摂取蛋白質レベルの異なるブロイラーの成長,飼料効率,胸筋重量,腹腔脂肪量およびN
τ-メチルヒスチジン法による筋肉蛋白質合成•分解速度(Ks•Kd)に対するサイロキシン(T
4)投与の影響を調べた。1.2ppmのT
4を添加したCP10%の飼料を給与したブロイラーでは,増体量,飼料効率,胸筋重量は低下し,Ksは変わらずKdは増加し,腹腔脂肪量は減少する傾向を示した。T
4を添加したCP20%の飼料を給与したブロイラーでは,増体量,飼料効率,胸筋重量は増加した。また,Ks•Kdはいずれも増加し,腹腔脂肪量は減少する傾向を示した。T
4を添加したCP30%の飼料を給与したブロイラーでは,増体量,飼料効率,胸筋重量は変わらずKs•Kdはいずれも低下し,腹腔脂肪は著しく減少した。血中T
4レベルはいずれの飼料区においてもサイロキシン投与により上昇したが,血中T
3レベルはサイロキシン投与により低蛋白質飼料区と標準飼料区では変わらず,高蛋白質飼料区では低下した。
以上の結果は,飼料効率,胸筋重量,筋肉蛋白質の合成•分解速度および腹腔脂肪量に対するT
4投与の影響が飼料の蛋白質レベルにより異なることを示している。また,低蛋白質飼料を給与したブロイラーにおけるT
4の筋肉成長抑制効果は,筋肉蛋白質の分解促進によるものであり,標準飼料(CP20%)を給与したブロイラーにおけるT
4の筋肉成長促進効果は筋肉蛋白質の合成増加によるものであることを示している。高蛋白質飼料を給与した場合には,筋肉成長に対するT
4の効果は認められなかったが,これは,筋肉蛋白質の合成•分解速度が共に低下したことによると考えられる。
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