日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
16 巻, 5 号
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  • 岩崎 説雄, 渡辺 誠喜
    1979 年 16 巻 5 号 p. 233-241
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏胚血清中の胚特異性蛋白質, α-Embryonic Protein (αEP) の生理機能を明確にする目的で, 発生に伴う消長ならびにその品腫間の差異を調査するとともに, 卵蛋白質との免疫学的関係を検討した。供試鶏は前報15)と同様である。ふ卵8日齢よりふ化後9日齢までの胚およびヒナより採血し, 常法に従い血清を分離し, そのαEP量を単円免疫拡散法により測定した。
    1. 鶏胚血清に特有なαEPは, ふ卵20日齢の卵黄および新鮮卵白との間に共通性抗原を有する。しかし鶏胚血清のαEPとヒト胎児血清のα-フェトプロテインとの間には, 共通性抗原の存在は認められなかった。
    2. 胚血清αEPは8日齢よりの胚血清中に出現し, ふ卵16日齢で最高値 (70-90mg/dl) に達した後, ふ化時には11-19mg/dlまで低下し, ふ化後1週間でほぼ消失し, その存在はヒナ腹腔内の卵黄のうの消長と一致した。血清のαEP量の推移は, 交雑種を含め, すべての鶏種でほぼ類似していたが, 品種別では発生中期には白色レグホーン種, その他の時期ではロードアイランドレッド種が高く, 比内鶏は両品種の中間的な値であった。
    3. 血清αEP量の血清総蛋白量に対する割合は, 比内鶏を除き, ふ卵16日齢と19日齢に最高値を示し, 以後減少してαEP量の推移と同様の傾向を示した。しかし比内鶏は血清総蛋白量の変動の影響を受け, 14日齢と19日齢に2つのピークが認められた。
    4. 血清αEP量と体重•肝臓重ならびに血清総蛋白量との間には, 明確な関係は認められなかった。
  • 桜井 斉
    1979 年 16 巻 5 号 p. 242-253
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    飼料の蛋白質およびエネルギー含量が日本ウズラの環境温度による産卵におよぼす影響を調査する目的で, 実験1ではCP含量が16, 20および24%の各水準に, MEを1g当り2.7, 3.0および3.3kcalの3水準をわりつけた9飼料を, 中温期 (秋~春季, 平均室温21.2°C) と高温期 (夏季, 28.8°C) とに各2回ずつ給与した。実験2では, CP, MEとも実験1におけるよりも高水準側に拡巾し, CP 18, 24および30%の各水準に, MEを2.6, 3.1, 3.6kcalをわりつけた9飼料を, 中温期 (春季, 22.3°C) と高温期 (夏季, 29.7°C) とに各2回給与した。そして得られた各産卵成績を要因分析した。その結果,
    1) 中温期と高温期による飼育温度および温度と飼料の要因との交互作川は有意でなかった。
    2) 実験1, 2を通して, 産卵率はCP含量が高くなるにつれてざん減的に高くなり, 実験1では24%近辺から, 実験2では26%近辺から一定値を示した。CP 24%および26%近辺より高い水準では, ME合量が2.8kcalより高くなると産卵率は高くなった。本反応より産卵率に対する最適点はCP 25%, ME 3.0kcalにあると推定された。
    3) 卵重には, CP 24%以下の範囲は産卵率にきわめてよくにた反応が示されたが, 24%からはCPとME含量が高くなると卵重はざん減的に大きくなった。
    4) 飼料効率に対するCP含量の効果は24%附近までであったが, ME含量は3.6kcalまで飼料効率をざん減的に高めた。
    5) 以上の成績から, 日本ウズラのもつ産卵率を最高に発揮させ, しかも卵重が大きく, 飼料効率を高く維持するためには, CPは25%で, MEを3.0kcalにする必要がある。
  • 一色 泰
    1979 年 16 巻 5 号 p. 254-258
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    単冠白色レグホーン種雄の90日齢と100日齢に対して, 粗蛋白質31.2%の配合飼料に乳酸産生菌 Bacillus coagulansLactobacillus casei をそれぞれ0, 1×105, 1×107, 1×108および1×109の菌数を添加し, 13日間飼育したのち, 血液中の窒素成分とミネラル量におよぼす影響を調査した。
    1. 全窒素では, 両乳酸産生菌とも1×107以上給与した区は有意に増加し, 非蛋白態窒素では有意に減少した。尿酸態およびアンモニア態窒素も非蛋白態窒素同様に減少し, 尿素態窒素も乳酸産生菌給与により減少する傾向がみられた。
    2. ナトリウムは Lactobacillus casei 給与では減少したが, Bacillus coagulans では給与による差はみられなかった。カリウムは両乳酸産生菌給与とも減少し, カルシウムおよびマグネシウムは増加した。リンは乳酸産生菌給与による差はみられなかった。
  • IV. 孵卵機内における種卵のホルムアルデヒド燻蒸の効果と燻蒸が孵化成績に及ぼす影響
    古田 賢治, 相良 美佐子, 大橋 等, 尾花 実雄, 下村 茂美
    1979 年 16 巻 5 号 p. 259-265
