日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
18 巻, 3 号
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  • 星井 博, 吉田 実
    1981 年 18 巻 3 号 p. 145-150
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    都市厨芥11点の化学的組成を測定するとともに, 8日齢の雄ヒナを使う生物定量法により栄養価を評価し, その変動の大きさを比較した。
    ホテル食堂の副食を主とするサンプルA1は, 粗蛋白質 (CP) 31.35%, 可溶無窒素物 (NFE) 24.34%, 総エネルギー (GE) 4.12kcal/gであった。これに主食の残りを混合したサンプルA2は, CP 20.0%, NFE 45.07%, GE 4.35kcal/gであった。
    東京地区で試作した3点のサンプルの平均値は, CP17.67%, NFE 48.99%, GE 4.96kcal/gで, サンプルA2に似ていた。エネルギー利用率 (有効エネルギー/GE) と蛋白価は, 平均79および106で, 栄養価が高いことが示された。
    静岡県の修善寺地区で試作された4点のサンプルの平均値は, CP 26.61%, NFE 26.61%, GE 4.35kcal/gであり, その粗灰分, カルシウムおよびリンの含量は, 東京地区のサンプル中の含量に比してかなり高い。エネルギー利用率, 蛋白価およびリンの利用率の平均は, それぞれ, 83, 88および91であった。
    東京地区と修善寺地区のサンプル間に差が認められたが, これは主として主食の残りの含量の相違によるものであろう。同一地域で同一方法で処理したサンプル間の化学的組成や栄養価の変動は少なく, 生米ヌカなどの天然の飼料原料の変動と比較して同程度か, むしろ小さいといえる。
    嗜好性が非常によいので, 主食の残りを適度に含む東京地区のサンプルやサンプルA2は, そのまま, 市販のブロイラー用飼料と任意の割合で混合して与えることができるであろう。ただし, 産卵鶏用としては, カルシウムを補給する必要がある。修善寺地区のサンプルは非常に濃厚なので, 等量の穀類と混合した上で利用するようにするとよいであろう。また, ナトリウム (食塩) をはじめ無機物が過剰にならないような配慮が必要であろう。
  • 谷中 正男, 奥村 純市
    1981 年 18 巻 3 号 p. 151-157
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    単一アミノ酸を過剰に含む飼料をニワトリヒナに給与すると, 成長の抑制や飼料摂取量の減少がみられ, これらの害作用はアルギニンやグリシンの添加によって緩和されることが知られている。本実験では, チロシン過剰飼料給与によって生じた成長抑制におよぼすアルギニンあるいはグリシンの緩和効果について, 増体量, 飼料摂取量, 飼料効率, 血漿遊離アミノ酸濃度および窒素の利用性などを指標として研究した。
    試験飼料は, 蛋白質源としてL-メチオニンを補足した大豆蛋白質を用いて基礎飼料 (20% CP) を調製し, これに5%のL-チロシンを添加してチロシン過剰飼料とした。さらにチロシン過剰飼料に0.5, 1.0, 1.5, 2.0および2.5%のL-アルギニン塩酸塩 (以下アルギニンと略す) を, また, 1.0, 2.0, 3.0および4.0%のグリシンをそれぞれ添加してアルギニン添加飼料およびグリシン添加飼料を調製した。供試ヒナは8日齢の白色レグホーン種雄を用い, 14日間試験飼料および水を自由摂取させた。
    チロシン過剰飼料をヒナに給与すると基礎飼料に比べ, 増体量, 飼料摂取量および飼料効率が著しく減少した。これらの諸項目は, 添加したアルギニン (2.0%まで) あるいはグリシンの増加に比例して増加する傾向がみられた。増体量は2.0%のアルギニンおよび4.0%のグリシンの添加によって, 飼料摂取量は1.5および2.0%のアルギニンの添加によって, 飼料効率は4.0%のグリシンの添加によって有意な改善がみられた (P<0.05)。窒素蓄積率 (窒素蓄積量/窒素摂取量) は, チロシン過剰飼料給与により著しい減少がみられ, これはアルギニンあるいはグリシンの添加によって改善されなかった。チロシン過剰飼料の摂取は, 尿酸態窒素排泄量の減少をもたらしたが, 一方総クレアチニン態窒素の排泄量を増加させた。アルギニンあるいはグリシンの添加により尿酸態窒素排泄量は基礎飼料の排泄量より増加したが, 総クレアチニン態窒素排泄量に変化はみられなかった。血漿遊離チロシン濃度は, チロシン過剰飼料給与によって著しく増加したが, アルギニンあるいはグリシンの添加によって幾分減少の傾向がみられた。また血漿遊離フェニルアラニン濃度は, 遊離チロシン濃度の変化と同様の傾向を示した。
    これらの結果から, チロシン過剰飼料給与によって生じた成長抑制に対するアルギニンあるいはグリシンの緩和効果は窒素蓄積率の改善によるのではなく, 飼料摂取量の増加あるいは飼料効率の改善によることが示された。
  • 桜井 斉
    1981 年 18 巻 3 号 p. 158-163
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    先に報告した連続照明法にまさる照明法を探索する目的で, 照明時間中2時間を暗期の中心に照明した場合と, 照明時間の制限•漸増法との産卵を調査し, 連続照明法のそれと比較した。連続照明法として, 明期 (L)-暗期(D) が12L-12D, 14L-10D, 16L-8D, 18L-6D, 20L-4Dの5対照区を設定し, 照明時間中2時間を暗期中に照明した区として, 12L-5D-2L-5D, 14L-4D-2L-4D, 16L-3D-2L-3D, 18L-2D-2L-2Dの4試験区を, また照明時間の制限•漸増法として, はじめ4週間は12L-12Dと14L-10Dのもとで飼育し, 5週目以後毎週15分ずつ照明時間を延長し, 20Lに達した後は20Lを持続する12L+15min. Lと14 L+15min. Lの2試験区を設定し, いずれの試験区も48週間産卵を調査した。なお, 本実験には照明条件調節飼育装置が用いられた。その結果,
