白色レグホーン種の2系統(正常鶏:Normalおよび矮性鶏:Dwarf)の成鶏を用いて,体温,呼吸数,血液pHならびにガス成分等を指標に間歇高温感作(38°C•4時間)による高温順化の過程を明らかにする(実験I)と共に,順化処理による耐暑性強化の効果について比較検討した(実験II)。
実験I. 間歇高温感作の繰り返しにより高温時の呼吸は,次第に増加した。また,高温時のDwarfの呼吸数は,常にNormalを上回った。適温時の体温には系統差は無いが,高温感作によるNormalの体温上昇度や最高体温への到達時間は,当初Dwarfを上回った。しかし,これらは感作を繰り返すことによって,次第に減少(短縮)した。一方,Dwarfにおいては,このような顕著な変化は認められなかった。高温感作によって,血液pHは増加,P
co2やHCO
-3は減少するが,感作終了から1時間後には,いずれも感作前のレベルまで回復した。
実験II. 間歇高温感作を受けた鶏群(順化処理区)と,受けていない鶏群(無処理区)に対して,38°C•24時間の感作を行い,その間の生理的変化や生存率を比較した。呼吸数は,両系統とも順化処理区の方が無処理区より多くなる傾向が見られた。順化処理区の体温は,無処理区より低く,また,Dwarfの体温は両処理区ともNormalに較べて有意に低かった。血液pHやガス成分に対する高温感作の影響は,Dwarfに於いて少なく,また,両処理区ともほぼ同様の変化傾向が見られた。Dwarfの死亡例は両処理区を通して皆無であったのに対し,Normalでは無処理区の全てが死亡した。
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