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    運転している孵卵機内において種卵のホルマリン燻蒸を行い消毒効果を検討し, 燻蒸が種卵の孵化成績に及ぼす影響を調べた。
    人工的に黄色ブドウ球菌で汚染させた卵殼を運転している孵卵機に入れ, 孵卵機容積1m3当り40mlのホルマリンと20gの過マンガン酸カリを反応させガスを発生させた。孵卵機の換気口を全閉し0.5, 1, 3時間燻蒸した。卵殼1個当り106.7~107.3付着していたハート•インヒュージョン•ブロース培地で培養した菌は0.5時間の燻蒸直後に0~100.3に減少したが, 同培地に1/2量の滅菌した鶏盲腸内容物を加えて培養した菌の減少は少なく, 106.6~107.9の菌が104.8~106.6に低下したに過ぎなかった。1時間燻蒸すると盲腸内容物を加えて培養した菌でも燻蒸直後に0~101.4に減少していた。燻蒸を3時間まで延長しても少数の菌が生き残っていることがあり, また燻蒸終了後24時間を経過しても同様で, 完全な消毒効果を得ることはできなかった。
    SPF鶏の生産した種卵により孵化実験を行った。卵殼が汚れていない種卵を水洗して貯卵し, 入卵前にホルムアルデヒドにより燻蒸した後に燻蒸群と対照群に2分し, 7日間隔で連続7回入卵した。燻蒸群の種卵については入卵後孵卵機が正常な運転状態になると直ちに燻蒸を行い, 入卵7日目と14日目にセッター内で, 18日目にはハッチャー内で燻蒸した。ホルムアルデヒド濃度は前述のとおりで1時間換気口を全閉して燻蒸した。貯卵日数が3~10日間の種卵の孵化率は両群の間に差がなかったが, 11~16日間貯卵した種卵の孵化率は燻蒸群が低く両群の間に5%水準で有意差が認められた。また, 燻蒸群の孵化率でも3~10日間貯卵の種卵が11~16日間貯卵のものより優れ, 有意な差 (5%水準) があった。健康雛の割合は貯卵日数に拘らず両群間に差を認めなかった。
    両群の種卵より孵化した健康雛各100羽を4週齢まで飼育観察したが, 死亡雛の発生は両群ともになく4週齢体重にも群間に差を認めなかった。
  • 木村 正雄, 合田 之久, 磯貝 岩弘
    1979 年 16 巻 5 号 p. 266-270
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏血漿アルカリ性ホスファターゼ成分Akp-2について述べた。この成分はLAWと MUNRO (1965) や WILCOX (1966) の報告した血漿アルカリ性ホスファターゼ成分よりも陽極側に位置する。この成分は優劣性の対立遺伝子による遺伝的支配を受けることが考えられる。優性遺伝子Akp-20をもつ個体はこの成分を欠き, 劣性のAkp-2aホモ個体においてその存在が認められた。Akp-2成分は白色レグホーンや, その成立に白色プリマスロックや白色コーニッシュが関与している鶏群では発見されなかった。横斑プリマスロックや, その成立にロードアイランドレッドとロードアイランドホワイトが関与している鶏群でこのAkp-2成分が発見された。
  • 吉田 実, 星井 博
    1979 年 16 巻 5 号 p. 271-276
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    試薬として市販されているナトリウム, カリウムおよびカルシウムのリン酸塩各々3種類ずつとリン酸につき, そのリンの生物学的利用率をヒナの趾灰分含量にもとずく生物定量法により測定した。この場合のリンの標準品としては, 特別に調製したリン酸3カルシウムを用いた。
    リン酸1, 2および3カルシウムのリンの利用率は, それぞれ126, 114および96であった。リン酸1, 2および3ナトリウム, 同カリウムおよびリン酸のリンの利用率は, 116~130であった。これら7種類のリン源とリン酸1カルシウムのリンの利用率は, 誤差範囲内で一致し, 平均124であった。
    この結果から, 既報の趾灰分にもとずくリンの利用率の生物定量法におけるリンの標準品として, リン酸1カルシウムが推奨された。前報で推奨したリン酸2もしくは3カルシウムは, リンの利用率がやや低いため推奨できない。ナトリウムやカルシウムのリン酸塩は, 飼料中の陽イオン, 陰イオンの調節が面倒であり, リン酸は粘度が高く取扱いにくい難点がある。
    リン酸3カルシウムを標準として測定した既報のリンの利用率は, これに0.806を乗じて, リン酸1カルシウムを標準とする新しい利用率に換算することができる。既報の16種類の飼料原料のリンの利用率を換算して表2に示した。
  • 堀田 三郎, 吉岡 敏夫, 草〓 登夫, 中島 宏樹, 石川 道幸
    1979 年 16 巻 5 号 p. 277-280
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    各種飼料原料中のリンの利用率を測定するため, 吉田と星井の方法を用いて植物質原料, 動物質原料および鉱物質原料のリンの利用率を測定するとともに, ミートボンミールについて産地, 製法, 素材の種類および粒度分布の差異がリンの利用率に及ぼす影響を検討した結果, 次のとおりであった。
    動物質原料および鉱物質原料は, ほぼ100%の利用率であったが, 植物質原料については各原料とも低い傾向がみられた。また, ミートボーンミールのリンの利用率は, 製法および素材の種類よりも粒度の影響の方が大きいと考えられた。
  • IIII. 傾斜比法の適用
    吉田 実
    1979 年 16 巻 5 号 p. 281-286