    1) 連続照明法について, 生存率のみは照明時間が延長するにつれて低下したほか, 他の頃目はすべて延長につれて増加した。
    2) 本成績と照明時間中2時間を暗期の中心に照明した試験区のそれと, 同一照明時間区間で比較すると, 後者は産卵率, 卵重, 飼料摂取量, 総産卵数, 総産卵量が多っかた。飼料効率には有意差はなかった。
    3) 制限•漸増法の産卵成積は, 照明時間の延長にともなって改善されたが, 20L-4D, あるいは180L-2D-2L-2Dの成積にはおよばなかった。
  • 田中 桂一, 時田 昇臣, 大谷 滋, 重野 嘉吉
    1981 年 18 巻 3 号 p. 164-170
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    飼料中の蛋白質含量が成長中のヒナの肝臓および腎臓おける alanine aminotransferase (AAT) 活性を検討した。
    腎臓におけるAAT活性の85%~90%は particulate 画分中に, 残りの10%~15%が soluble 画分中に分布していた。肝臓においては, AAT活性の65%~80%はparticulate 画分中に, そして20~35%は particulate 画分中に分布している。
    飼料中の蛋白質含量が増加すると肝臓および腎臓の particulate 画分中のAAT活性は直線的に増加し, そしてその増加の程度は肝臓に比較し腎臓の方が大きかった。腎臓での soluble 画分中のAAT活性は, 飼料中の蛋白質含量が増加するのに伴い, 統計的に有意な増加を示した。一方肝臓での soluble 画分中のAAT活性は, 飼料中の全エネルギーのうち蛋白質の占める割合が10%から40%までの増加では, 統計的に有意なものでなかったが増加する傾向にあった。しかし飼料中の全エネルギーのうち蛋白質の占める割合が60%に増加した時の活性は, 飼料中の蛋白質によるエネルギーの割合が10%から40%の時の活性に比べ, 統計的に有意に高い値を示した。
    肝臓および腎臓の particulate 画分中の phophoenolpyrvate carboxykinase 活性は飼料中の蛋白質含量による影響はみられなかった。
  • 岡野 香
    1981 年 18 巻 3 号 p. 171-177
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    岐阜地鶏の成鶏羽装は赤笹型または黄笹型である。しかしながら赤笹羽装を示す鶏の一群から頭頸部背面上部に黒色羽毛を持つ鶏が出現した。この黒色羽毛はふ化後6~8週齢時に現われる。雄においてはこれらの黒色羽毛は約20週齢時頃から消え, その後は正常羽毛になるので, 成鶏雄では正常鶏と区別できなくなるが, 一方, 雌では頭頸部黒色羽毛はその後成鶏となっても維持される。本報は頭頸部黒色羽毛の遺伝, およびこの遺伝子とE-locus のe+またはey遺伝子との関係について検討したものである。
    交配試験の結果, 頭頸部背面上部の黒色羽毛を決定する遺伝子は常染色体上の優性遺伝子であることが明らかとなり, またこのような羽装についての報告がなされていないので, 遺伝子記号としてBhを用いるのが適当であると思われる。このBh遺伝子は赤笹型 (e+e+, e+ey, ey ey雄およびe+e+, e+ey雌) においては黒色羽毛を発現させるが, 黄笹型 (ey ey雌) に対しては効力を持たない。
    さらに E-locus がe+eyである縦斑綿毛ヒナは縦斑の差によって性判別できる。すなわち明瞭縦斑綿毛ヒナの約85%が雌, 不明瞭縦斑綿毛ヒナの約93%が雄であった。しかしながらBh遺伝子を持ったヒナ (e+ ey Bh bh)では縦斑による性判別が不正確になり, 明瞭縦斑綿毛ヒナの約70%が雌, 不明瞭縦斑綿毛ヒナの約96%が雄であった。このことから, Bh遺伝子は一部の個体において縦斑を濃くして, 綿毛色の差を明瞭にする働きを持っているものと思われる。その結果, Bh遺伝子を持つ一部の雄は大部分の雌と同様に縦斑が明瞭になるのであろうと考えられる。
  • 木村 正雄, 山本 昌二, 伊藤 慎一, 磯貝 岩弘
    1981 年 18 巻 3 号 p. 178-181
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    電気泳動法を用いて, ニワトリの肝臓マンノースホスヘート イソメラーゼを分析した。白色レグホーン種の1閉鎖集団において, 4つの電気泳動型A, AB, BおよびBCが観察された。繁殖記録から, これらの電気泳動型が常染色体の3つの共優性対立遺伝子MPIA, MPIBおよびMPICによる遺伝支配を受けることが考えられる。
    調査した102羽の雛のうち, 1, 12, 85および4羽がそれぞれA, AB, BおよびBC型であった。これらの電気泳動変異は浅胸筋抽出物中においても観察することができた。
  • 東條 英昭, 小川 清彦
    1981 年 18 巻 3 号 p. 182-184
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Effects of mammalian and avian gonadotropins on the testes of hypophysectomized chicks were investigated. The action of chicken gonadotropins on the testis was similar to that of mammalian gonadotropins. Sheep and chicken FSH increased the testicular weight and the diameter of the seminiferous tubules whereas LH of both species caused a proliferation of the interstitial cells. Sheep FSH was the most effective in stimulating the seminiferous tubules among the gonadotropins used in this study.
