日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
24 巻, 6 号
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  • 都築 政起, 若杉 昇
    1987 年 24 巻 6 号 p. 327-335
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Pansy羽装は,基本的に,赤錆色,黒色,白色の3色で構成されており,各部位の特徴は次のようであった。頭頂部から後頸部にかけては黒色が優勢であり,雌の頬部は黒色混じりの麦藁色で,細い黒色の横縞が眼の前方および下方に,黒色の縦縞が耳口の下方に存在したのに対し,雄では,全体的に褐色あるいは濃い赤錆色であった。また,雌の臆部は僅かに赤錆色を帯びた白色であったのに対し,雄では濃い赤錆色を呈し,性差が顕著であった。前頸部および胸部は雄雌共に淡い赤錆色で,雌では野生型雌と同様に黒色の小さな斑点が多数存在した。腹部は白色で,背部は,赤錆色,黒色,および白色が混合していたが,主として赤錆色と黒色が入り混じった外観を呈し,雄の赤錆色は雌よりも濃かった。雄のなかには,黒色部が少なく赤錆色が優勢を占める個体も観察された。翼は,主翼羽および覆主翼羽で黒色が優勢であった他は,全体的に淡い赤錆色であった。嘴は黒っぽく,脚および爪の色は薄い桃色で,眼は止常であった。初毛は明るい黄色で,背部の黒縞は幅が狭く不明瞭であった。
    Pansy羽装は外観上redhead羽装に似ているが,redhead雌は眼の上部に明瞭な黒縞を有するのに対し,pansyでは存在しないこと,および,redheadの雄は加齢に従い胸部が灰色に変化するのに対し,pansyではそのような変化はみられないこと等,相違がみられた。さらに,redheadの背部の羽毛は,基部から先端に向かって,灰色,白色,黒色の順に色素帯が配列しているのに対し,pansyでは,灰色,赤錆色と黒色の混成,黒色,赤錆色,白色の順であった。また,redheadの背部羽毛の羽軸は基部が暗色であり,先端に向かって白くなっているのに対し,pansyでは基部が白色で,先端に向かって暗色へと移行し,色素分布が全く逆であった。これらの相違点からpansyはredheadとは異なる突然変異であると考えられた。
    Pansy同士の交配からはpansyのみが得られ,pansyと3つのコントロール系統(WE, WTYおよびWFM/Nga)との正逆両交配から得られたF1世代158個体は全て野生型羽装を示した。また,野生型とpansy羽装の分離比は,F2世代では,740:234,戻し交配世代では,108:120,であった。以上のことからpansy羽装は常染色体性劣性遺伝子によって支配されていると考えられ,遺伝子記号psが提唱された。
  • 第6報 卵価,飼料価格の変動が飼育タイプの収益と最適飼育期間に及ぼす影響-実勢による価格設定
    白崎 克治, 柏木 忍
    1987 年 24 巻 6 号 p. 336-347
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    育成期飼料自由摂取と定量給与毎に,各々7通りの飼育タイプを導き,卵価と成鶏飼料価格を変動させ,収益を計算し,各価格に対応した最も経済性の高い飼育タイプと最適飼育期間につき検討した。また,同時に選択された飼育タイプが最も有利となる卵価と飼料価格の範囲をも検討した。
    価格は昭和48~52年の卵価と飼料価格を平均値も含め5通りの設定とした。その結果は次のとおりとなった。
    1. 各卵価,飼料価格に対応した飼育タイプ
    各価格と経済的に有利な飼育タイプは次のとおりである。
    育成期自由摂取の場合は,経済的に有利な飼育タイプはTY2とTY6にしぼられる。この両飼育タイプの粗収益は価格No 03(卵価193.4円/kg,飼料価格46.45円/kg),04(卵価160.8円/kg,飼料価格59.15円/kg)の卵価が安い場合はTY6がTY2より優れ,価格No 01(卵価261.2円/kg,飼料価格70.0円/kg)02(卵価376.0円/kg,飼料価格82.20円/kg)及び05(卵価296.2円/kg,飼料価格82.2円/kg)の卵価が高い場合はTY2がTY6より優れていた。
