日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
28 巻, 5 号
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  • 菅原 邦生, 久保 辰雄
    1991 年 28 巻 5 号 p. 251-255
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    不断給餌していた成雄鶏6羽を供試して,給餌中断後の呼吸商と熱発生量の変化を自動呼吸試験装置で経時的に測定した。
    呼吸商は給餌中断後最初の7時間に,0.87から0.73に徐々に低下し,その後は呼吸試験が終了する70時間後まで0.70から0.75の範囲にあった。
    給餌中断後の熱発生量の変化は呼吸商の変化と類似しており,さらに日内変動がみられた。また消灯前の1時間はそれより前の4時間の平均値より有意に高くなった。一日当りの熱発生量は絶食経過日数に伴って減少したが,2日目と3日目の間には有意な差はなかった。
    以上の結果は,不断給餌していた成雄鶏では給餌中断後24時間で基礎代謝の状態に達し,絶食時熱発生量は中断後24から48時間の間で測定できることを示すものである。
  • 真島 傑, 奥村 仁一, 岡田 育穂, 山本 興三郎
    1991 年 28 巻 5 号 p. 256-260
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    移植片対宿主反応における脾腫能力の違いによって選抜された,HA系統とLA系統の間で,3,6ならびに9週齢における末梢血液中の総白血球数,各白血球数,補体価ならびにヘマトクリット値を比較した。
    総白血球数は,3週齢および9週齢では系統間で有意な差違は認められなかった。しかし,6週齢では,LA系統がHA系統に比べ有意に高い値を示した(P<0.05)。総白血球の差はリンパ球数の差違に依存しており,6週齢ならびに9週齢でLA系統のリンパ球数はHA系統の数を上回った。一方,単球および顆粒球の数は両系統間に差違は認められなかった。ヘマトクリット値は,3,6週齢でLA系統の値がHA系統の値を上回ったが,9週齢では両系統間に有意な差は認められなかった。マレック病抵抗性および白血球数の差違に基づいて抗原刺激が加えられた場合の両系統のリンパ球増殖能力に関し考察が行われた。補体価は,3週齢で両系統間に差違は見られなかったものの,6,9週齢ではHA系統の値がLA系統に比べ,有意に高い値を示し(P<0.05),これらの系統が鶏の補体系の研究に有用であることを示唆した。
  • 安藤 忠司, 林 政実, 吉田 巌, 高延 壮男, 山内 高円, 一色 泰
    1991 年 28 巻 5 号 p. 261-265
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    WL-O系統,WL-B系統及び内在性ウイルス遺伝子の部分発現のある個体群の3群を用いて,内在性ウイルス遺伝子と細胞表面レセプター遺伝子が鶏染色体上でどういう位置関係にあるのかを後代検定法を用いて調査した。
    その結果,gs抗原とchf活性の分離比はそれぞれの遺伝子座が同一染色体上にある場合の期待値に近く,我々は,少なくとも一対のgag遺伝子とenv遺伝子が同一染色体上にあるものと結論した。そして,これらの遺伝子は,ev-3遺伝子座のGsgsの対立遺伝子と同じ性質のものであろうと推定した。一方,B亜群ウイルスに対する細胞の感受性と,gs抗原及びchf活性の分離比については,両座位が独立の場合の期待分離比に近いので,B亜群ウイルスに対する細胞のレセプター遺伝子座とこの内在性ウイルス遺伝子座とは異なる染色体上にあるものと思われた。
  • 5. 日本鶏,日本周辺鶏,西洋鶏の比較
    田名部 雄一, 飯田 隆, 吉野 比呂美, 新城 明久, 村松 晉
    1991 年 28 巻 5 号 p. 266-277
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本鶏17品種(尾長鶏,小国,東天紅尾曳,鶉尾,土佐地鶏岐阜地鶏,大軍鶏小軍鶏,矮鶏,蜀鶏,蓑曳,薩摩鶏,声良,地頭鶏,烏骨鶏,岩手地鶏)と日本本土周辺鶏3品種(チャーン,対馬地鶏,済州島地鶏)合計1102羽について,血液蛋白質多型を支配する遺伝子構成の比較により,その相互の遺伝的関係を調べた。また,外国鶏4品種(5系統)についても比較検討した。調査した18座位中,血漿アルカリ性ホスファターゼ(Akp, Akp-2),血漿エステラーゼ1(Es-1),血漿アミラーゼ1(Amy-1),血漿トランスフェリン(Tf),血漿アルブミン(Alb),血漿ポストアルブミンA(PasA),血漿カタラーゼ(Ct)の8座位に多型が認められ,他の10座位は固定していた。この遺伝子頻度のデータからNEIの式により枝分れ図と,主成分分析から散布図を作成して,品種の遺伝的相互関係を調べた。今回始めて調査した済州島地鶏は岐阜地鶏と比較的近かったが,他のものとは関係が遠かった。日本鶏の祖先は主に弥生時代に朝鮮半島から入ったと推定されるが,地頭鶏,岐阜地鶏,蜀鶏など著しく遺伝子構成の異なるものがあり,また周辺鶏種である対馬地鶏,チャーンも遺伝子構成が多くの日本鶏とかなり異なっている。これらのことから日本鶏種の成立過程はかなり複雑であると考えられる。
  • 唐澤 豊, 坪田 竜一, 崎山 千陽, 前田 充則, 山口 盛允, 丸山 富一郎