  • 桜井 斉
    1981 年 18 巻 3 号 p. 185-192
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    A nitrogen and energy balance experiment was carried out to clarify the influence of dietary levels of protein and energy on the utilization of nitrogen and energy in diets for the egg production of Japanese quail. In this experiment, 360 three-month old quail were divided into 12 groups and fed for 60 days 12 designed diets of CP content (%) and ME value (kcal/g) as 14-2.7, 14-3.0, 16-2.7, 16-3.0, 18-2.7, 18-3.0, 21-2.7, 21-3.0, 21-3.3, 24-2.7, 24-3.0, 24-3.3. A variance analysis for the analysis of data obtained were used. The following results were obtained:
    1) The changes of protein content and energy value in diets did not influence the nitrogen content and energy value in the whole egg, in which was contained an average 1.88±0.02% of nitrogen and an average 1.59±0.03kcal per g.
    2) Feed intake, egg production rate, egg weight, feed efficiency and body weight increased with increasing levels of CP from 14% to 24%. The effect of ME levels for each of the above egg production characteristics differed with the CP content. Feed intake decreased and feed efficiency increased with the level-up of ME from 2.7kcal to 3.0 and 3.3. For the egg production rate, egg weight and body weight, the effect of 2.7kcal was greater than 3.0 in the range of 14% to 21, and in the level of 24% no difference among ME levels was found.
    3) The nitrogen conversion rate in eggs lowered with increasing the level-up of CP content, whereas the increasing of ME level brought about an increase of the rate. The nitrogen retention rate in bodys did not differ with the feed compsitions, so that for the nitrogen excretion rate, the reverse relation of the nitrogen conversion rate in eggs was found.
    4) The energy conversion rate in eggs increased with the level-up of CP content in contrast with the nitrogen conversion rate in eggs. The effect of ME levels for the rate was 2.7kcal higher than 3.0 in the range of 14% to 18 of CP, and in the range of 21% to 24 no difference was found among the ME levels. The energy retention rate in bodys was only 0 to 2%, but it increased with the level-up of CP and ME. From the above changes, the rate of heat loss decreased from 79% to 72 with the level-up of CP, in contrast with the energy conversion rate and the energy retention rate.
    5) In the case of the diet of 14 per cent CP in which has a lower protein content and a larger calorie-protein ratio, a nitrogen balance was maintained at positive and an energy balance at equilibrium. In this case the poorer egg production was observed. It is considered that the above thing shows that the ingested protein and energy was consumed preferentially for maintenance of body, and the remainder of that for egg production. A laying diet for quail must give her the highest laying performance with relatively higher utilization of nitrogen and energy. From the above results it is said that the CP and ME composition which has the above functions are 24% and 3.0kcal.
  • 中里 孝之, 田上 雅之, 鈴木 松二, 山根 哲夫
    1981 年 18 巻 3 号 p. 193-195
    発行日: 1981/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーの脛骨軟骨異形成症の野外発生要因を知る目的でブロイラー専用種約55,000羽を用い, 系統, 孵化場間差およびビール酵母給与のTD発生におよぼす影響について検討した。結果は次の通りであった。
    1) TDの発生は日齢の経過とともに増加する傾向がみられ, 特に49日齢以降の増加傾向が著しかった。出荷時 (65日齢頃) の発生率は雌雄平均で3.9~16.0%であった。
    2) ひなの系統間に差があることが認められた。
    3) 発生率の高かったA系統の孵化場間に差はみられなかった。
    4) 雄は雌より多く発生することが認められた。
    5) 飼料にビール酵母を2%添加してもTD発生率が減少することはなかった。
    6) 肉眼でTDと判定したものをソフトレントゲン撮影したら75%に明瞭な軟骨舌の存在が確認された。
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