日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
26 巻, 5 号
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  • 小林 真, 岡本 悟, 松尾 昭雄
    1989 年 26 巻 5 号 p. 273-280
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    14L:10D光周期下における個々のウズラの放卵リズムは,放卵間隔の短い光周期同調型と放卵間隔の長い光周期不同調型に分類される。本研究は,放卵リズム型と固有の自律リズムである自由継続リズム周期(FRP)の長さとの関係を明らかにする目的で行われた。実験I及び実験IIの前半期にはそれぞれ14L:10D及び恒明条件を,後半期では逆に恒明条件及び14L:10Dを与えた。実験I及び実験IIの供試羽数は,それぞれ49羽及び54羽であった。前半期及び後半期の実験期間はいずれも8週間で,光周期変更前後の放卵リズムと産卵率を比較した。また,前半期と後半期との間の個体別平均放卵間隔の相関係数を求めた。
    実験I及び実験IIの放卵リズムは14L:10D光周期によく同調したが,恒明条件下では自由継続リズムを示した。14L:10D光周期の産卵率は恒明条件より高かった。実験I及び実験IIにおける前半期と後半期との間の個体別平均放卵間隔の相関係数は低く(0.211及び0.090),14L:10D光周期下で観察された個々のウズラの放卵型の違いは,それぞれのFRPの長短によるものでないと推論された。
  • とくにIgGの高低選抜系統について
    佐藤 孝二, 杉山 八千代, 永井 弘光, 甲斐 藏
    1989 年 26 巻 5 号 p. 281-288
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    玉置らの開発したIgG高低選抜系統のニワトリの血清蛋白質,とくに免疫グロブリンについて,等電点電気泳動法により解析した。
    1) 泳動図の全体的なパタンは,高系統と低系統との間で差がなく,両者とも約40本のバンドがみられた。しかし,バンドの濃度は異なり,pI5.7(A)-pl6.4(B)の領域では高系統の方が高かった。とくに,低系統ではpI6.0,6.1と6.2の3峯が著しく低い。
    2) 高系統では,抗ブルセラ抗体の分布する領域が低系統よりもやや広く,その活性ピークはpI4.3と5.3に位置した。低系統ではpI5.3のみに位置した。
    3) 孵化時におけるファブリシウス嚢の摘出により,抗体産生とIgG産生が低下した。効果は低系統の方が顕著であった。泳動図では,低系統においてA-B領域の濃度が著しく減少した。
    4) 両系統の間で,IgGの多様性には差がないと結論される。また,ファブリシウス嚢にその発達が依存するIgG産生系に複数の遺伝的要因が働き,産生量を規制すると考察した。
  • 田中 浩人, 白崎 克治, 平原 実, 柏木 忍, 福田 憲和, 西尾 祐介, 和田 渉一, 金堂 正也, 島松 亀久雄, 古賀 芳文, 松 ...
    1989 年 26 巻 5 号 p. 289-301
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    九州地域に適した採卵鶏飼料の粗蛋白質(以下CPと称す),代謝エネルギー(以下MEと称す)を究明するため日本飼養標準飼料(CP 15%, ME 2750kcal/kg), ME増量飼料(CP 15%, ME 2850kcal/kg), CP増量飼料(CP 20%, ME 2750kcal/kg)および市販飼料(CP 17%, ME 2800kcal/kg)の4つの飼料成分がそれぞれ異なる飼料を用いて,高産卵期が寒冷期にあたる7月孵化鶏および高温期にあたる1月孵化鶏について,開放鶏舎とウインドウレス鶏舎の2通りの鶏舎で検討した。また,CP•ME水準の違いが各産卵ステージに及ぼす影響を検討するため,産卵率を参考に,産卵期を産卵上昇期,高産卵期および産卵下降期の3期に分割して,各期間ごとに各試験区の成績の比較を行い,次の結果を得た。飼料摂取量は,開放鶏舎およびウインドウレス鶏舎ともに産卵期が高温期に当たる期間は低下した。各産卵ステージの1日1羽当たりME摂取量は,開放鶏舎では各孵化期ともに飼料のME水準が高いほど多く摂取する傾向にあったが,ウインドウレス鶏舎では産卵下降期を除いては一定の傾向は認められなかった。各産卵ステージの1日1羽当たりCP摂取量は,鶏舎および孵化期の違いにかかわらずCP水準が高いほど多く摂取した。産卵率および産卵日量は,開放鶏舎およびウインドウレス鶏舎ともにCP水準の高い区の成績が低い区の成績より優れる傾向にあった。また,7月孵化鶏および1月孵化鶏ともに高温期における生産性はCP 15%では低下が認められ,特に,この傾向は産卵下降期に大きかった。また,開放鶏舎では産卵下降期が寒冷期を経過する場合のME水準は2800kcal/kg以上の場合に,産卵率および産卵日量は改善された。しかし,ウインドウレス鶏舎では,産卵率および産卵日量とME水準との間に一定の傾向は認められなかった。平均卵重は,CP増量飼料が重くなった。飼料要求率は,CP水準高いほど優れる傾向にあった。経済性の指標とした卵1kg当たり生産に要した飼料費は,全期間ではCP 15%, ME 2850kcal/kgが最も安くなった。しかし,鶏群が高温に遭遇する期間における飼料費は開放鶏舎においては,産卵上昇期ではCP 15%が,また,産卵下降期ではCP 17%が安くなった。一方,ウインドウレス鶏舎では産卵上昇期ではCP 17%が,また,産卵下降期ではCP 15%が安くなった。