    育成期定量給与の場合は,経済的に有利な飼育タイプは,全価格条件ともTY4が優れていた。また,その他価格No 02の卵価,飼料価格が非常に高い条件下ではTY1が,価格No 04の卵安•飼料高の条件下ではTY7も有利な飼育タイプとして推奨された。
    2. 最適飼育期間
    最適アウト週齢に与える卵価,飼料価格の影響は小さく最適アウト週齢は各飼育タイプ固有のものと考えられる。
    また,卵価が高くなればわずかに飼育期間は長くした方が有利になった。
    3. 選択された飼育タイプが経済的に有利になる卵価,飼料価格
    1) 育成期自由摂取
    TY2が有利になる条件は,卵価が204.4円/kg,飼料価格40円/kg,卵価が230.5円/kg,飼料価格80円/kgを結ぶ直線でこの卵価より高くなる場合。
    2) 育成期定量給与TY4が有利になる条件は,卵価が121.0円/kg,飼料価格40円/kgと卵価が188.8円/kg,飼料価格80円/kgを結ぶ直線と,卵価が417.5円/kg,飼料価格40円/kgと卵価が393.4円/kg,飼料価格80円/kgを結ぶ直線の範囲内である。
  • 菅原 道煕, 服部 貴次, 中島 泰治
    1987 年 24 巻 6 号 p. 348-353
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ジゼロシン含有魚粉のブロイラー雛を用いたチックアッセイによる早期検出法を検討した。
    1) 強度にGEを発生させる魚粉を7.5, 15, 30および60%配合した試験飼料を,餌付け時および1日間市販飼料給与後より給与した場合には,5日齢までにGEスコアによって供試魚粉のGE陽性度の強弱を判定することは困難であった。
    2) 3日間市販飼料給与後,1)と同様な試験飼料を給与した場合には,給与2日後(6日齢)に,魚粉配合率の増加に伴うGEスコアの上昇傾向が認められ,9日齢では,GEスコアによる供試魚粉のGE陽性度の判定が可能であった。これは,3日間の市販飼料給与により餌付け前GEがほぼ消失し,かつ雛の活力が高まり試験飼料の摂取が旺盛となったためと考えられた。
    3) 2)のチックアッセイ法によれば,GEを強度に発症させる魚粉であれば,48時間の試験飼料の給与期間(6日齢)で検出することが可能であり,試験期間を1週間とすれば,更にGE陽性度の低い魚粉をも検出可能と考えられた。
  • 米倉 政実, 鈴木 誠二, 中谷 哲郎
    1987 年 24 巻 6 号 p. 354-362
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリヒナに対するヒスタミンの有害作用をアスコルビン酸(AA)により緩和できるかどうかを調べるために,白色レグホーン種雄初生ヒナに0.1~0.3%ヒスタミン添加飼料を給与した際における1.5%AAの同時添加の影響について調べた。
    1. ヒナの成長はヒスタミン添加飼料の給与によって抑制され,飼料摂取量も低下した。とくに有害作用の強くあらわれた0.2%および0.3%のヒスタミン添加の場合には,AAの同時添加により成長は改善され,飼料摂取量も増加した。
    2. ヒスタミンの添加量が多い場合には,腺胃および筋胃に対する影響が強くあらわれた。すなわち,0.2%以下上のヒスタミン添加によって腺胃重量が,0.3%のヒスタミン添加では筋胃重量も有意に増加した。また,腺胃の異常や筋胃のびらん(GE)などの発症程度も高かった。しかし,AAの同時添加により腺胃および筋胃の重量増加は軽減され,腺胃の異常やGEは防止された。
    3. 血漿,肝臓および腎臓のAA量は1.5%AA添加によりいずれも有意に増加したが,ヒスタミン添加の影響はとくに認められなかった。また,血液と肝臓のヒスタミン量については,ヒスタミンあるいはAA添加と関連した一定の傾向の変動はみられなかった。
