは+に対して不完全優性で, これらのヘテロ型 (++D) は両者の中間色である褐色となる。
    他方, 有色羽と白色羽の分布は, これとは別個の2つの対立遺伝子の組合わせによって決定する。白色羽は単一遺伝子iによる。これはメラニン色素の沈着を抑制する作用をもち, この遺伝子のホモ型であるiiは, 頭頂部と背部に小さな有色の斑点があらわれる以外全身白色羽装となる。有色羽はiの対立遺伝子であるIによるもので, この遺伝子のホモ型 (II) は全身有色となる。これらのヘテロ型(Ii) では, +D+Dあるいは++Dと共存する場合は白色とのモザイク型になるが, ++と共存する場合は, Iiは++に対して下位であるため野生型となる
  • 平野 博和, 中村 孝雄, 田名部 雄一
    1978 年 15 巻 5 号 p. 242-247
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ウズラおよびニワトリを用いて孵化時より加齢に伴う血漿LHおよびテストステロン濃度の変化をラジオイムノアッセイにより調べた。
    雄ウズラの血漿LH濃度は28日齢までは大きな変動はみとめられなかったが, 42日齢から急激な上昇を示し, 56日齢でピークに達した後70日齢に低下を示した。雄ウズラのテストステロン濃度は28日齢に最も低い値を示した後42日齢から上昇しはじめ56日齢でピークに達した。その後70日齢にはやや低下を示し, LHの消長とよく似た傾向を示した。このことから雄ウズラではLHの性腺への刺激によって精巣でテストステロンの合成分泌機能が上昇したものと考えられる。
    雄ニワとりのLH濃度は28日齢まで変動を示した後, 28日齢から35日齢にかけて約8倍に上昇した。一方テストステロン濃度は28日齢に最低値を示し, 35日齢42日齢と急激な上昇を示した。
    雌ウズラのLH濃度は28日齢に最低値を示した後70日齢まで上昇を示した。一方テストステロン濃度は28日齢まで変化はなく28日齢からゆるやかに上昇して56日齢にピークに達した後70日齢には減少を示した。このことから雌ウズラは28日齢頃からLHの刺激を受けて卵巣機能が発達し, 42日齢前後に産卵を開始するものと思われる。
    雌ニワトリのLH濃度は28日齢まで雄ニワトリの変動と類似していたが, 35日齢においては雄ニワトリの1/5の値を示し, 雌雄差がみられた。一方テストステロン濃度は1日齢から42日齢まで大きな変動を示さなかった。
  • 鬼頭 純三, 酒井 恒, 梅田 勲, 高柳 登, 堀内 貞治
    1978 年 15 巻 5 号 p. 248-258
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1976年3月および5月に岐阜県種鶏場で行われた孵化のさいの死ごもり卵を調査し, 種鶏場や畜産試験場において, 孵卵担当者が調査し記載しやすいような, 奇形の分類を試み, 調査用紙を考案した。
    この調査で得られた結果の特徴は, 体肢の異常が単独で出現する例は, きわめて少ないこと, 眼球の異常が多いこと, 特異なちぢれ羽毛がみられることである。
    従来の記録は, その個体が有する異常のうち, 特徴的と思われるものによって分類されてきたが, 本調査では, 個体のもつ異常をすべて記録できるように工夫した。奇形には, いくつかの奇形を合併している例が多く, 奇形の実態を把握し, これを記録するためには, 本調査で行った方法が有用である。
  • 岡田 育穂, 西村 一三, 秋山 正治
    1978 年 15 巻 5 号 p. 259-263
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    国産4元交雑鶏ノーリン101の原系統11, 12, 21および62, ならびにその交雑群について血液型A, B, DおよびG, 血漿エステラーゼならびにアルカリ性ホスファターゼ座位における遺伝子頻度を推定した。これら6座位のうち, 系統間で比較的異なった遺伝子頻度を示したのは血液型B, 血漿エステラーゼおよびアルカリ性ホスファターゼの3座位であった。
    各系統ならびに2元交雑群間の遺伝的距離, 4元交雑群に期待されるヘテロ接合性の割合などにより分析したところ, 4元交雑群では現行の組合せ (62•11×21•12) において最大のヘテロ性が期待されることが示された。
  • 芦沢 幸二, 西山 久吉
    1978 年 15 巻 5 号 p. 264-266
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Fowl spermatozoa were incubated in Ringer's solution at various temperatures under aerobic conditions.
    Maximum motility of spermatozoa was observed at a temperature ranging between 20 and 37°C, while the vigour of motility was greatly inhibited at between 0.5-5°C and 41-45°C. Oxygen consumption of spermatozoa increased with the rise in temperature until a peak at 37°C and then was depressed by about 40 per cent at 41-45°C. The duration of motility of spermatozoa decreased progressively with the rise in temperature.
