日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
18 巻, 5 号
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  • 岡田 育穂, 番匠 宏行
    1981 年 18 巻 5 号 p. 259-266
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色レグホン種の小集団を用いて, 体躯を小格化する方向への選抜を4世代にわたり行なった。選抜方法は150日齢体重を軽くする方向への直接選抜と, 150日齢体重を減少させ, 短期産卵数を高めるが, 卵重については変化させないようにする制限つき選抜指数を用いた指数選抜の2つを用いた。対照として無選抜の無作為交配群を同時に維持した。
    両選抜群とも選抜反応が観察され, 対照群に較べて150日齢体重は低下し, 産卵数は上昇した。しかし乍ら, 予期に反して選抜反応は両形質とも体重選抜群の方が大きく, 指数選抜群の方が小さかった。150日齢体重の実現遺伝率は約0.3であった。
    血液型遺伝子の頻度に関しては, 対照群では世代の経過に伴なう変化は殆ど観察されなかった。しかし, 選抜群ではホモ化の方向への変化がみられ, 特に体重選抜群においてその傾向が著しかった。
  • 高嶋 良弘, 水間 豊
    1981 年 18 巻 5 号 p. 267-272
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリ♂×ウズラ♀の交雑実験を, (1)ウズラ♀に対する人工授精の間隔, (2)ニワトリ雄の品種, を違えて行ない, 受精率•孵化率を検討した。さらに得られた交雑種についてその羽色•羽性および成長を調査した。
    実験(1)において白色レグホン精液を用いて各区10羽のウズラ雌に0.02mlずつ人工授精を行なったところ, 週1回の人工授精で13.9%, 週2回の人工授精で47.9%の平均受精率を得た。
    実験(2)において4品種の雄ニワトリ (比内鶏, ロードアイランドレッド, 横斑プリマスロック, 白色レグホン) の精液を各区10羽のウズラ雌に週2回人工授精したところ, 比内鶏区で23.2%, ロードアイランドレッド区で22.6%, 横斑プリマスロック区で23.1%, および白色レグホン区で25.2%の受精率が得られた。なお, 受精卵に対する孵化率は, 平均6.4%となり合計36羽の交雑ヒナが得られた。孵卵初期段階で発育中止となる受精卵が全体の約2/3存在し, またウズラ雌個体別の受精率間には大きな差が認められた。孵卵19日目に虚弱のため自力では孵化できない交雑ヒナには卵殼を注意深く取り除くことにより孵化率を向上させることができた。
    交雑個体の孵化時体重は, ウズラヒナと差がなく平均7.1gであった。雑種の成長は, 約10週齢まで急速に増加し120~150日齢でほぼ成体重に達した。最大時体重は, 横斑プリマスロックとのF1が480gともっとも重く, 次にロードアイランドレッドとのF1 420g, 比内鶏とのF1 405g, そして白色レグホンのF1 350gの順となり, ニワトリ雄品種の体重の大小によりF1の成長に差が認められた。
    比内鶏×ウズラ, ロードアイランドレッド×ウズラで得られた雑種の初生羽は, ニワトリ品種のE座位の遺伝子が異なると考えられるのに, ともに黄色に黒い縦縞をもち, また羽装は, 濃淡に差があったがともに褐色羽と白色羽の混在であった。横斑プリマスロック×ウズラで得られた雑種の初生羽は, 黒色で頭部に黄斑が認められ, また遅羽性であり, 成体の羽装はニワトリと同じ独特の横斑パターンを示した。このことにより, 横斑プリマスロックの伴性横斑B遺伝子と遅羽性K遺伝子がF1において優性に出現することが明らかとなった。白色レグホン×ウズラで得られた雑種の初生羽は, ニワトリヒナと同じ黄色で成体の羽装は白色となり, 白色レグホンの優性白色I遺伝子がF1においても優性に出現することが認められた。以上の雑種における羽色•羽性の遺伝様式により, 羽色•羽性に関連するいくつかの遺伝子座はニワトリ•ウズラの対応する染色体上に相同の状態で存在することが推測された。
    雑種の核型を分析するため, 白血球培養を行なった。その際通常ホ乳類で行なわれている白血球培養温度37°Cを39~40°Cに変えることによって多数の鮮明な体細胞分裂像を見い出すことができた。この事実は白血球培養の成否に生体温度が関連していることを示している。孵化した交雑種15個体の白血球培養の結果, 核型はすべて雄であることが判明した。
  • コリヤード クリスチノM., 田先 威和夫
    1981 年 18 巻 5 号 p. 273-280
