日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
16 巻, 6 号
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  • 桜井 斉
    1979 年 16 巻 6 号 p. 305-317
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    育成飼料の蛋白質およびエネルギー含量が日本ウズラの増体量, 飼料効率および育成後の産卵におよぼす影響を調査する目的で, 実験1では, CP含量が18, 22, 26%の各水準に, MEを飼料1g当り2.7, 3.0および3.3kcalの3水準をわりつけた9飼料を, 初生以後5週間の育成期に給与した。実験2では, CP, MEの含量巾を実験1におけるよりも高水準側に拡大し, CP 20, 27, 34%の各水準に, MEを2.7, 3.2, 3.7kcalをわりつけて, 前記育成期に給与した。その結果,
    1. 増体量に対するCP含量の効果はいちじるしく, CP含量が18%から26%および20%から32%へと高くなると, それにつれて増体量は漸減的に増加した。一方増体量に対するME含量の効果は3.2kcalまでであった。
    2. 飼料効率に対するME含量の効果は顕著であって, 2.7kcalから3.3kcalおよび3.7kcalへと含量が高くなると, 飼料効率は漸減的に高くなった。一方, CP含量の効果は22%および27%までで, さらに含量が高くなっても飼料効率に変化がなかった。
    3. CP含量が18%および20%の低蛋白質飼料による育成により産卵開始が遅延した。これは18%の場合に全期間 (7か月間) の産卵率低下に影響した。また27%以上の高蛋白質飼料による育成により産卵期生存率が低下した。飼料摂取量, 卵重には育成飼料の影響はなかった。
    4. 以上の成績より, 最大増体量を比較的高い飼料効率で得る組成は28~32%-3.1~3.2kcalまたは31%-3.1kcalであるといえる。また, 性成熟の遅延と産卵期生存率の低下に影響のない安全な産卵成績に対する組成は, CPは最低22%で, 比較的増体量が多く, 飼料効率を高く維持するME含量, 3.0kcalであった。
  • 桜井 斉
    1979 年 16 巻 6 号 p. 318-328
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本ウズラの産卵に対する環境温度の影響を明らかにするために, それぞれ21°Cを堪準にして, 21°C定温, 18.5°C定温, 21°C (昼間)~16°C (夜間) の変温, および16°C定温 (実験1) と, 21°C定温, 26°C定温, 31°C (昼間)~21°C (夜間) の変温, および31°C定温 (実験2) の影響を調査した。いずれの実験も, 温度調節室に調温飼育装置を設置し, 目的温度の±1°Cのもとで, 実験1は3か月齢と8か月齢のものを用い週毎に9週間にわたって, 実験2は30日齢のものを用い, 月毎に7か月間にわたって産卵成績を調査した。その結果,
    1) 産卵率は26°Cが最も高く, それよりも高い場合も, また低温のもとでは温度低下にともなって低下した。なおニワトリで観察されている日内変温の有効性は観察されなかった。
    2) 卵重, 卵殼厚は31°C~21°Cの変温で減少し, 31°Cのもとでさらに減少した。
    3) 生存率はおおむね産卵率の変化と同様に変化した。
    4) 飼料効率は26°Cと31°Cはいずれも高く, 26°Cより低温のもとでは温度低下にともなって低下した。
    5) 以上の成績から判断すると, 日本ウズラの産卵に対する適温は26°Cまたはその近くにある。
  • 1. アヒル, バリケン, ニワトリおよびキジ卵の構成成分および化学成分の比較
    田名部 尚子, 小川 宣子
    1979 年 16 巻 6 号 p. 329-336
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    4月産卵のアヒル卵 (ナキアヒル種, カーキキャンベル種, ペキン種), ニワトリ卵 (東天紅種, ロードアイランドレッド種), バリケン卵, キンケイ卵, ハッカン卵の構成成分, 化学成分を調べた。
