日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
28 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • スタマ ニョマン, 林 國興, 豊水 正昭, 冨田 裕一郎
    1991 年 28 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    摂取蛋白質レベルの異なるブロイラーの成長,飼料効率,胸筋重量,腹腔脂肪量およびNτ-メチルヒスチジン法による筋肉蛋白質合成•分解速度(Ks•Kd)に対するサイロキシン(T4)投与の影響を調べた。1.2ppmのT4を添加したCP10%の飼料を給与したブロイラーでは,増体量,飼料効率,胸筋重量は低下し,Ksは変わらずKdは増加し,腹腔脂肪量は減少する傾向を示した。T4を添加したCP20%の飼料を給与したブロイラーでは,増体量,飼料効率,胸筋重量は増加した。また,Ks•Kdはいずれも増加し,腹腔脂肪量は減少する傾向を示した。T4を添加したCP30%の飼料を給与したブロイラーでは,増体量,飼料効率,胸筋重量は変わらずKs•Kdはいずれも低下し,腹腔脂肪は著しく減少した。血中T4レベルはいずれの飼料区においてもサイロキシン投与により上昇したが,血中T3レベルはサイロキシン投与により低蛋白質飼料区と標準飼料区では変わらず,高蛋白質飼料区では低下した。
    以上の結果は,飼料効率,胸筋重量,筋肉蛋白質の合成•分解速度および腹腔脂肪量に対するT4投与の影響が飼料の蛋白質レベルにより異なることを示している。また,低蛋白質飼料を給与したブロイラーにおけるT4の筋肉成長抑制効果は,筋肉蛋白質の分解促進によるものであり,標準飼料(CP20%)を給与したブロイラーにおけるT4の筋肉成長促進効果は筋肉蛋白質の合成増加によるものであることを示している。高蛋白質飼料を給与した場合には,筋肉成長に対するT4の効果は認められなかったが,これは,筋肉蛋白質の合成•分解速度が共に低下したことによると考えられる。
  • 村上 保人, 藤原 昇, 古賀 脩
    1991 年 28 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の放卵に対するアルギニン•バソトシン(AVT)ならびにプロスタグランディン(PGs: PGE2,PGF)の関与を追究するために,リン酸塩溶液を卵殻腺部(子宮部)内に投与して放卵を誘起した場合の血中AVT濃度及び卵殻腺部組織中のPGs濃度の変動について検討した。推定放卵時刻15-17時間前にリン酸塩溶液を投与すると,供試鶏の58%において投与後11.3±0.7(平均値±標準誤差)分で放卵が誘起され,同時に,血中AVT濃度は誘起放卵直後に有意に(P<0.01)増加した。卵殻腺部組織中のPGE2濃度は,誘起放卵直後に有意(P<0.01)に増加したが,放卵30分後には放卵前に近い値にまで低下した。PGF濃度もPGE2の場合と同様の変動を示したが,誘起放卵前後における濃度変化に統計的な有意差は認められなかった。次に,あらかじあインドメタシンを投与した供試鶏にリン酸塩溶液を注入した場合,誘起放卵は観察されず,血中AVT濃度はリン酸塩投与5分後にわずかに上昇したが,その後,大きな変動は認められなかった。一方,溶媒(ゴマ油)を投与した対照鶏にリン酸塩溶液を注入すると,誘起放卵の有無に関係なく血中AVT濃度は増加し,投与10分後には最高値に達した。この場合,リン酸塩溶液投与10分後の血中AVT濃度はインドメタシン処理鶏の同時期の血中AVT濃度に対して有意に(放卵が誘起されなかった場合,P<0.05;放卵が誘起された場合,P<0.01)高かった。以上の結果から,鶏の放卵の際には,卵殻腺部のPGs濃度の増加によって卵殻腺部の収縮運動が活発となり,それによってAVTが放出され,さらに,収縮運動が高まるものと推察された。
  • 卵黄と胚,雛および成鶏血漿の比較
    田名部 尚子, 小川 宣子
