日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
27 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山本 義雄, 岡田 育穂
    1990 年 27 巻 5 号 p. 337-345
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の同種移植片の生着期間について二方向選抜を8世代にわたり行った。選抜用の基礎集団は主要組織適合B遺伝子型がB11 B11のもののみで構成された。生着期間について長(L),短(S)いずれの方向に選抜した系統に対しても,移植片の供与系統としてはL系統を用いた。
    L系統における選抜は有効であったが,S系統では必ずしも有効ではなかった。L•S両系統間の差は選抜世代の経過と共に拡大した。両系統間の差で求めた実現遺伝率は0.334であった。選抜7世代目において,同種移植後90日目における移植片の生着率はL系統で48.5%,S系統では0であった。しかし,別の系統(GVHR系)を供与系統として用いると,L•S両系統における生着率はそれぞれ12.5及び4.0%であった。選抜による移植片対宿主反応能及び免疫応答能への相関反応を調べた結果,移植片対宿主反応能にのみ有意な系統差が観察された。
  • 村上 保人, 藤原 昇, 古賀 脩
    1990 年 27 巻 5 号 p. 346-355
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の放卵におけるアルギニン•バソトシン(AVT)とプロスタグランディン(PGs:PGE1, PGE2 PGF2α)との関連性について検討するために,PGs及びアラキドン酸の卵殻腺部(子宮部)内投与によって誘起した早期放卵前後の血中AVT濃度について検討した。推定放卵時刻15-17時間前及び2-3時間前のいずれの時期においても,血中AVT濃度は薬剤投与前と比較して誘起放卵直後に有意に(P<0.01)増加した。PGF2αの投与が早期放卵の誘起に最も効果的で,誘起放卵直後の血中AVT濃度は最も高い値を示した。PGF2αの投与によって放卵が誘起されなかった場合もAVT濃度は投与前の値に比して有意に(P<0.01)増加していた。また,その値は放卵が誘起された場合と比較するとやや低かったが,生理食塩水を投与した対照区と比較すると有意に(P<0.01)高かった。予めインドメタシンを投与しておいた供試鶏にアラキドン酸を投与した場合,その放卵誘起効果は完全に抑制され,血中AVT濃度はアラキドン酸投与5分後にわずかに上昇しただけで,その後,大きな変化は認められなかった。以上の結果から,血中AVT濃度の増加には卵殻腺部におけるPGs産生の増加とそれによる卵殻腺部の収縮運動の活発化が関係しているものと推察された。
  • 吉村 幸則, 岡本 敏一, 田村 達堂
    1990 年 27 巻 5 号 p. 356-362
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    卵巣内のステロイドホルモン産生過程および排卵時の卵胞壁収縮にはカルシウムイオンが必要である。本実験の目的はカルシウム結合蛋白質であるカルモデュリンの産卵鶏卵巣内分布を免疫組織化学的に明らかにすることである。カルシウムイオンを必要とする組織にはカルモデュリンが分布するものと推定される。多量のカルモデュリンの存在を示す濃い免疫反応産物が黄色大卵胞の顆粒層細胞と卵胞膜間質細胞さらに小卵胞と卵巣実質に分布する間質細胞に認められた。さらに同免疫反応産物は卵巣内平滑筋束および黄色大卵胞の卵胞膜線維芽細胞にも認められた。ステロイド産生細胞および収縮性細胞における多量のカルモデュリンの存在から,卵巣内ステロイドホルモン産生および卵胞壁収縮におけるカルシウムイオンの役割にはカルモデュリンが関与するものと推定された。
  • 川合 昌子, 川口 直彦, 梅田 勲, 目加田 博行, 桜井 進, 平光 正博
    1990 年 27 巻 5 号 p. 363-372
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1週齢の雛の階の先端から3mm,5週齢の嘴の5mmを切除し,16週齢まで飼育して,嘴の再生状態を調べ,上嘴の組織学的観察を行った。得られた主要な知見は以下のとおりであった。