  • 安藤 幹男, 早川 博, 土黒 定信
    1989 年 26 巻 5 号 p. 302-308
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    雛のリジン(Lys)要求量に及ぼす飼料のアルギニン(Arg)水準およびグルタミン酸(Glu),塩素(Cl)またはマグネシウム(Mg)の過剰添加の影響について検討した。実験には白色レグホーン種の幼雛を用い,トウモロコシ,コーングルテンミール,魚粉などからなる低Lys(0.59%)-低Arg(0.70%)の基礎飼料に,L-Lys•HClを添加してLys水準を0.5~0.96%,L-Argを添加してArg水準を0.70~1.30%に調整したもの,また,Lysが0.59%と0.84%の2水準の飼料にGlu,ClまたはMgを添加したものを,1~3週齢の期間それぞれ給与した。その結果,最大の増体量はLysが0.82%,Argが1.13%,最大の飼料効率はそれぞれ0.83%と1.20%の場合に得られた。LysおよびArg欠乏による増体量および飼料効率の低下はそれぞれArgおよびLysの過剰のとき最も大きかった。Gluを6.0%添加すると,飼料摂取量が減少して増体量が低下したが,飼料効率には影響が認められなかった。Clを0.20%またMgを0.18%まで添加しても増体量,飼料効率に悪影響はなかったが,Mg添加により趾灰分が減少した。
  • 星野 貞夫, 脇田 正彰
    1989 年 26 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    7週齢から成鶏までの伴性矮性鶏について,血清脂質の濃度とそれらの脂肪酸組成を正常鶏と比較した。遊離脂肪酸,トリグリセリド,燐脂質,遊離コレステロール,総コレステロールなどの濃度は矮性鶏で高く,とくに成鶏ではこの傾向が顕著であった。遺伝子型や性差による脂肪酸組成の差は大きくはなかった。
  • 一色 泰, 中広 義雄, 山内 高円, 周 占祥
    1989 年 26 巻 5 号 p. 314-321
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    著者らがさきに開発した鶏の腸管各部位へのフィステル装着の手術法に,さらに新たな工夫を加えて前法による手術鶏でみられた腸脱出の事故を防止し,併せて前法では不可能とされていた空腸中央部へのフィステル装着も可能にした。
    本法を用いて,単冠白色レグホーン成雄の空腸中央部より直腸遠位部までの5部位にそれぞれフィステルを装着し,術後100日間にわたる経過の観察を行った。その結果,手術鶏は全体的によく健全に維持され,各フィステルより排泄物が長期間にわたり効果的に採取できたことから,本法が腸管各部位の消化吸収実験に十分供用しうることがわかった。
  • 梅田 勲, 中西 寿男, 桜井 進, 中島 芳夫, 古田 賢治
    1989 年 26 巻 5 号 p. 322-325
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    過マンガン酸カリウムの代替えとして晒粉を使用し,ホルマリンからホルムアルデヒドを気化して消毒効果を検討した。
    ブロイラーを出荷した飼育室及び種卵を,空間1m3当たり40mlのホルマリンを市販の晒粉(顆粒状ハイクロンR,日本曹達株式会社)40g又は過マンガン酸カリウム20gと混合して,ガスを発生して消毒した。燻蒸時間は飼育室で24時間,種卵では20分間とした。
    その結果,晒粉によってガスを発生しても過マンガン酸カリウムを使用した場合と同じ消毒効果が得られ,晒粉は過マンガン酸カリウムの代替物質となり得ることが明らかとなった。
  • 小川 博, 桑山 岳人, 一戸 健司
    1989 年 26 巻 5 号 p. 326-330
    発行日: 1989/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本実験は,雄ホロホロ鳥における性成熟過程を明らかにする目的で,14L:10Dの照明条件下で飼育した雄ホロホロ鳥の体重,精巣重量,精細管直径および血中テストステロン濃度を0,4,8,12,14,16,18,20,24および28週齢時にそれぞれ測定した。また,各個体を6段階の精子形成段階に分類した。
    その結果は,以下の通りであった。
    1) 体重,精巣重量および精細管直径は,12週齢(体重)または14週齢まで測定毎に著しい増大(p<0.01またはp<0.05)を認めた。体重および精細管直径はその後も増大を続け,28週齢においてそれぞれ最高値の2,012±13.6gおよび355.2±13.6μmを示したが,精巣重量は24週齢において,最高値(2.202±0.086g)を示した。
    2) 精子形成段階は,4~16週齢にかけて進行し,16週齢以降は全個体が完全成熟期に属していた。
    3) 血中テストステロン濃度は12週齢まで100pg/ml以下の低値で推移し,14週齢において上昇,最高値(374±129pg/ml)を示した。
    以降20週齢にかけて徐々に低下したが,その後も大きな変動を示した。
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