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1週齢の白色レグホーン種雄ヒナ840羽を用いて, 傾斜比法を適用して3種類の炭水化物の有効エネルギーを測定し, yからxの逆推定法により以前に求めたデータと, 測定の精度を比較した。蛋白質含量の異なる条件で5点傾斜比法により大豆油の有効エネルギーを測定した。
    コーンスターチ, ブドウ糖, ショ糖の有効エネルギーは, それぞれ3.53, 3.64および4.08kcal/gであった。95%信頼区間がはるかに狭いので, 傾斜比法のほうが, yからxの逆推定法より優れている。
    飼料の蛋白質含量が23~26%の範囲の場合, ヒナの成長反応およびそれにもとずいて評価した大豆油の有効エネルギーはほぼ一定であった。標準飼料の蛋白質含量は23%であるので, 供試品由来の蛋白質の増加が3%以内であれば, 有効エネルギーの生物定量法にはほとんど影響がないといえる。したがって, 供試品を, 低エネルギー標準飼料, SO-0のセルロースと直接おきかえることができる。
  • 吉村 幸則, 藤井 俊策
    1979 年 16 巻 5 号 p. 287-289
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 吉田 実, 石川 道幸, 中島 宏樹, 堀田 三郎
    1979 年 16 巻 5 号 p. 290-292
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    リン酸肥料の肥効を判定する目的で, ク溶性リンが測定されているが, この手法を飼料原料に応用することを試みた。予備試験の結果, 肥料分析で用いられているクエン酸濃度2%は, 飼料には不適当であったので, 0.5%クエン酸溶液を用いることにした。
    試薬用のリン酸カルシウム3種類, 飼料用のリン酸カルシウム5種類, 骨つき肉粉4種類および魚粉2種類について, ク溶性リンの割合とヒナを用いる生物定量法により測定したリンの利用率との間に, 危険率1%で直線関係が認められ, (1)式が適用できた。
    y=72.58+0.480x……(1)
    ただし, xは0.5%クエン酸可溶性のリンの割合(%) であり, yはリンの利用率である。
    この知見から, 無機態および動物性の飼料原料のリンの利用率を推定する簡便法として, 0.5%ク溶性リンを測定することが推奨された。
  • 目加田 博行, 林 信義, 横田 浩臣, 奥村 純市
    1979 年 16 巻 5 号 p. 293-297
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Earthworms, Eisenia foetida, were estimated for the nutritive value in growing and laying chickens. The dried earthworm meal had the following analysis: moisture 10.98%, crude protein 54.51%, crude fat 8.51%, crude fiber 5.20%, crude ash 5.38%, calcium 0.94% and phosphorus 1.10%.
    Growth experiment was done with 60 plymouth Rock male chicks of 1 week old for 3 weeks. Two replaced diets which were substituted soybean or fish meals for dried earthworm meal were used. There were no significant differences in body weight gain and feed conversion between the replaced diet groups and the soybean-fish meal control group, but somewhat better trends were observed in the replaced diet groups.
    Laying experiment was done with 60 Single Comb White Leghorn cross bred hens. Raw earthworms were used to make replaced diets. There were no significant differences in egg production rate, egg weight and feed conversion between the replaced diet groups and the soybean-fish meal control group. There was no measurable effect on egg quality by feeding earthworms.
    It is concluded that the earthworm can be used practically for poultry feed as a dietary protein source.
  • 1979 年 16 巻 5 号 p. 298-300
    発行日: 1979/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 16 巻 5 号 p. 303
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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