日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
27 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 石橋 晃
    1990 年 27 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 小川 宣子, 田名部 尚子
    1990 年 27 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    25°Cで0~11週間貯臓のニワトリ殻付卵より採取した卵白について,洗卵処理と,流動パラフィン卵殻塗布処理が,卵白蛋白質の泳動像に及ぼす影響について水平式ポリアクリルアミドグラジェントゲル電気泳動法で調べた。殻付のまま3週間から11週間貯蔵した無洗卵•無塗布卵の卵白蛋白質の泳動像では,オボトランスフェリンは,はっきりした濃い泳動帯として分離されなかったが,移動度の速い巾広い泳動帯として存在した。オボアルブミンA1,オボグロブリンG3,オボグロブリンG4そしてオボグロブリンG2の泳動帯は,新鮮卵に比べて拡散し,わずかに陽極側に移動した。洗卵した後に油の塗布を行わなかった殻付卵を1週間貯蔵した時の卵白蛋白質の泳動像は,殻付のまま3週間貯蔵した無洗卵の卵白蛋白質の泳動像と似ていた。無塗布卵の卵白蛋白質の泳動像と比べて,0~11週間貯蔵中の卵殻塗布処理卵は,卵白蛋白質の泳動像の分離に明らかによい効果をもたらした。
  • 仲田 正, 古賀 脩
    1990 年 27 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文では,鶏の子宮部における卵の存在が,同部位の卵殻腺液とカルシウム分泌に如何なる影響を及ぼすかを調べた。クラッチ第二卵(C2)排卵後の正常鶏,C2排卵後卵の卵管内への入管を阻止し,代りに模擬卵黄(直径1.0cm,長さ1.5cm,重さ3gの円柱形の寒天塊)を卵管へ挿入した鶏(模擬卵黄挿入鶏)および同様な処置でC2の入管阻止後模擬卵黄を挿入しなかった鶏(非挿入鶏)について,子宮内腔から20分間卵殻腺液を採取した。正常鶏と模擬卵黄挿入鶏のC2排卵後5~6,10~11および20~21時間目における卵殻腺液の分泌量は,非挿入鶏の場合と比較して有意に高かったが(P<0.05),0.5~2,0および25~26時間目においては差が認められなかった。同様な傾向は卵殻腺液中のカルシウム総量についても観察された。一方,クラッチの最終卵放卵後における正常鶏の卵殻腺液量とカルシウム総量は,5~6,10~11および15~16時間目において前述のC2排卵後の正常鶏と模擬卵黄挿入の排卵後の各時間と比較して低い値を示した(P<0.05)。これらの結果から,子宮内における正常卵あるいは模擬卵黄を含む卵様物体の存在は卵殻腺液とカルシウム分泌を刺激し,また,子宮部における分泌能力はクラッチの終りで減少するものと推察された。
  • チャヒアニンシー ウミ, 近藤 康博, 阿部 浅樹, 田辺 昭
    1990 年 27 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ヒナの抗体産生系における日周リズムの存在並びにその性質を明らかにするために,末梢血のリンパ球数,B+細胞とsIg+細胞の割合,脾臓のIgM産生細胞数,ヤギ赤血球とブルセラ菌に対する血中抗体力価についてそれらの日周リズムを追究した。同時にヒナの血清中のコルチゾール濃度の日周リズムについても測定した。
    ブルセラ菌に対するIgM抗体を除いて,測定したすべての項目において日周リズムが観察された。B+ sIg-細胞の割合とリンパ球数の変動パターンは類似性を示す一方,B+ sIg+細胞の割合の変動パターンは類似性を示さなかったが,この原因については明かでなかった。脾臓のIgM産生細胞や血中抗体のレベルの変動はリンパ球数の変動と類似のパターンを示した。従って,ここで測定した液性免疫機能の日内変動の主たる要因はBリンパ球数の変動ならびにBリンパ球による抗体産生能力の変動であると考えられる。血清コルチゾールの変動パターンは血中リンパ球数の変動と反対の変動パターンを示したが,この場合コルチゾールとリンパ球数の間の用量-反応相関は明らかではなく,両者の関連を推測することはできなかった。
  • 山内 高円, 一色 泰, 周 占祥, 中廣 義雄
    1990 年 27 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    孵化後24時間以内の白色レグホーン種の雄雛を用いて眼球•嗅球除去(松果体機能充進)および眼球•嗅球•松果体除去手術を施し,体重,摂食量および飲水量に及ぼす影響を術後80日より130日まで測定した。