    アヒル卵では, 卵重はナキアヒル種約51g, カーキキャンベル種66g, ペキン種93gであったが, 卵黄重/卵重比 (34~36%) にはこの3品種間に統計的に有意の差は認められなかった。ニワトリ卵では, 卵重は東天紅種37g, ロードアイランドレッド種65gであったが, 卵上黄重/卵重比はそれぞれ33%と29%で, 卵重の小さい東天紅の方が比率が高かった。全卵 (卵殼, 卵殼膜を除く) 中の粗脂肪率は, アヒル卵では, ナキアヒル種14%, カーキキャンベル種16%, ペキン種13%であったが, ニワトリ卵では東天紅種13%, ロードアイランドレッド種11%であった。卵殼重/卵殼重比は, ナキアヒル種と東天紅種で11%であったが, ペキン種, カーキキャンベル種アヒル卵とロードアイランド種ニワトリ卵でいずれも9%であった。全卵中 (卵殼, 卵殼膜を除く) の粗タンパク質率はアヒル卵とニワトリ卵で差がなく, 約12%であった。卵殼厚は, ニワトリ卵では2品種とも0.33mmであったが, アヒル卵では, ナキアヒル0.36mm, カーキキャンベル種0.34mm, ペキン種0.36mmであった。卵殼強度は, ニワトリ卵とアヒル卵において2.5~2.8kgの間にあり, いずれの卵の間にも統計的な有意差はなかった。バリケン卵では, 卵重は76gでペキン種アヒル卵に次いで大きく, 卵黄重/卵重比 (33%) と全卵中の粗脂肪率 (15%) はアヒル卵に近かったが, 全卵中の粗タンパク質 (13%), 卵殼/卵重比 (11%), 卵殼厚 (0.4mm) はアヒル卵より高く, 卵殼強度は4.6kg以上で, いちじるしく強かった。キンケイ卵は卵黄重/卵重比が39%でニワトリ卵, アヒル卵より多く, ハッカン卵では卵黄重/卵重比 (39%), 全卵中の粗脂肪率(16%) と粗灰分率 (1.2%) と多く, 特に卵殼重/卵重比が13%でいちじるしく多く, 卵殼が厚く (0.42mm), 卵殼強度が4.8で最も強かった。
  • 2. ニワトリ, ウズラ, アヒル, バリケンおよびキジ卵の卵黄タンパク質のポリアクリルアミドグラジエントゲルディスク電気泳動像の比較
    田名部 尚子, 小川 宣子
    1979 年 16 巻 6 号 p. 337-343
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    10%の下層ゲルに4.75%の上層ゲルを重ねたポリアクリルアミドグラジエントゲルディスク電気泳動法によって, ニワトリ (ロードアイランドレッド, 横斑プリマスロック, 横斑プリマスロック× ロードアイランドレッド, 白色レグホーン, 東天紅), ウズラ, アヒル (カーキキャンベル, ペキン, ナキ), バリケン, キンケイおよびハッカンの卵黄タンパク質を調べた。泳動帯は10%ゲル中にNo. 1~24, 4.75%ゲル中にNo. 25と26の合計26本が分離された。このうち, 卵黄の超遠心分離(40000rpm, 105 400×G, 20h, 4°C) の沈降分画のタンパク質の泳動帯は, No. 23, 24, 25, 26であり, No. 23と24の染色濃度が濃く, 巾も広かった。上清分画のタンパク質はNo. 1~22と26に分離された。上清分画の主泳動帯はNo. 7~16で, これらはこの分画の主成分である低密度リポタンパクのものと思われる。このうち最も染色の濃いNo. 8の泳動帯は, ニワトリのものが調査した他の種のものにくらべて易動度が大きく差異がみられた。No. 10~16の7本の泳動帯では, それぞれの染色の程度に種の間に差異が認められた。No. 20~22は個体変異があり, ニワトリとウズラにのみ認められた。No. 17~19の泳動帯は, アヒルで細いはっきりした泳動帯として認められたが, ニワトリ, ウズラ, バリケンなどでは, ごく染色の薄い泳動帯として認められた。No. 1~No. 6はいずれの種においてもごく染色が薄かったが種によって存在する泳動帯と, 存在しない泳動帯があることが認められた。
  • 一色 泰
    1979 年 16 巻 6 号 p. 344-349
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    盲腸に分布する血管と神経, および神経のみを切断した単冠白色レグホーン種雄雛を用い, 盲腸糞排泄の様相を時刻別に調査した。
    1) 前•中間•後回盲腸動, 静脈とそれに付随する神経の切断または神経のみを切断すると, 深夜にも盲腸糞を排泄し, また盲腸糞の排泄回数が減少した。
    2) 上記の血管および神経のほかに, 前•後腸間膜動, 静脈の盲腸枝とそれに付随する神経を切断すると, 盲腸糞の排泄は全くみられなくなった。このことは, 前•後腸間膜動, 静脈の盲腸枝およびそれに付随する神経が, 盲腸糞の排泄に大きな役割を果していることを示すものである。
  • 吉田 実, 星井 博
    1979 年 16 巻 6 号 p. 350-355
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    主として鮮魚と野菜の不可食部分からなるスーパーマーケットの残渣を, 混合, 加熱処理, 乾燥, 粉砕し, ふるい別けした供試品について, その栄養価を化学的手法およびヒナに与える生物学的方法によって評価した。
    供試品の粗蛋白質20.69%, 粗脂肪26.05%, 粗灰分8.58%であって, 粗灰分中, カルシウム1.68%, リン1.21%, ナトリウム0.35%であった。脂肪酸組成は魚油の脂肪酸組成に類似していた。アミノ酸組成は, グリシン含量が8.80%で少し高い点を除き, 魚粉のアミノ酸組成に似ていて, よい組成である。
