ブロイラー,サッマ,サッマF1およびクキンF1の脚筋(
M. gastrocnemius)と胸筋(
M. pectoralis profundus)を-25°Cで120日間冷凍貯蔵後解凍し,さらに4°Cで9日間冷蔵したとき,両筋の遊離アミノ酸とプリン化合物の濃度が経日的にどのように変化するかを鶏種間で比較検討した。
1. アンモニア濃度は,どの鶏種でも両筋肉中で冷凍中ほとんど変化しなかったが,その後冷蔵9日目に顕著な増加が認められた(P<0.05)。
2. 貯蔵前のTau含量は,どの鶏種でも脚筋が胸筋より6.7~11倍高く,鶏種間では,脚筋でクキンF1がサツマより有意に高いのを除いて(P<0.05),両筋で有意差が認められなかった。
3. 脚筋のアミノ酸は,冷凍期間中4鶏種すべてでCys, Va1, Met, Ile, Leu, Tyr, Phe, Trpが増加傾向を,Tau, Thr, Ser, Glyが逆に減少傾向を示した。これに対し4鶏種の胸筋では,Thr, Glu, Gly, Trp, Lys, Argが増加傾向を,Aspが減少傾向を示した。
4. 冷蔵期間中の遊離アミノ酸含量の変化は,4鶏種の両筋でほとんど変化しないもの(Tau, Cys, His, Trp),増加し続けるもの(Gly, Ala, Va1, Met, Ile, Leu, Phe, Lys),および増加後減少するもの(Asp, Thr, Ser, Glu, Tyr, Arg, Pro)の3型に分類できた。
5. 総アミノ酸含量は,冷蔵4日目にどの鶏種でも両筋で増加する傾向を示し,その後9日目にはサツマの脚筋で有意に減少した他は(P<0.05),4日目と比べ有意に変化しなかった。この4日迄の両筋の総アミノ酸含量の増加量と増加率は,鶏種間でサツマ≧クキンF1>ブロイラー≧サツマF1の傾向があった。
6. 冷凍中4鶏種の両筋で,IMP, AMPおよびATPが減少したのに対し,冷蔵中はHxが増加,HxRが増加後減少,そしてIMPが減少した。また冷蔵中ATPは検出されず,AMPはほとんど変化しなかった。
7. 冷凍,冷蔵中のK値は,4鶏種とも両筋間で差が見られなかったが,鶏種間では,胸筋でブロイラーとクキンF1がサツマやサツマF1より有意に高かった(P<0.05)。
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