    その結果,擬似手術鶏と比較して眼球•嗅球除去鶏では体重の変化は認められなかったが,100日齢までの摂食量の増加や全測定期間中飲水量の減少が観察された。眼球•嗅球•松果体除去鶏では,体重の減少,110日齢以降の摂食量の増加ならびに眼球•嗅球除去により減少した飲水量の再増加が観察された。
    以上の結果から,鶏の松果体ホルモンは正常な体重維持に不可欠なホルモンであり,飲水量の減少や幼若期の摂食量の増加を誘引する作用をもつものと思われ,飼料や水の摂取および栄養素代謝調節機構にも重要な役割を果しているものと示唆される。
  • 中平 伸二, 金子 国雄, 田中 耕作
    1990 年 27 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の長腓骨筋の死後硬直の過程を連続的に測定する方法を考案した。すなわち,筋肉ストリップ(5×25mm)を注射筒内に糸で吊し,流動パラフィンを注入して嫌気的条件にしたのち,ストレインゲージトランスジューサーに連結して筋肉の張力を測定した。この方法を用い,各種処理がその後の筋肉硬直に及ぼす影響を観察した。なお,特に述べないかぎりは,嫌気的条件で筋肉の動向を観察したものである。
    1) 本実験装置を用いた方法は,鶏筋肉の死後硬直過程を長時間継続して観察するのに有効であることが認められた。
    2) 嫌気的条件下で17°Cの温度におくと硬直は約2時間後にピークに達した。一方,好気的条件下では硬直は顕著で長時間継続した。
    3) 超音波処理を25°C-10分間行うと,硬直の程度は弱くなることが観察された。
    4) EGTA処理によってカルシウムイオンを除去すると硬直は起こらなかった。
    5) 下垂体除去約1日後屠殺した場合,死後硬直の程度は,正常鶏の場合とほぼ同様であったが,屠殺前麻酔処理を行うときわあて緩慢な経過で硬直の現象がみられた。
    6) 嫌気的条件下で筋肉を18.5時間0°Cで保存するとその後温度を17°Cに上げても硬直は起こりにくいという結果が得られた。
  • 唐澤 豊, 清水 伸也, 宮野 典夫, 平林 国男
    1990 年 27 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    雄の成ニホンライチョウ(Lagopus mutus japonicus)に,ナラの葉ミールを20%含むナラ飼料,グラスミールを20%含むグラス飼料あるいは両者を等量,合わせて20%含むナラ+グラス飼料を9日間給与しこれらの飼料の利用性について検討した。
    1. ナラ+グラス飼料の乾物摂取量は,前報の対照飼料と同じ21g/日/500gBWであったが,ナラ飼料とグラス飼料給与時にはこれより約5g少なかった。
    2. 体重は,グラス飼料を給与した3羽とも,30g減少したが,他の2区は減少する傾向を示したものの有意な変化ではなかった。
    3. 各飼料の乾物消化率は64~65%,粗繊維消化率は42~45%,窒素蓄積率は30~34%及び可溶無窒素物の利用率は80~81%で,飼料区間に有意差は認められなかった。
    4. 粗脂肪の消化率は,ナラ,ナラ+グラス飼料でそれぞれ76%,74%であったが,グラス飼料では64%と低い傾向を示した。
    5. 体重500g当り1日の総エネルギー摂取量は,ナラ,ナラ+グラス及びグラス飼料区でそれぞれ433kJ,510kJ及び430kJで,そのうち代謝エネルギーは,それぞれ294kJ,339kJ及び283kJであった。飼料の代謝エネルギー値は,ナラ,ナラ+グラス及びグラス飼料でそれぞれ12.8,12.4及び12.2kJ/gDMであった。
    以上の結果から,ニホンライチョウの維持のための代謝エネルギー必要量は,約300kJ/500gBWであり,ナラ飼料とナラ+グラス飼料は実用的に十分使うことのできる飼料であると考えられる。
  • I. Brucella abortusに対する血清抗体価の推移と二次応答
    杉森 義一, 小西 喬郎, 林 幸之
    1990 年 27 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Brucella abortus菌液を孵化直後のニワトリのヒナにクロアカ経由(pa)で,または,筋肉内(im)に接種した時の免疫反応を,血清抗体価の推移と筋肉内接種攻撃による二次応答で比較した。
    血清抗体価の推移:im接種法では接種後21日には全羽数が抗体陽性を示したのに対し,pa法では試験終了時の接種後28日において約半数のヒナに抗体が認められたに過ぎなかった。また,その抗体価もim法に比べ有意に低かった(P<0.01)。