    1991 年 28 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの卵黄と胚,雛および成鶏血漿のプレアミルブミン蛋白質の電気泳動像につき,エストロゲン依存たんぱく質に重点をおいて比較した。卵黄主要リンたんぱく質であるホスビチンの泳動帯は,プレアルブミン-1の移動度の遅い域に,ローダミンB-リンモリブデン酸塩形成法によって染色され検出された。しかし,エストロゲン依存たんぱく質のプレアミルブミン-2(Pa-2)の泳動帯は,この方法で染色されず,リンを含むことは認められなかった。またプレアミルブミン-2は,卵黄と産卵鶏,孵卵20日の胚ならびに,初生雛の血漿に見出されたが,16週齢の未成熟雄雌雛血漿や成雄鶏の血漿には見出されなかった。
  • 唐澤 豊, 清水 伸也, 宮野 典夫, 平林 国男
    1991 年 28 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニホンライチョウ(Lagopus mutus japonicus)の若鳥(133日齢)と成鳥(865日齢)に,ナラの葉ミールを20%含むナラ飼料,グラスミールを20%含むグラス飼料あるいは両者を等量,合わせて20%含むナラ+グラス飼料を10日あるいは11日間給与しこれらの飼料の利用性について検討した。
    1. 若鳥,成鳥込みの体重はどの実験飼料の給与によっても,有意に変化しなかった。実験に用いたライチョウの体重は,全実験終了時に9.5-22.0gの増加が認められた。
    2. 成鳥の実験飼料摂取量は,すべての飼料区で前報なみの16-23g/日/500g体重であったが,若鳥は約31g/日/500g体重で,これはライチョウの年齢によって飼料摂取量が影響される可能性を示している。
    3. 乾物消化率は,飼料間に,また成鳥と若鳥の間で差はなく,60-61%で前報の64-65%より若干低かった。
    4. 粗繊維消化率は,前報の約半分の21-28%で,ナラ+グラス飼料が最も低く,またこの飼料でのみ成鳥が若鳥より低い傾向が認められた。
    5. 窒素蓄積率は,ナラ,ナラ+グラス,グラス飼料で,若鳥がそれぞれ21,20及び33%で成鳥がそれぞれ15,15,26%と若鳥が成鳥より高く,グラス飼料が他区より高い傾向があった。また本実験でえられた値はいずれも前報のそれより低かった。
    6. 粗脂肪利用率は,72-86%,可溶無窒素物利用率は78-83%といずれも前報なみに高い値が得られた。
    7. 維持代謝エネルギー要求量は,若鳥が490-500kJ/日/500g体重,成鳥が340kJ/日/500g体重で,成鳥の値はすでに我々が報告した結果とほぼ一致していた。代謝エネルギー値は,前報同様すべて12-13kJ/gDMであった。
    以上の結果から,ナラ飼料,ナラ+グラス飼料とも実用的に十分使うことのできる飼料であることが再確認され,またニホンライチョウの飼料摂取量や体重維持のための代謝エネルギー要求量は年齢によって影響されることが示唆された。
  • 古田 賢治, 今西 禎雄
    1991 年 28 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏舎で汚染させた(自然汚染)検体,自然汚染検体に付着していた細菌を増殖させた培養菌液及び培養菌液で汚染させた(人工汚染)検体を用いて消毒剤の効果を比較した。
    培養菌液中の細菌に対する効果は高く,著しく低濃度でなければ培養菌液と消毒液を混合後15分以内に菌は死滅した。自然汚染検体に対する効果は人工汚染検体に対する効果よりも劣り,浸漬24時間後にも菌が生き残り,浸漬前の菌数と比較した減少率は10-2.5-10-3.4であった。
    消毒液を霧状にして散布すると浸漬した場合に比べ効果は更に低下し,散布24時間後の自然汚染検体における菌数減少率は散布前の菌数の10-0.7-10-1.2であった。
    これらの事実から,培養菌液を対象として行う消毒剤の効力評価を再検討する必要のあることを指摘した。
  • 斉藤 修, 杉山 和男