    1)断嘴後の嘴の再生状態により,再生が顕著であった雛群と,この群よりも階が短く再生が抑制されたと思われる雛群に2分された。16週齢における噛の再生状態をみると,1週齢の断嗜では再生が顕著な嘴でも対照とした無断嘴の嘴よりも有意に短く,先端が尖った嘴は少数で大多数は丸味を帯びていた。5週齢に断嘴すると再生が抑制された嘴でも対照と比べ差がなく,再生が顕著な嘴は対照よりも有意に長く,且つその先端は尖っていた。1週齢で断嘴した鶏の大多数は再断嘴の必要が認められなかったが,5週齢で断嘴した場合は全て再断嘴が必要と判断された。
    2)1週齢で嘴の先端から3mmを切除すると,切歯骨先端の骨形成の顕著な領域が除去され,その後の骨形成に方向性が失われたため,嘴の再生が抑制されることが明らかとなった。
    3)5週齢で嘴の先端から5mmを切除すると,切歯骨先端の骨形成の顕著な領域で切断され,顕著な領域の一部が残っている個体と切歯骨先端が損傷を受けず骨形態に異常のない個体があり,両者ともに断階後においても前方への方向性のある骨形成が観察された。
  • 小川 博, 桑山 岳人, 一戸 健司
    1990 年 27 巻 5 号 p. 373-378
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    自然光周期条件で飼育される雌ホロホロ鳥における繁殖能力の推移を明らかにする目的で,6羽の雌ホロホロ鳥を単飼ケージ内で207日齢(1986年5月)~603日齢(1987年5月)まで飼育し,この間,毎日産卵状況を記録するとともに,隔週毎に,体重,血漿プロジェステロン(P),テストステロン(T)およびエストラジオール(E2)濃度を測定した。
    1. 体重は5月上旬から9月下旬までは2.4kg以上の値を維持したが,10月に最低値(2.27±0.103kg)を記録した後,次年の4月にかけて徐々に上昇した。
    2. 産卵は4月から9月にかけて集中し(産卵率:49.3%),換羽は9月下旬から11月にかけて全ての個体で認められた。なお,1個体のみではあるが,換羽後の12月から1月にかけて再度産卵が認められた。
    3. 血中P,TおよびE2濃度は,産卵時では高い値(P:666±40.7pg/ml,T:390±16.2pg/ml,E2:175±14.4pg/ml)で推移したのに対し,換羽期終盤において,一過性の著しい上昇が認められた(P:392±80.7pg/ml,T:894±56.7pg/ml,E2.:244±34.2pg/ml)にも拘らず,換羽時における各ステロイドホルモンの平均値(P:84±7.5pg/ml,T:177±40.2pg/ml,E2:37±6.4pg/ml)は最も低い水準であった。また,休産時のP,TおよびE2濃度はそれぞれ195±30.3pg/ml,293±28.2pg/mlおよび84±9.9pg/mlであった。
  • 鏡味 裕, 中村 普武, 富田 武
    1990 年 27 巻 5 号 p. 379-384
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの血液から精製したゲノムのDNAを制限酵素XhoIで切断した後アガロースゲル電気泳動法によりDNA断片の分離を試みた。雌においては, W染色体上で高度に反復するDNA配列が0.7kb断片として検出された。しかしながら雄においては,このDNA断片は検出されなかった。ニワトリの赤血球は有核であるので,小量の血液から十分量のDNAを精製することができる。雌に特異的な反復DNA配列の検出は,容易で,再現性が高く,有効である。本法によりニワトリの性判別を正確に行うことができる。
  • 東 善行, 伊藤 宏
    1990 年 27 巻 5 号 p. 385-388
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    SPF鶏舎の消毒法を確立するために長期間使用した木製スノコについて各種消毒処理後の付着菌数を測定し次の結果を得た。
    1. 清掃したスノコから検出された付着菌104.8/cm2は水洗により103.3/cm2に減少した。
    2. 水洗スノコへの逆性石鹸およびヨードホールの散布(各500倍液,スノコ1枚につき2l)による消毒効果はそれぞれ1回づつ順次行った組み合わせ散布で高められたが,付着菌をすべて死滅させることは出来なかった。
    3. 40ml/m3のホルマリンからホルムアルデヒドを発生し,24時間燻蒸した効果は消毒液散布に比べて著しく高かった。しかし,完全な効果は両消毒液の組み合わせ散布後のホルマリン燻蒸によってのみ認められた。
  • 1990 年 27 巻 5 号 p. 389-390
    発行日: 1990/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
feedback
Top