    二次応答:pa処置ヒナでは,処置後5日以降の攻撃で明確な二次応答が観察され,このような状態は21日の攻撃でも認められた。一方,im処置ヒナでは,処置後の日数に関係なく,無処置群と比較して有意な二次応答は観察されなかった。
    処置後14または21日にim攻撃を行った時の2-ME抵抗性抗体価も,pa処置群はim処置群および無処置群よりも高い価を示した。
    これらの結果は,細菌抗原刺激に対して,ファブリシウス嚢が末梢リンパ系器官として機能し,また記憶B細胞が形成されるというこれまでの考えと一致する。
    pa接種法は,血清抗体価の上がりは悪いが,攻撃試験に対する反応から見て,孵化直後のヒナに対するすぐれた免疫法であることが確認された。
  • 前田 照夫, 建本 秀樹, 寺田 隆登, 堤 義雄
    1990 年 27 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    The present study was designed to develop a simple and quantitative technique evaluating the extent of freeze damage in a fowl spermatozoon. Acrosin proteolytic activity (APA) by both of non-frozen and frozen-thawed spermatozoa in glucose solution containing various levels of glycerol was measured using a gelatin substrate slide. The mean diameter of 100 halos made by spermatozoal digestion was used as an indication of APA. There was no significant difference in the APA of non-frozen spermatozoa among any groups. After freeze-thawing, the APAs of spermatozoa in all groups decreased remarkably as compared with its of non-frozen spermatozoa. The APA of frozen spermatozoa significantly increased with the increase of glycerol concentration from 0 to 7%, but they decreased significantly according to the increase of glycerol concentration beyond 10%. Therefore, this technique appears to be a more effective and more simplified method for evaluation of freeze-thaw damage of the acrosome in fowl spermatozoa.
  • 米倉 政実, 金澤 恵, 中谷 哲郎
    1990 年 27 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 1990/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    アスコルビン酸(AA)の大量投与がニワトリヒナの結合型及び遊離型AA量に及ぼす影響を調べるために,白色レグホーン種雄ヒナに0.5%及び1.5%AA添加飼料を給与して試験を行った。
    AA添加飼料の給与は,ヒナの飼料摂取量にはほとんど影響を及ぼさなかったが,増体量及び飼料効率はいずれも減少する傾向が認められた。また,肝臓,腎臓及び副腎の重量にはほとんど変動は認められなかった。
    AA添加飼料給与による血漿,肝臓,腎臓及び副腎の結合型AA濃度の変動はごくわずかであり,概して結合型AA量はAA投与の影響を受けにくいことがわかった。一方,血漿,肝臓及び腎臓の遊離型AA濃度は,AA添加飼料の給与によって有意に上昇し,無添加の約1.2~1.9倍の濃度になった。しかし,副腎の遊離型AA濃度にはほとんど変動はみられなかった。
    以上の結果から,AA大量投与に対する両型AAの応答性には差異があり,結合型AAは遊離型AAとは異なる生理的役割を持つ可能性が示唆された。
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