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究は, ブロイラータイプの鶏を絶食後再給飼したときに, 飼料中の蛋白質レベルが脂質代謝に及ぼす影響を主として肝臓脂質の変動を中心として検討したものである。すなわち8週齢で体重2.2kg前後の鶏を4日間絶食させ, これに蛋白質含量21% (適), 12% (低) および30% (高) の飼料を1日, 2日および4日間再給飼し, 次の諸項目について測定検討した。その結果体重についてみると, 蛋白質レベルのいかんにかかわらず, 4日間の再給飼では絶食により失われた体重を絶食前のそれに回復するには至らなかった。なお肝臓重については, 低蛋白質飼料の場合のみ増加が認められた。腹腔脂肪は再給飼により増加する傾向はあったが, 統計学的には有意にならなかった。
    肝臓トリグリセリドは, すべての飼料で再給飼2日目に著しい増加がみられ, 4日目では2日目よりかなり減少した。血清でもほぼ同様の現象がみられたが, 高蛋白質飼料では2日目と4日目の間でその程度が極めて小さく, 統計的に有意ではなく, また低および適蛋白質での4日目の低下の程度は肝臓に比し少なかった。肝臓リン脂質は再給飼の日数に応じて増加し, その量は低蛋白質飼料で大きかった。血清リン脂質は2日で増加するが, 4日目ではそれとほとんど変らず, また低および適蛋白質の増加量は高蛋白質のそれに比して大きかった。肝臓コレステロール, 血清遊離脂肪酸の消長は血清トリグリセリドとある程度似た動きを示し, 血清コレステロールおよびβ-リポ蛋白質は高蛋白質飼料を除き再給飼の進行につれ減少した。
    以上のごとく多くの項目において, 再給飼2日目に急増し, その後減少してゆく傾向を示し, また低蛋白質, 換言すれば比較的高炭水化物飼料では脂質合成が促進されるものと考えられる。
  • 吉田 実, 星井 博
    1981 年 18 巻 5 号 p. 281-289
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本飼養標準のヒナのアミノ酸要求量が過大ではないかを確かめるために, 精製飼料の窒素源として従来当研究室で使用してきたアミノ酸混合物の組成を再検討した。
    合計1,926羽の8日齢の白レグ種雄ヒナを用いて, 5種類の実験を行なった。大豆粕と魚粉を主要蛋白源とする飼料を対照とした。実験5では, アミノ酸混合物A6の有効エネルギーと蛋白価を, 既報の方法で測定した。
    アミノ酸飼料に用いる無機物混合物中のリン酸塩, 硫酸塩, 塩化物を, 炭酸塩や水酸化物にかえて, 飼料のpHを下げ, 嗜好性を高めることを試みたが成功しなかった。
    アミノ酸混合物中のL-グルタミン酸を段階的にL-アルギニンでおきかえて与えると, ヒナの成績は曲線的に変化し, 両者の比が4.8:3.2のとき, ほぼ最高の成績がえられた。
    アミノ酸混合物中のL-ヒスチジン, L-イソロイシン, L-ロイシン, L-リジン, L-スレオニン, レトリプトファン, L-バリンおよびL-プロリンを段階的にかえて給与し, これらの適量を求めた結果, 本文表1にA6の記号で示した組成が適当であるとの結論がえられた。アミノ酸混合物A6では, グリシン, ヒスチジン, ロイシンの含量が, 飼養標準より低く, L-グルタミン酸49.65%, L-アルギニン13.43%を含んでいる。A6を含むアミノ酸飼料のpHは5.1で, もとの飼料の4.4より高まっている。
    アミノ酸混合物A6の総エネルギーと有効エネルギーは, 4.50および4.00kcal/gであった。その水分含量0.35%, 粗蛋白質 (N×6.25) 83.40%で, 蛋白価は109であった。
  • III. ふ化試験における鶏胚の奇形の分類とその分布について
    吉田 実, 酒井 恒, 鬼頭 純三, 羽賀野 大輔, 木庭 研二, 岩本 敏雄, 松島 正洋, 番匠 宏行, 飯野 雅夫, 加藤 武市
    1981 年 18 巻 5 号 p. 290-300
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    新飼料資源の栄養価のみならず, 家畜, 家禽ならびに肉や卵を介して人間に対する安全性を評価するための試験方法を検討する目的で, 5カ年計画の共同研究を行なった。飼料中の未知もしくは予期しない有害成分の存否を試験する方法として, ふ化試験は, 専問的な知識や技術なしで奇形の発生率の推定ができること, 卵の食品としての安全性を同時に評価できることなどの有力な長所を持っているので, この共同研究において20回のふ化試験を行ない, 死ごもり卵をすべて割卵して, 鶏胚の奇形を観察し, 分類して, その発生頻度を検討した。