  • 木村 正雄, 伊藤 慎一, 長嶺 慶隆, 磯貝 岩弘
    1978 年 15 巻 5 号 p. 267-268
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Blood plasma of quails was examined by the use of starch gel electrophoresis. Transferrins were classified into three types B, BC and C. From mating experiments, it was suggested that the types were under control of an autosomal locus with two codominant alleles TfB and TfC and that transferrin and conalbumin of the quail were controlled by alleles at the same locus. Although not available for the mating experiments, presence of the quail typed conalbumin AB suggested the existence of another allele TfA at the locus.
  • IV. 肉用種鶏に対する育成, 産卵期間中の制限給餌
    坂井田 節, 赤間 栄蔵, 塩谷 栗夫
    1978 年 15 巻 5 号 p. 269-276
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    肉用種鶏の制限給餌法を確立するために, 3つの実験を実施した。実験-1は6鶏種338羽を用い, 対照区は0~518日齢の全期間自由摂取, 制限区は71~154日齢の育成期間隔日給餌を実施し, 産卵期は自由摂取とした。実験-2は4鶏種233羽を用い, 対照区は0~357日齢の全期間自由摂取とし, 制限区は6日間絶食処理を行った。絶食はそれぞれの鶏群別に, 10~20%の個体が産卵を開始した時点 (141~169日齢) に行った。実験-3は1鶏種72羽を用い, 育成期, 産卵期を通しての制限給餌を実施した。1区は対照区で0~518日齢の全期間自由摂取, 2区は0~154日齢自由摂取, 155~518日齢は1区の90%給餌, 3区は71~154日齢隔日給餌, 155~518日齢自由摂取, 4区は71~154日齢隔日給餌, 155~182日齢自由摂取, 183~518日齢は3区の90%給餌を実施した。
    実験-1において, 対照区の初産日齢は鶏種によって, 149~169日と20日間の差を生じたが, 制限区は178~183日と5日間に集中した。初産は平均値で23.1日遅れ, 初産卵重は4.1g増加した。これらのことから隔日給餌法は, 初産抑制の手段としてきわめて有効な方法である。これに対し一定期間絶食法は (実験-2), 絶食期間が6日間と短かかったため, 初産日齢が11.2日遅れたのみで, 初産卵重も2.6gの増加にとどまった。
    育成期隔日給餌によって, 飼料摂取量は, 実験-1において2.3kg, 実験-3では2.6kg減少し, 産卵期における増加分を差引いても, 前者が1.4kg, 後者が2.3kg少なく, 飼料の節約が可能であった。
    ヘンデイ産卵率は, 実験-1において制限区が2.0%上回った。実験-2, 3では1.4~2.3%下回ったが, 種卵の採取率では, すべて制限区が5.1~7.5%上回った。
    種卵1個当りの飼料摂取量は, 実験-1において制限区が43g下回り, 実験-3においては育成期制限によって11g, 産卵期制限によって35g減少した。全期間自由摂取区と育成, 産卵期制限区とでは39gの差を生じた。このことから育成期, 産卵期を通して制限給餌を実施するのが, 経済的に有利であることが明らかとなった。
  • ケージ飼育における床面の構造と材質について
    福坂 一利, 山野 洋一, 賀屋 秀夫
    1978 年 15 巻 5 号 p. 277-282
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーのケージ飼育におけるケージ床面の構造と材質が胸部水疱の発生に及ぼす影響について検討し, 次の結果を得た。
    1. 胸部水疱の発生は, 網目が大きい床タイプで多く認められ, 網目を小さくすることにより本症の発生を軽減させることができた。
    2. 既存のケージ床上へのビニール網シートの付設は, 予防効果が比較的優れた。しかし, 網目が1.1×1.1cmでは肥育後期に鶏ふんや羽毛の落下が不良になるため, この期間は除去するか, あるいは網目が大きく厚めのものを使用する必要がある。
    3. プラスチック管や竹材で造ったスノコ構造の床タイプは, 鶏ふんや羽毛の落下が比較的良好で胸部水疱の予防効果も認められた。スノコ構造では, 床材表面の丸味, 配列の間隔等によっても差が認められた。また, 床材の太さを太くすることで本症の発生を予防でき得ることを示唆した。竹材は, 耐久性に乏しく重いので, 実用的にはプラスチック材の応用が望ましい。
    4. 雄は雌に比し本症の発生率が高く, かつ重度であった。
  • 1978 年 15 巻 5 号 p. 283-286
    発行日: 1978/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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