日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
22 巻, 5 号
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  • 吉田 實, 能勢 憲英
    1985 年 22 巻 5 号 p. 245-255
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    飼料もしくは飲水に添加して投与され,ブロイラーや産卵鶏の臓器及び鶏卵中に残留しているサルファキノキサリン(SQ)の投与中止後の消失経過を速度論的に検討したところ,4群に区分できることが明らかとなった。
    腎臓,皮膚,脂肪を除く鶏肉や肝臓などの可食部および血液からの消失パターンは,SQが体内のある部位に貯蔵されていて前期の急速な消失経過の後に貯蔵部位から緩やかに放出されるという2区画モデルでよく説明された。消失パターンは次式で示される。
    y=A1e-1.5586t+A2e-0.4816t
    ただし,tは休薬後の日数,yはSQの残留量(ppm),A1,A2はそれぞれ前期と後期におけるSQ残留の初期値であって,臓器の種類,SQの添加量,投与日数等の条件によって異なる一定値である。
    腎臓からの消失経過は,0.3日遅れの2区画モデルで説明され,次式で示される。
    y=A1e-1.1400(t-0.3)+A2e-0.5350(t-0.3)
    体内各臓器から放出されたSQは腎臓に送られて排泄されるので,消失は他の臓器より0.3日(約7時間)遅れて始まると考えると,時間の遅れが説明できる。この知見は,腎臓から尿への経路がSQの主要な排泄経路となっていることを示唆している。
    脂肪と皮膚で示されている脂肪組織からの消失経過も2区画モデルで説明され,次式で示された。
    y=A1e-1.3593t+A2e-0.3611t
    この知見は,脂肪組織が貯蔵部位とはなっていないことを示唆するが,さらにデータを蓄積して解析することが望まれる。
    鶏卵からの消失経過も次式で示される2区画モデルで説明できる。
    y=0.937e-3.4431t+0.163e-0.2261t
    腎臓と脂肪組織を除く可食部分からのSQの消失速度を示す生物学的半減期は,前,後期のそれぞれについて,0.45日と1.44日と計算される。これに対し,鶏卵からの消失の生物学的半減期は,それぞれ0.20日と3.07日と計算される。
  • 石橋 晃
    1985 年 22 巻 5 号 p. 256-263
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1.産卵鶏のトリプトファン要求量を求めるため4試験を行った。15ヵ月齢以上の白色レグホン種にトウモロコシ主体の飼料でトリプトファンが0.086~0.320%のものを自由摂取させた。
    2.産卵率(Y1,%)はトリプトファンの摂取量(X,mg/羽/日)の増加に伴って次のように変化した。Y1=3.2+0.816X-0.00194X2。トリプトファンの摂取量が210mgのとき,産卵率は89.0%と最高になった。
    3.産卵(Y2,g/羽/日)は式Y2=5.3+0.476X-0.00110X2に従って変化し,トリプトファンの摂取量が212mg/羽/日のとき,最高54.9g/羽/日となった。
    4.飼料摂取量(Y3,g/羽/日)は式Y3=3.9+0.687X-0.00162X2に従って変化し,トリプトファンの摂取量が212mg/羽/日のとき,最高111.6g/羽/日となった。
    5.産卵率,産卵,飼料摂取量が最高になるときの飼料中のトリプトファンは0.189%であった。
    6.血漿中のトリプトファン濃度はトリプトファン摂取量の増加とともに上昇し,191mg/羽/日以上では,ほぼ一定の値を示した。
  • 川合 昌子, 目加田 博行, 中島 芳夫
    1985 年 22 巻 5 号 p. 264-273
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏卵の新鮮度は流通,消費の段階において,非常に関心が高くなってきている。そこで,常温における卵質の変化を利用して平行線定量法による産卵後の経過日数(以下,経過日数と略す)の推定方法について検討した。
    1)当場で飼育している白色レグホーン系の主要2銘柄の鶏群を用いて,4,7,10,1月にM卵(58~64g),L卵(64~70g)を採卵し,産卵後6時間以内,4日,8日,12日および16日間常温で貯蔵した。貯蔵後,比重,卵白高,ハウユニット,卵黄高を測定して,その経時的変化について直線回帰式を求めて標準線とした。次に,市販卵についても季節別に購入し,購入直後,4,8日間常温で貯蔵して,それぞれの回帰式を求めた。
    2)市販卵の購入時の経過日数の推定は,標準線と市販卵の回帰の平行性を検定し,平行性の得られたものについて,標準線からの隔たりによって求めた。
    3)平行線定量法によって市販卵の経過日数を計算できた例数は卵質形質別に,比重は直線回帰式が得られなかった7月を除いて30例中30例,ハウユニットは40例中33例において日数が求められたが,卵白高は40例中21例,卵黄高は40例中2例であった。また,標準線において直線回帰式の寄与率は,比重では7月を除いて80%以上,ハウユニットで70%以上と高いが,卵白高と卵黄高は2季節で50%以下となった。これらのことから,比重とハウユニットを用いた平行線定量法によって市販卵の経過日数がより正確に推定できた。
  • 吉村 幸則, 岡本 敏一, 田村 達堂
    1985 年 22 巻 5 号 p. 274-278
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏卵胞壁におけるフィプロネクチンの分布を免疫組織化学的に観察し,卵胞の成熟,排卵および閉鎖過程に対するフィブロネクチンの関与について検討した。成熟卵胞では,フィブロネクチンは基底膜,卵胞膜層および疎性結合組織層に分布していた。卵胞膜外層のフィブロネクチンは膠原線維に沿って分布していた。スチグマの卵胞膜外層フィブロネクチンは排卵に近づくと細い糸状の分布を示し,排卵2時間後では崩壊した様相を呈していた。閉鎖卵胞では,卵胞膜組織のフィブロネクチンは著しく減少していた。
    上述の結果から,フィブロネクチンは排卵や卵胞閉鎖過程における卵胞膜結合組織の崩壊に関与するものと考えられた。
  • 小堀 徳廣, 村上 憲雄, 香月 伸彦, 山田 進二, 江藤 正信
    1985 年 22 巻 5 号 p. 279-285
    発行日: 1985/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1980年から1982年の3ヵ年間にSPF鶏群の2系統3世代の多数羽飼育を行い,次のような成績が得られた。
    1)初産日齢および50%産卵到達日齢は,系統および世代間に差を認めなかった。初産日齢は135~144日の範囲にあり,平均140日であった。また50%産卵到達日齢は165~177日の範囲にあり,平均172日であった。
    2)産卵率はOG•GOの2代目を除いていずれも同様な傾向を示し,200~230日齢に80%に達し,その後,日齢の経過に伴ない次第に下降し,420~430齢で60~65%になった。
    3)受精率は,いずれも93%以上を示し,受精卵に対284 日本家禽学会誌22巻5号(1985)する孵化率は,平均93.0%であった。
    4)種卵を卵重別にS(50g以下),M(51~55g),ML(56~60g)およびL(61g以上)卵でみたところ,同一系統において世代が進むに伴ない,SおよびM卵が増加し,MLおよびL卵が減少する傾向を示した。
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