    有効エネルギーと蛋白価は, それぞれ3.65kcal/gと104で, 栄養価が非常に高いことを示している。リンの利用率は, リン酸1カルシウムを標準として, 80であった。
    供試品には強い魚臭があり, これが卵や肉の風味に影響することが考えられるので, 当場慣用の産卵鶏用飼料もしくは, これと供試品の8:2の混合物を与えた鶏の卵と肉について, 官能検査を行なった。卵については, 風味に差は認められなかったが, 肉については, 供試品を与えた鶏のほうが好まれる傾向であった。供試品を2割混合して与える場合でも, 産卵率や飼料摂取量には影響がなかったが, 卵黄の色調が淡くなった。
  • 坂井田 節, 塩谷 栗夫
    1979 年 16 巻 6 号 p. 356-358
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    合成エストロゲン様物質のヘキセストロールジカプリレート (HDC) を, 518日齢のロードホーンに投与し, 産卵成績におよぼす影響を調査した。胡麻油に溶解したHDCを1回の筋肉注射または5日間の経口投与によって投与した。注射は1羽当り0.5 (T-1) と10 (T-2) mgの2区を設定し, 経口投与は1日1羽当り0.5 (T-3) と2 (T-4) mgの2区を設定した。対照区は胡麻油のみを0.5ml注射した。1区当り10羽を用い, 投与前10日間と投与後7カ月間の産卵成績を調査した。
    ヘンディ産卵率は, すべてのホルモン投与区が対照区を下回り, 前報1)における若雌に投与した場合と逆の傾向を示し, 分散分析の結果対照区と投与群の間に1%水準で有意差を生じた。産卵日量, 飼料要求率についても5%水準で, 投与群が有意に劣った。このような産卵の低下は, 換羽現象と密接な関係があり, ホルモン投与区においては3~6羽 (10羽中) に換羽が見られたが, 対照区は1羽も換羽しなかった。
    以上の結果から, 老鶏にHDCを筋肉注射または経口投与することによって, 生産性の向上は見られず, 鶏の日齢や鶏種などによって, ホルモンに対する反応が異なるようである。
  • 河野 友宏, 一戸 健司, 中條 誠一
    1979 年 16 巻 6 号 p. 359-361
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    The effects of hypothalamus PRL-RF and gonadal steroids in cockerels on PRL levels of the anterior pituitary were investigated by pituitary stalk section and castration. Disc electrophoresis was applied for a measurement of the anterior pituitary PRL level.
    Stalk section resulted in a remarkable decrease of PRL concentration and content in the anterior pituitary, while castration evoked a significant increase of PRL levels in the gland. Whereas no differece was observed among the birds of three groups which were treated with 1) stalk section alone, 2) stalk section with castration and 3) testosterone administration for 21 days after stalk section.
  • 真鳥 清, 平瀬 一博, 平島 元, 福田 憲和, 木庭 研二, 森 泰良, 窪田 大作
    1979 年 16 巻 6 号 p. 362-366
    発行日: 1979/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本試験は4県研究機関での協同研究であり, ノーリン101の合理的飼養技術の一環としてCPおよびTDN要求量を検討した結果, 20~68週齢まで飼養する場合, 産卵前期および中期ではCP水準を16%, TDN水準を67~72%とするほうがCP, TDN水準をそれ以下にするよりも適正であり, 後期においてはCP, TDN水準を下げ得ることが示唆された。しかし, 産卵前期および中期のCP水準が16%が最適であるかどうかについては, 更に高いCP水準での反応を検討する必要があろう。
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