日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
23 巻, 3 号
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  • 島田 清司, R.J. ETCHES
    1986 年 23 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの卵管運動に関する研究報告は多くなされているが他の鳥類について,とくにin vivo条件下での研究は,ほとんど報告されていない.著者らは,ニワトリの卵管各部位に超小型記録電極を装着し無線テレメーターを使用して卵管筋電図を記録した結果,排卵や卵管での卵輸送そして放卵にともなって卵管運動が特徴ある変化を示すことを報告した.今回は,ウズラとシチメンチョウの卵管,とくに子宮(卵殼腺)運動を連産に関連させて数日間記録し,排卵と放卵にともなう子宮運動パターンをニワトリの場合と比較検討し,放卵調節について考察した.
    トリは各々個別ケージに入れ,飼料摂取と飲水は自由,照明スケジュールは14時間明,10時間暗とした条件下で飼育した。放卵時刻は水銀スイッチ•デジタル時計を利用して毎日正確に記録した。各トリをハロタン•亜酸化窒素•酸素混合ガス吸入により麻酔して子宮後部に双極記録電極を装着し,リード線を皮下にはわせ背上からリード線をとり出し,無線テレメーターに接続した.手術後,比較的規則正しい3~6卵のクラッチが観察されるようになってから子宮筋電図の連続記録を行った.
    ニワトリ,ウズラおよびシチメンチョウの子宮平滑筋から明確な,それぞれ筋電図学的に共通する棘波(スパイク)状の活動電位が記録された.放卵に近づくとより多数の放電が同時的に起こり活動電位波形が複合化してバーストとしてみられたり,スパイクの振幅が増大する傾向がみられたが,子宮運動の指標としては,30μV以上の振幅を有するスパイクの10分当りの数(頻度)をもって表わした.
    ニワトリとウズラでは,排卵された卵が放卵されるまでの一周期において三つの相からなる運動パターンが得られた.すなわち,(1)ほぼ静止状態の低い運動相,(2)比較的高い運動相,(3)一過性の最大運動相で,それぞれ排卵された卵が上部卵管(ろ斗部,膨大部,峡部)に存在する時期(約5時間),卵が子宮に存在する時期(約20時間)そして放卵の時期に一致して観察された.シチメンチョウでは,(1)の相が極めて短時間で(2)の相が延長してこの第2の相の運動はニワトリやウズラの場合より低いものであった.クラッチ間では,どのトリでも卵管内に卵が存在しないにもかかわらず,クラッチ第一卵の排卵前期に子宮運動が増加し,とくに排卵前30分から1時間の時点で顕著な一過性のピークが観察された.このピークは,各鳥種に特有の排卵時間帯に現われ,ニワトリのみならずウズラとシチメンチョウにおいても本来排卵に関係する調節機構が放卵調節にも一役を担っていると考えられた.しかし,クラッチの最終放卵では排卵が同時期に起こらないのでこの可能性は適用されないであろう.
  • 栗原 良雄, 伊藤 澄麿, 杉村 敬一郎
    1986 年 23 巻 3 号 p. 131-139
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本試験は,幼雛期に必須脂肪酸(EFA)であるリノール酸(C18:2),アラキドン酸(C20:4)とEFAではないがリノレン酸(C18:3)をそれぞれと,これら三種類の脂肪酸を除いた精製飼料を給与し,増体量(成長),飼料摂取量および飼料効率と胸筋,腿筋,肝臓および皮ふの脂肪酸組成におよぼす影響について行なった。
    増体量(成長),飼料摂取量および飼料効率は,ほとんど同様な成績を示し,リノール酸,リノレン酸,アラキドン酸のそれぞれと,これらの三種類の脂肪酸を除いた影響はみられなかった。
    脂肪酸組成については,リノール酸を除いた飼料を給与すると胸筋,腿筋,肝臓および皮ふのリノール酸が顕著に減少,さらに,胸筋,腿筋および肝臓中のアラキドン酸が減少を示した。また,胸筋と肝臓にアラキドン酸の先駆体であるC20:3(5, 8, 11)の存在が確認された。
    リノレン酸を除いた飼料を給与すると胸筋,腿筋,肝臓および皮ふのリノレン酸が減少を示した。
    アラキドン酸を除いた飼料を給与すると胸筋,腿筋および皮ふのアラキドン酸が減少を示したが,肝臓では増加を示した。
    リノール酸,リノレン酸およびアラキドン酸の三種類の脂肪酸を除いた飼料を給与すると,これらの個々の脂肪酸を除いた飼料を給与したときと同様な成績を示した。
    以上の事から,成長期の雛におけるリノール酸およびアラキドン酸のEFAとEFAではないがリノレン酸の必要量はきわめて少ないものと考えられる。
  • 鎌田 八郎, 山崎 昌良, 土黒 定信
    1986 年 23 巻 3 号 p. 140-146
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    6種類の麦類およびフスマのリジン有効率を生物的測定法(真の代謝エネルギー測定法を応用した方法)と化学的測定法(フルオロジニトロベンゼンを用いる方法)により測定するとともに,リジン以外のアミノ酸についてもその有効率を明らかにした.