    4. 以上のことから,ニワトリヒナに対する成長阻害ならびにGEなどのヒスタミンの有害作用はAAによって緩和できることが示された。
  • 吉子 裕二, 楠原 征治, 石田 一夫
    1987 年 24 巻 6 号 p. 363-368
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    卵管子宮部に糸の輪を通すことによって,卵殻カルシウムの分泌を抑制したニワトリ(実験的に作製した軟卵産生鶏)の骨髄骨の態度をX線学的および組織学的に観察した。
    骨髄骨は骨髄腔全般に分布し,幅は肥厚して彎曲した層状構造を呈していた。基質組成は,酸性ムコ多糖類が少なく,コラーゲン線維が豊富で,骨塩量も多かった。骨芽細胞,破骨細胞および骨細胞はいずれも出現数がわずかで,萎縮した細胞の割合が大きかった。さらに,骨芽細胞のAlp活性,破骨細胞および骨細胞のAcp活性と各細胞のSDH活性はすべて弱く,それぞれの細胞機能も低下していた。
    以上の結果から,卵管子宮部のカルシウム分泌機能を人為的に抑制した場合において,骨髄骨のカルシウム代謝が減退することが示唆された。
  • 夏季の標準線の再検討
    川合 昌子, 山田 義武, 桜井 進, 中島 芳夫
    1987 年 24 巻 6 号 p. 369-371
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    前報2)において,常温における卵質の変化を利用して平行線定量法による産卵後の経過日数の推定方法について報告したが,夏季(7月)の比重において,標準線が求められなかった。そこで,7月の標準線作成について,白色レグホーン2銘柄の鶏群から1985年7月に採卵して追試験を行い,さらに一時期冷房下においた卵がたどるその後の卵質変化についても1986年9月に白色レグホーン1銘柄の鶏群から採卵して検討した。
    1. 前報2)では直線性が得られなかった比重の標準線は-0.93という高い相関の直線回帰式が得られた。
    2. 冷房下(平均13ºC)に3日間貯蔵後,平均26.0ºCの常温Fで貯蔵しても,冷房室が,卵殻表面に湿潤化が起きない程度の湿度の場合には,最初から常温貯蔵していた卵と比較して,比重,ハウユニットの変化においては,差は認められなかった。
  • 安富 政治, 足立 暹
    1987 年 24 巻 6 号 p. 372-373
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 坂井田 節, 塩谷 栗夫, 田中 稔治
    1987 年 24 巻 6 号 p. 374-377
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    木酢液を主成分とする製剤が鶏の孵化成績におよぼす影響について検討した。本製剤を1.0~1.5%飼料添加して,ブロイラーおよび採卵種鶏に投与した。
    実験-1では2農場のブロイラー種鶏全群に本製剤を飼料中に1.5%添加し,投与前5ヵ月間と投与開始後5~15ヵ月間の入卵孵化率を比較した。製剤の投与後孵化率は投与前に比べて6~8%上昇し,統計的に0.1~0.5%水準で有意差を生じた。
    実験-2ではブロイラー種鶏の産卵後期(44週齢)に本製剤を1.0%飼料添加し,無投与の対照区と比較した。入卵孵化率で投与区が5.7%(0.5%水準で有意)上回った。
    実験-3では採卵種鶏に37週齢より1.5%飼料添加し,坂井田•塩谷•田中:木酢液の投与と孵化成績 377投与前5週間と投与後5週間の孵化成績を比較した。その結果,受精率で2.1%,受精卵孵化率で1.9%,入卵孵化率で3.7%上昇し,投与前に対しそれぞれ5%またはそれ以上の高水準で有意差を生じた。以上のように本製剤の投与開始後,孵化成績の向上が見られた。
  • 1987 年 24 巻 6 号 p. 378-391
    発行日: 1987/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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