    対照を含む8種類の試験用飼料を与えた鶏の卵を, 1回のふ化試験につき, 100コ以上を目標にして集め, ふ卵器に入れた。入卵後, 満18日から22日の間に死ごもりとなった卵について調べ, 奇形を28種類に分類して, 予め用意した調査票に記録した。
    成績を検討したところ, 給与した飼料, 飼養した試験場あるいは鶏の世代や週齢などの実験条件の差異が, 特定の種類の奇形の発生に影響するとはいえなかった。試験飼料は, 7種類の微生物蛋白質を含むもので, これらに催奇形性があるとはいえない。
    そこで, 同種のデータ192区を合併し, 合計752区のデータから, 約100コずつ入卵してふ化試験を行なう場合の母平均, 標準偏差および平均値の99%信頼上限値を推定した。受精卵78,311コのうち1,216コの鶏胚に奇形が認められた。奇形の種類では, 短嘴などの嘴の異常が最も多くて合計578例あり, 発育異常と〓ヘルニヤがこれにつづいた。脳や眼の奇型も多く, 合計279例あった。
    死ごもり卵を検査することは, 経験, 労力, 時間を要することであるが, 発育中卵発生率 (x1%), 奇形ヒナ発生率 (x2%) およびふ化率 (y%) との間に, (1)式で示される関係が認められたので, ふ卵場の通常
    y=94.36-1.0519x1-1.5586x2……(1)
    の仕事として測定する発育中止卵発生率とふ化率とから奇形の発生率を推定することができる。
    ふ化試験成績や奇形の種類ごとの平均値とその99%信頼上限値が求められた。ただし, ふ化率は下限値が示されている。飼料原料中の未知もしくは予期しない催奇形性因子の存否をチェックする簡便で有効な方法としてふ化試験が推奨されたが, ふ化試験の成績が正常値の範囲内にあるかどうかの判断基準として, 99%信頼上(下)限値が有効である。
    たとえば, 55%以下のふ化率あるいは8%以上の奇形発生率推定値がえられた場合, 何らかの原因で異常事態が発生したと考えて, 原因追及の活動を開始することになる。ただし, この程度のデータは, 普通の場合でも, 100回のテスト中1回程度はえられものであることを知っておく必要がある。
    なお, 奇形鶏胚のサンプルおよびそのカラー写真は, 名古屋大学医学部解剖学教室に保存してある。
  • 土黒 定信, 武政 正明
    1981 年 18 巻 5 号 p. 301-306
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏における全粒穀類の嗜好性と利用率を検討するために, 仕上期後半のブロイラーに対して, 唯一の穀類源として, 全粒または粉砕した大麦, 小麦, マイロまたはモミ米を63%配合したものを給与して, 二つの実験を行なった。
    その結果, 飼料摂取量は穀類の種類による有意差は認められなかったが, 全粒穀類区は粉砕穀類区に比べて有意に多くなった。増体量も穀類の種類による有意差は認められなかったが, 全粒穀類区は実験2において, 粉砕穀類区よりすぐれた成績を示した。飼料効率は実験1では粉砕穀類区が全粒穀類区に比べて有意にすぐれた成績を示したが, 実験2では有意差が認められなかった。MEはモミ米と小麦飼料では全粒と粉砕したものとの間にほとんど差異が認められなかったが, 大麦とマイロ飼料においては, 全粒は粉砕したものに比べて劣ることが示された。残飼中の全粒穀類の割合は, もとの飼料中のそれに比べて非常に低く, ブロイラーは全粒穀類を好んで摂取することがわかった。排泄物および腸管内に不消化の全粒穀類はほとんど検出されなかった。
  • 生雲 晴久, 吉田 実
    1981 年 18 巻 5 号 p. 307-311
    発行日: 1981/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    国内流通飼料原料29種類についてSe含量を測定し, その一部についてはSeの利用率を測定した。
    調査した29種類の飼料原料におけるSe含量の範囲は, 0.03~2.61ppmであった。動物性原料の方が, 植物性原料よりもSe含量は高い傾向を示した。魚粉のSe含量は, 供試サンプルの中で, 最も高く, 魚粉がSeの豊富な給源であることが示された。
    血漿中グルタチオンパーオキシダーゼ (GSHpx) 活性をパラメータとして, 大豆粕, アルファルファ, 魚粉, セレノメチオニンにおける利用率を測定したところ, 各々, 33%, 85%, 82%, 92%であり, 大豆粕のみが低い利用率を示した。浸出性素因症発症率をパラメータとして測定された魚粉のSe利用率は74%であった。
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