日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
28 巻, 3 号
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  • 都築 政起, 若杉 昇
    1991 年 28 巻 3 号 p. 131-141
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニホンウズラの耳房(ear tuft, ET)系統と喉房(throat tuft, TT)系統との交雑から得られたF1,F2世代および両系統への戻し交配世代における突然変異形質の出現頻度を調査し,以下の結果を得た。
    (1) 交雑個体群中には,両親系統と同様の房毛,耳口異常,および咽喉部に突出した骨を有するものが観察された(外部異常)。これらの異常のうち少なくとも1つを有する孵卵15日胚の出現頻度は,F1,F2世代およびET,TT両系統への戻し交配世代において,それぞれ,33%,28%,27%,および51%であった。これらの出現頻度は,以前の研究で明らかにされている第一鰓裂(hyomandibular furrow, HF)異常を有する孵卵5日胚のそれぞれの交配世代おける出現頻度,59%,60%,58%,および64%よりも有意に低いものであった。しかしながら,外部奇形を示した大部分の胚は,TT型奇形を示すもの及びET型奇形を示すものに分類することができ,それらの分離比はTT型奇形がET型奇型に対し優性であると仮定した場合の分離比に一致した。この結果は孵卵5日胚のHF異常を指標にして行った実験の結果と同様であった。孵卵15日胚の異常はすべてHF異常に起因すること,孵卵5~15日の間に胚の集中的な死亡はみられなかったことから,5日胚に生じたHF異常の一部が修復されたために,孵卵15日胚で異常出現頻度が減少したと考えられた。
    (2) 交雑個体には上述の外部異常の他に,両親系統と同様の頭部骨格異常が発見された(内部異常)。孵卵15日胚におけるこの異常の出現頻度は上述の各交配世代においてそれぞれ,61%,72%,59%および77%であった。これらの値は,上述の外部異常の出現頻度と比較して有意に高いものであった。この結果は,遺伝子作用が種々の異なった器官または組織において発現するような場合には,それぞれの形質を総合的に検討しそれぞれの形質がもつ特徴間の差異を把握することが重要であることを示している。
    (3) また,上述の各世代において観察された59~77%の頭部骨格異常の出現頻度はいずれも,ET系統,TT系統における頭部骨格異常の出現頻度(共に約90%)よりも有意に低いものであった。ET系統あるいはTT系統と正常対照系統との交雑を行った場合,いずれも,F2および戻し交配世代において23%および45%程度の頭部骨格異常胚が出現すること,すなわち,ET,TT両系統が保有するそれぞれの突然変異遺伝子の浸透度は約90%で一定であることが知られている。これに反し,本研究では,ET系統とTT系統を交配した場合には,頭部骨格異常の出現頻度が両親系統よりも有意に低下する現象が観察され,これはそれぞれの突然変異遺伝子ならびに両系統の遺伝的背景の相互作用によるものと解釈された。
    (4) ET形質とTT形質は互いに対立形質であることが,孵卵5日胚のHF異常を指標にした対立性検定の結果確認されている。一方,本研究では,孵卵15日胚の頭部骨格異常は対立性の検定を行う際の指標として不適当であることが判明した。これらの事実は,遺伝分析を行う際,着目する形質と観察の時期が極めて重要であり,遺伝様式の分析には高い浸透度で発現される形質が,対立性の検討には遺伝子作用の特徴が強く反映される形質が有効であることを示している。
  • 吉村 幸則, 田村 達堂
    1991 年 28 巻 3 号 p. 142-146
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    この実験の目的は鶏卵胞顆粒層細胞が自己の増殖を調節する細胞増殖因子を産生する可能性を検討する事である。第2位卵胞の顆粒層細胞をM199培地中で2日間培養し,上清をコンディションドメジウム(GCCM)として回収した。さらに,細胞の非存在下でインキュベーションした培地を対照コンディションドメジウム(CFCM)として得た。一方,1mM dibutyryl cAMP(dbcAMP)を含むM199培地を用いて顆粒層細胞の存在/非存在下で調製したコンディションドメジウムをcAMP-GCCMおよびcAMP-CFCMとして回収した。次に,新たに分離した顆粒層細胞をこれらのコンディションドメジウムを用いて培養し,培養6日目に細胞数を計数した。GCCM区とCFCM区との間では,細胞数の有意な差は認められなかった。しかし,cAMP-GCCM処理区の細胞数はcAMP-CFCM処理区のものより有意に大きかった。これらの結果から,顆粒層細胞はcAMP刺激によって細胞増殖因子を産生し,この因子は卵胞発育過程における顆粒層細胞の増殖に関与する事が示唆された。
  • イサリヨドム スパポーン, 大嶋 浩, 後藤 昌弘, 奥村 純市, 村松 達夫
    1991 年 28 巻 3 号 p. 147-158
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリヒナの成長予測の精度を向上させるため以前開発したアミノ酸モデルを基礎にして,飼料中の総含硫アミノ酸(SAA)に占めるメチオニンの割合と総芳香族アミノ酸(AAA)に占めるフェニルアラニンの割合が大幅に変動する飼養条件でも利用できるコンピューター支援アミノ酸モデルを作成した.成長試験の結果から,ヒナの成長とSAA中のメチオニンの割合及びAAA中のフェニルアラニンの割合との関係を指数関数で表わし,予測モデルの主たる枠組みを作製した.本モデルの妥当性は文献中に発表されている値と比較することによって検討した.その結果,以前のモデルに比較して本モデルによれば,成長成績予測精度がかなり向上することが判明した.
  • 真島 傑, 山本 興三郎, 岡田 育穂
    1991 年 28 巻 3 号 p. 159-165
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    十種類の動物(ウサギ,ブタ,ガチョウ,アヒル,カモ,ラット,ハムスター,ウシ,シチメンチョウ,ホロホロチョウ)より血漿を採取し,補体してニワトリのリンパ球毒性試験に用いた。そして,ニワトリのリンパ球に対する自然細胞傷害性,三種類の同種免疫抗体を用いた際に示される細胞傷害指数(C.I.)ならびに細胞傷害試験におけるニワトリリンパ球の形態変化について,各動物間で比較を行った。
    ウサギの血漿は,ニワトリのリンパ球に対して高い細胞傷害性を示した。これに対して,ラットとハムスターの血しょうは細胞傷害性が低く,その他の動物はウサギと,ラットならびにハムスターの中間の値を示した。
    C.I.は,3種類の抗体いづれを用いた場合でも,ウサギ,ラットおよびブタの血漿を用いた時高い値が示された。一方,鳥類の血しょうを用いた際は,カモとアヒルを除きC.I.はホ乳類のものを用いた場合より低い値を示した。
    抗体と水禽類の血漿で処理を行ったリンパ球は著しく膨化したが,他の動物の血漿を用いた際にはこの現象は認められなかった。
  • 木村 正雄
    1991 年 28 巻 3 号 p. 166-169
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 28 巻 3 号 p. 170-192
    発行日: 1991/05/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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