肉用種ヒナの仕上期のリンの要求量は, 日本飼養標準では全リンで0.5%となっているが, これを有効リンの要求量として示すように, 再評価を行なった。
合計で, 雄391羽, 雌386羽の3もしくは4週齢のヒナを用いる4回の実験を行なって, カルシウム0.6~1.4%, 有効リン0.01~0.74%の範囲で種々に組合わせた飼料を, 2~5週間給与し, 増体量, 飼料摂取量, 飼料効率, 趾灰分, および脛骨硬度を測定した。後半2回の実験のデータは, 重回帰分析を行って, 反応曲面を推定し, 回帰からの残差の平方根
s, 最大反応値
ysなどを求め,
ys-
Sに相当する等反応曲線の範囲内は最適値とみなした。
前半2回の予備実験の結果から, カルシウム0.8%, 全リン0.49% (有効リン0.03%) の飼料を与えたヒナの発育は, 有効リン0.30%の区より劣り, 日本飼養標準は改訂の必要があることが明らかとなった。後半2回の実験データから求めた, 増体量, 飼料摂取量および飼料効率の反応曲面はほぼ同じ曲面であり, 最適な発育をするためには, カルシウム0.6%, 有効リン0.1%の組合せでよいといえる。しかし, これでは, 趾灰分含量は低く, 最適含量13.2%にするには, カルシウム1.1%, 有効リン0.35%の組合せにすることが推唱される。趾灰分13.2%は, 脛骨硬度に換算すると22.7kgである。実験データでは, 個体によっては30kg以上の脛骨硬度をもつものもあり, この程度の趾灰分, あるいは脛骨硬度が最適といえるのか, あるいは, この程度の骨の硬さで, 食鳥処理場におけるブロイラーの骨折による損耗を防止できるかなどの点につき, さらに検討する必要がある。
抄録全体を表示