    1991 年 28 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーの生産構造では,伝統的なオープンカーテンの鶏舎からより一層飼料効率の改善と省力化に効果のある環境統御しうる鶏舎への移行があり,鶏舎は重装備化した。この重装備化は生産者の純利益を減少させることになったので,インテグレーターは契約生産者の支払い水準を上昇させて対応せざるをえなくなった。ほとんどのインテグレーターは直営型インテグレーションを展開していないが,これは参入のための必要資本額が増大しているのに対して,生産者の資金調達が限界に達したためである。これまでインテグレーターは生産段階を中心として,処理加工場の近くに他のプラントを集中させ,また生産効率の良好な生産者の規模を拡大させることによって,コーデネーションの程度を強化しようとした。しかし,生産の過剰傾向のもとで低コスト生産を持続的に追求することは,かえって産業全体としても市場成果を悪化させることになるので,インテグレーターは販売戦略を差別化や製品開発に転換している。このことは高付加価値の製品の増大や二次加工機能の充実によって,インテグレーションの程度を高めることになる。しかし,二次加工でも集中度でみれば寡占的競争構造が形成されており,またTyson FoodsやConAgraは合併によってGoldKistやHolly Farms Foodsよりも規模を拡大して市場地位を強めている。
    ブロイラーも鶏卵と同様に遠距離輸送とコーンの調達ではコーンベルトに近接するのが有利である。しかし,ブロイラーでは移動の必要資本額が多額であるばかりでなく,鶏卵のインライン•システムのような大きな技術革新がみられないことが,コーンベルトへの立地移動の制約条件である。インテグレーターにとって立地上の不利性は,高付加価値の製品開発や市場での競争力の拡大によって吸収されつつあるといえよう。
  • 古田 賢治, 目加田 博行, 林 信義
    1991 年 28 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏に強制的に換羽を誘起させ,産卵を停止している期間及び産卵再開後の血清性状について検討した。
    1) 病原微生物に対する抗体価,ワクチン接種で賦与された抗体価には換羽による影響が認められなかった。また,抗体陽性鶏の検出率にも影響がなかった。
    2) 換羽して産卵を停止すると,血清中の総蛋白質,アルブミン,血液尿素窒素,ビリルビン,無機燐の量は産卵を継続している状態に比べて有意に低下した。ヘモグロビン,ブドウ糖及びコレステロールについては影響が認められなかった。
    3) 換羽し産卵を停止している鶏の血清中のアルカリ性フォスファターゼとグルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミラーゼの活性値は産卵継続中より高くなり,亜鉛混濁度は低下したが,グルタミン酸ピルビン酸トランスアミラーゼの活性値には影響がなかった。
    4) 産卵の停止によって変動のみられた上記血清成分量と酵素活性値は産卵クラッチにより影響されていることが示唆された。
  • 東 善行, 伊藤 宏
    1991 年 28 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    高い消毒効果を必要とするSPF鶏の平飼いおよびケージ飼育室の消毒について検討した。次いで,消毒後の飼育室にSPF鶏を収容し,飼育による室内の菌数の変動および飼育をしながら実施した飼育室床面の水洗と消毒液散布の効果について検討した。
    1) SPF鶏を淘汰し,水洗した平飼いおよびケージ飼育室1cm2当たりのそれぞれの付着菌数は床面で103.6と102.9,壁面で102.6と102.2,天井で101.4と101.3であり,平飼い飼育室に比べてケージ飼育室の菌数が少なかった。水洗後に逆性石鹸とヨードホールを順に散布したところ,菌数はそれぞれ101.6と101.5, 101.2と100.8,および100.8と100.5に減少した。さらにホルムアルデヒド燻蒸の実施で菌は検出されなくなった。
    2) 消毒した飼育室に鶏を収容5週後には,床面1cm2当たりの菌数は飼育室水洗後の菌数とほぼ等しい103.2(平飼い飼育室)と103.3(ケージ飼育室)となったが,壁面と天井における菌数の増加は床面と比べ少なかった。また,平飼い飼育室とケージ飼育室の菌数には差がなかった。
    3) 鶏を飼育しているケージ飼育室で,毎週床面を水洗し消毒液を散布すると,床面の菌数の経時的な増加が抑制されることが示唆された。
  • 1991 年 28 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
feedback
Top