    生物的測定法により求めたリジンの有効率は麦の種類により68~87%の幅が認められ,HP82とミドリムギが高い値を示した.また,裸麦類のリジン有効率は粗蛋白質含量と正の相関が認められた.
    化学的測定法により求めたリジンの有効率は96~98%の範囲で,飼料間にほとんど差がなく,生物的測定法により求めた値と異った.
    両者の関係を明らかにするため,強制給餌後の飼料に由来する排泄物のリジンのDNP化によりその化学形態を検討した.非有効性リジンは消化により排泄物中に濃縮されるが一部は吸収されること,また排泄物中のリジンの大部分は化学的測定法では有効性リジンとみなされるものであることが示された.これらの結果から麦類のリジンの有効率の測定には化学的測定法は適当ではないことが示唆された.
    また,アミノ酸の有効率にいくつかの特徴がみられ,麦類ではGlu, Pro, His, Argの有効率が相対的に高く,Thr, Ala, Asp, Lysが低いことが示された.さらに,四国農試で作出された裸麦はアミノ酸含量,その有効率ともに優れていた.
  • 山崎 昌良, 鎌田 八郎
    1986 年 23 巻 3 号 p. 147-156
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    雄成鶏(白色レグホーン種)を用いたTME手法を応用したアミノ酸有効率測定方法により,国内で使用される主要な養鶏飼料原料,穀類ではトウモロコシ,ソルガム,小麦など6種類,油粕類では大豆粕,ナタネ粕,ラッカセイ粕など5種類,動物質飼料では魚粉,ミートボーンミール4種類,その他脱脂米ヌカ,フスマなど4種類の合計19種類のアミノ酸有効率を測定した。その結果,飼料の平均アミノ酸有効率はコーングルテンミール,魚粉,大豆粕,トウモロコシなどにおいて90%以上であったのに対し,裸麦,フスマ,脱脂米ヌカなどでは70%前後と飼料により有効率に大きな差がみられた。
    必須アミノ酸の問で有効率に差がみられ,植物質飼料では共通してヒスチジン,アルギニン,ロイシン,フェニールアラニンなどが高い有効率を示し,スレオニン,リジン,イソロイシンが低かった。動物質飼料では植物質飼料に比ベイソロイシン,リジン,スレオニンは相対的に有効率が高いことが示された。
  • I. 集卵回数と卵同志の衝突破卵について
    大塚 茂
    1986 年 23 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1羽飼いケージを用いて,毎日集卵,2日分集卵および3日分集卵を実施して,1ケージ当りの産卵数と破卵の関係を検討した。
    1)ケージ卵受部において,卵と卵が連なりを形成したケージの割合は,3個産卵ケージ53%,2個産卵ケージ14%,また,全産卵数に対する連なり卵率では39.0%と13.6%であった。
    2)連なり型を示したケージでは,その約半数のケージに破卵が含まれていた。
    3)全産卵数に対する破卵率は,1個産卵ケージ4.8%,2個産卵ケージ9.0%および3個産卵ケージ14.2%の結果となり,1ケージ当りの集卵数が1個増すごとに4~5%ずつ破卵が増加した。
  • 1986 年 23 巻 3 号 p. 162-186
    発行日: 1986/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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