日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
25 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • イサリヨドム スパポーン, 田先 威和夫, 奥村 純市, 村松 達夫
    1988 年 25 巻 4 号 p. 191-200
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    飼料エネルギー含量,飼料粗蛋白質含量とその質の良否,及び環境温度や照明時間に関する飼育条件などのような入力変数によってブロイラーの成績を予測するための数学的モデルを開発した。
    回帰分析を用いることにより,予測体重は文献中に報告されている研究の観測値と非常によく一致することが示された。累積飼料摂取量及び飼料要求率に対する個別の回帰式は,予測値が観測値からやや離れていることを示したが,項目ごとにプールした結果は良く一致した。従って,本数学的モデルを用いることにより,比較的高い精度で任意の条件におけるブロイラーの成績予測が可能であると結論された。
  • 李 在根
    1988 年 25 巻 4 号 p. 201-206
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏において人工授精時刻の受精率に及ぼす影響を調べるために,3, 7, 11, 15及び19時に混合原精液0.04ml/羽を膣内2~3cmの部位に1回注入し,その翌日並に6日間における受精率を調べたところ,注精翌日における受精率はそれぞれ91.9, 81.4, 0, 0及び0%であった。又,6日間における受精率はそれぞれ88.8, 80.4, 72.7, 93.6及び88.1%であったが,3時と15時の注精区との間で統計的有意差は認められなかった。
  • 都築 政起, 若杉 昇
    1988 年 25 巻 4 号 p. 207-217
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニホンウズラET系統の特微は,耳房の出現と耳口異常である。この変異形質は発生初期におけるhyomandibular furrowの閉鎖異常に起因すること,および,この閉鎖異常は常染色体性の単一劣性遺伝子によって支配されていることが明らかにされ,遺伝子記号hfd (hyomandibular furrow closure defect)が提唱されている(別報)。ET系統はhfd/hfdの遺伝子型に固定しているが,hfd遺伝子の孵卵5日における浸透度は91%であり,外観的に正常な個体も観察される。本研究では,ET系統の孵卵15日胚を用いて頭部骨格の異常を調査すると共に,骨格異常をkey characterとして遺伝様式を確認した。アリザリンレッドSによる骨染色の結果,mandibular archに由来する下顎骨,およびそれに隣接する基底傍蝶形骨,方形頬骨,その他の骨の形態異常がET系統に特異的に認められた。それぞれの骨の異常出現頻度は,53% (101/191), 74% (141/191), 34% (64/191),および13% (25/191)であり,異常の程度は個体により様々であった。一方,hyoid archに起源を有する耳小骨に異常はみられなかった。
    骨格各部の形態異常は以下のようであった。
    1. 下顎骨下顎骨は,mandibular archに由来するメッケル軟骨からつくられる。下顎骨後端部は,角骨,上角骨,関節骨および前関節骨の4つの骨から成るが、孵卵15日胚においては,これらの骨は明瞭に区別できた。角骨と上角骨は隣接して伸長し,正常胚では,その後端は方形骨の関節突起よりもやや後方に達し,外側へとわずかに屈曲していた。軽度の異常胚では,外側への屈曲がみられず,重度の異常胚では,先端部が欠損すると共に,変形し棍棒状を呈した。関節骨は角骨の内側に位置しており,正常15日胚では円錐台形であったが,異常胚では,変形あるいは消失が観察された。前関節骨は関節骨の前方に位置する骨であり,異常胚では変形がみられた。
    2. 基底傍蝶形骨頭蓋底部を構成する平板状の骨であり,下顎骨後端部と隣接する。異常胚では,この骨の後方外側縁の変形および前側部分の欠損が認められた。
    3. 方形頬骨この骨は,下顎骨と平行して伸長し,その後端は方形骨の関節突起に接合し,下方にわずかに屈曲している。異常胚においては,屈曲のみられないもの,あるいは,後端部が欠損したものが観察された。
    4. その他の異常
    側頭骨鱗部の変形,方形骨の関節突起の未発達,および基底傍蝶形骨の近ぐに位置する骨片が低頻度で発見された。
    以上の異常の内少なくとも1つを有するものを異常胚と判定したとき,ET系統の191例の15日胚における異常出現頻度は87%であった。孵卵15日胚における骨異常の有無を基準にして遺伝分析を行った。ET系統と対照系統との正逆両交配から得られたF1世代183個体は全て正常であり,F2世代においては約3:1,戻し交配世代においては約1:1に,正常胚と異常胚の分離がみられ,骨異常は,常染色体性の単一劣性遺伝子によって支配されていると考えられた。この結果は,hyomandibular furrowの閉鎖異常を基準にした遺伝分析の結果に一致しており,mandibular archに生じた異常が根本の異常であることが確認された。
    以上の観察結果を総合し,発生過程におけるhfd遺伝子の作用発現,頭部骨格の異常,耳口異常,および耳房形成の相互関係について論議した。
  • 吉村 幸則, 岡本 敏一, 田村 達堂
    1988 年 25 巻 4 号 p. 218-221
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏卵胞壁のアクチン分布についてNBD-phallacidinを用いて組織化学的に観察した。多量のアクチンの存在を示す強い蛍光が,卵胞膜外層の線維芽細胞様細胞と疎性結合組織層の平滑筋線維とに認められた。このことから,卵胞壁にはこれらの2種類の細胞が収縮性細胞として存在し,それらの収縮は卵胞破裂に関与するものと推定された。
