雄の成ニホンライチョウ(
Lagopus mutus japonicus)に,ナラの葉ミールを20%含むナラ飼料,グラスミールを20%含むグラス飼料あるいは両者を等量,合わせて20%含むナラ+グラス飼料を9日間給与しこれらの飼料の利用性について検討した。
1. ナラ+グラス飼料の乾物摂取量は,前報の対照飼料と同じ21g/日/500gBWであったが,ナラ飼料とグラス飼料給与時にはこれより約5g少なかった。
2. 体重は,グラス飼料を給与した3羽とも,30g減少したが,他の2区は減少する傾向を示したものの有意な変化ではなかった。
3. 各飼料の乾物消化率は64~65%,粗繊維消化率は42~45%,窒素蓄積率は30~34%及び可溶無窒素物の利用率は80~81%で,飼料区間に有意差は認められなかった。
4. 粗脂肪の消化率は,ナラ,ナラ+グラス飼料でそれぞれ76%,74%であったが,グラス飼料では64%と低い傾向を示した。
5. 体重500g当り1日の総エネルギー摂取量は,ナラ,ナラ+グラス及びグラス飼料区でそれぞれ433kJ,510kJ及び430kJで,そのうち代謝エネルギーは,それぞれ294kJ,339kJ及び283kJであった。飼料の代謝エネルギー値は,ナラ,ナラ+グラス及びグラス飼料でそれぞれ12.8,12.4及び12.2kJ/gDMであった。
以上の結果から,ニホンライチョウの維持のための代謝エネルギー必要量は,約300kJ/500gBWであり,ナラ飼料とナラ+グラス飼料は実用的に十分使うことのできる飼料であると考えられる。
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