  • I. 頭蓋骨
    鮫島 正道, 伊藤 慎一, 藤岡 俊健
    1988 年 25 巻 4 号 p. 222-236
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    赤色野鶏および家鶏12品種の頭蓋31部位の計測をおこない,主成分分析法によって品種間の比較を試み,つぎの成績をえた。(1)赤色野鶏を含む13品種は大きさによって,小型の赤色野鶏とシブライトバンタム,中型の小国,ファイオミ,白色レグホーンS系統および褐色レグホーン,大型のタイワン地鶏,トカラ地鶏,名古屋Y系統,名古屋K系統,白色レグホーンB系統,オーストラロープおよびロードアイランドレッドの3群に区分された。(2)頭蓋骨はどの品種においても雄は雌より大きい。(3)ファイオミと褐色レグホーンは計測値の変異係数が小さく均一な集団であり,タイワン地鶏と小国は逆に不均一な集団と考えられた。(4)赤色野鶏は一部の品種と形や大きさで重複するが,本質的には家鶏群とは異質な位置をしめている。(5)赤色野鶏に対しシブライトバンタムは大きさで近い位置にある。(6)タイワン地鶏はトカラ地鶏に大きさ,形で最も近似していた。(7)頭蓋の形態差として頭蓋最大長と下顎骨最大長が大きく関与していた。
  • 谷本 光生, 秋山 敏弘, 樋浦 善敬, 山本 興三郎
    1988 年 25 巻 4 号 p. 237-240
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリ精液の洗浄濃縮に有効な密度勾配遠心分離法の検討を目的として,遠心用担体にPercollを用いて試験した。精液評価は活力,奇形率,精子回収率及び受精率によって行ない,それぞれ遠心分離前•後の性状変化を観察した。そして次のような結果が得られた。
    (1) 多層のPercoll密度勾配で遠心分離したところ,精子は密度1.07と1.08の層に集中した。
    (2) 2層のPercoll密度勾配で遠心分離前と遠心分離後の精子性状を比較したところ,活力及び奇形率に対して遠心分離の影響は見られなかった。また精子回収率は平均92.6%であった。
    (3) (2)と同様に,受精率について比較したところ,精子数3.4×108あるいは0.9×108のどちらを注入した場合でも,人工授精後,1週間日,2週間日の受精成績に遠心分離の影響は見られなかった。
    以上のことからPercollを用いた密度勾配遠心分離法は,ニワトリ精液の洗浄•濃縮に応用可能であると思われた。
  • 朱 果, 王 莉莉, 張 秀美, 史 文興, 古田 賢治
    1988 年 25 巻 4 号 p. 241-248
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    多くの発展途上国において,生物学的製剤の製造,鶏疾病の研究のためSPF鶏を作出し維持する計画が策定されつつある。発展途上国では未熟な養鶏技術,SPF鶏に関する情報の不足,SPF鶏の維持管理に関与する周辺産業の発達の遅れ等のため先進国では遭遇しない多くの問題が生じ,担当者はその解決に努力している。
    中国においても,1981年よりその作出が試みられたが困難が多く成功するに至らず,1984年に米国よりSPF鶏の種卵を輸入,これを孵化した鶏群SSP-1系統を閉鎖群として維持している。既存の研究棟の一部を空気濾過陽圧の飼育室に改造し,ケージ方式により鶏を飼育した。配合飼料を1.5kg/cm2の圧力で40分間オートクレーヴした後にヴィタミン剤を添加して給与した。また,水道水を15分間沸騰した後に飲水とした。
    世代1と世代2の21-64週齢の産卵率は51.2%と56.6%で,生存率は92.5%と82.2%であった。生産された種卵の受精率と孵化率も満足できるものでなかった。育雛温度の一時的な低下,停電による換気の停止,カンニバリズムの発生等の事故もあり,世代1では48-49週齢に大多数の鶏が一斉に換羽を始めた。また,世代2では飼料中に添加するヴィタミン剤の添加を誤りサイアミン欠乏症が誘起される等の事故が発生した。管理技術が不適切であったため鶏の遺伝的能力が十分に発揮されなかったものと考えられる。担当者がSPF鶏に関する経験を重ねることによりSSP-1の鶏の能力が向上するものと期待される。
    雛白痢,マイコプラズマ•ガリセプチカム,マイコプラズマ•シノビエ,ヘモフィルス•パラガリナルムに対する抗体は検出されなかった。マレック病,伝染性ファブリキュウス嚢病,鶏脳脊髄炎,産卵低下症候群1976,トリインフルェンザ,ニューカッスル病,伝染性気管支炎,及び伝染性喉頭気管炎の病原体である各ウイルスに対する抗体も検出されなかった。また,ニワトリアデノウイルスとトリレオウイルスに対する抗体,鶏白血病の群特異抗原,腸管に寄生する病原体も検出されることはなく,世代1と世代2の鶏は上記の各種病原体に対してフリーの状態にあった。
  • 氷上 雄三, 安則 稔加, 長谷川 信
    1988 年 25 巻 4 号 p. 249-253
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    市販育雛用配合飼料について3社の製品3種を任意に選び,飼料中の含硫アミノ酸およびイオウ含量を測定し,これらの成分の含量とヒナの成長との関係および硫酸塩添加の効果を,餌付時から4週齢まで調査した。飼料中含硫アミノ酸およびイオウ含量の比較的多い飼料に0.8%の硫酸ナトリウムを添加するとヒナの増体は悪くなり(5%減),これらの成分含量の少ない飼料に硫酸ナトリウムを加えると体重が増加した(5%増)。
  • 1988 年 25 巻 4 号 p. 254-258
    発行日: 1988/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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