    1991 年 28 巻 5 号 p. 278-283
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    一般のブロイラー飼育場において,盛夏(8月)と晩秋(11月)に死亡した2週齢までのそれぞれ158羽,222羽のヒナについて,尿酸塩沈着症の発生状況を調査した。
    1. 尿酸塩沈着症がみられたヒナは,いずれも5日齢以下で,晩秋には死亡ヒナの9%に当たる20羽もあったのに,盛夏にはわずか1.3%の2羽にすぎなかった。晩秋のヒナの日齢別発生率は,2日齢に28%,3日齢に20%,4日齢に18%,5日齢に15%と日齢がすすむにつれ低下した。
    2. 尿酸塩沈着ヒナのすべての尿管に,重度の尿酸塩の沈着が認められ,尿管は充満した白色泥状の尿酸塩のため排泄不能の状態を呈していた。また,脚部の関節,趾蹠及び筋肉表面にも重度の尿酸塩の沈着がみられ,尿酸塩沈着ヒナの70%に当たる14羽の脚部に結節が認められ,結節付着部である関節,趾蹠は腫大していた。
    3. 尿酸塩沈着ヒナのほとんどの肝臓,心嚢膜,腹膜,腸間膜には,尿酸塩が付着していたが,重度のものはあまり見られず,大部分は組織面に粉をまき散らしたような状態で組織に密着していた。
    4. 腎臓は尿酸塩沈着ヒナすべてで腫大,褪色しており,組織はもろかったが,尿酸塩の沈着はあまり認められなかった。
    5. 尿酸塩沈着ヒナの肝臓と腎臓の尿酸濃度は,他の死亡ヒナと比較して前者は7-18倍,後者は約2倍であったが(P<0.01),肝のキサンチン濃度は両ヒナの間に有意差が認められなかった。
    6. 脚部の関節,趾蹠,筋肉表面の白色結晶は,Murexid反応陽性を示すことから,尿酸塩であることが確認された。
    7. 尿酸塩沈着ヒナには,他の死亡ヒナと比べ著しい成長の遅滞がみられた。以上の結果から,晩秋期のブロイラーは2-5日齢に尿酸塩沈着症を高頻度で発症していることが明らかになった。
  • 武政 正明, 土黒 定信
    1991 年 28 巻 5 号 p. 284-293
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    脱脂米ヌカのオートクレーブ処理が雛におけるリンの利用率に及ぼす影響を明らかにするため,2つの実験を行った。
    実験1:脱脂米ヌカを種々の条件(温度は110, 115, 120, 125°Cの4水準,時間は1, 3, 5時間の3水準)でオートクレーブ処理し,一般6成分,リンの形態別及びアミノ酸の各含量変化を調べた。
    その結果,脱脂米ヌカの一般6成分は処理条件が過酷になるほど粗蛋白質,粗脂肪,粗繊維含量は増加し,可溶無窒素物が減少する傾向がみられたものの大きな変化ではなかった。フィチンリン含量は処理温度が高くなるほど,処理時間が長くなるほど減少した。フィチンリン及び無機リン以外のリン(この大部分はフィチンリン以外の有機リン)もフィチンリンと同様,処理温度が高くなるほど,処理時間が長くなるほど減少した。そして,両者を合わせた減少量にほぼ相当する量の無機リンが増加した。同時に,脱脂米ヌカに含まれるアミノ酸のうち,特にリジン,アルギニン含量が著しく減少した。125°C-3時間及び5時間処理ではフィチンリン含量はほぼ半分に減少し,リジン及びアルギニン含量は6割~7割減少した。
    実験2:無処理またはオートクレーブ処理脱脂米ヌカ10%を含む低リン飼料を雛に給与し,その発育,趾灰分等を測定したところ,処理脱脂米ヌカ飼料を給与した雛は,無処理脱脂米ヌカ飼料を給与した雛に比べて,増体量,飼料摂取量,飼料効率及び趾灰分含量は有意に高かった。オートクレーブ処理による雛の趾灰分含量の増加量は,125°C-3時間処理の場合には無処理脱脂米ヌカ飼料に無機リン0.2%を,110°C-3時間処理の場合には無機リン0.1%をそれぞれ添加した場合といずれも有意差のない成績であった。
    これらのことから,脱脂米ヌカをオートクレーブ処理することによって,フィチンリン等が分解して無機リンとなり,脱脂米ヌカに含まれるリンの雛における利用率が改善されることが明らかになった。
  • 楠原 征治, 大橋 知男
    1991 年 28 巻 5 号 p. 294-299
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    卵管卵殻腺部に糸の輪を通すことによって実験的に作製した軟卵産生鶏の上皮小体を組織学的および酵素組織化学的に観察した。さらに骨髄骨の組織学的観察と血漿カルシウム値の測定を行うことによって,軟卵産生鶏における上皮小体ホルモン(PTH)の作用を考察した。
    軟卵産生鶏の上皮小体主細胞においては,正常卵産生鶏に比べてミトコンドリアおよび粗面小胞体などの細胞質小器官の発達が悪かった。成熟した分泌顆粒は比較的多くみられたが,細胞膜にこれらの放出像は認められなかった。酵素活性においては,酸性ホスファターゼ(ACP),コハク酸脱水素酵素(SDH)および乳酸脱水素酵素(LDH)活性は正常卵産生鶏と同様であったが,アルカリ性ホスファターゼ(ALP)活性が正常卵産生鶏と比べて極端に弱かった。
    軟卵産生鶏の骨髄骨は正常卵産生鶏のものよりも著しく肥厚しており,骨髄骨表面の骨芽細胞および破骨細胞は少数で,萎縮像を示しているものが多かった。また,軟卵産生鶏における血漿カルシウム値は,正常卵産生鶏に比べやや上昇していた。
    以上の結果から,実験的軟卵産生鶏においては卵管結紮により卵殻カルシウムの分泌が停止し,また上皮小体のPTHの分泌も抑制され,そのため骨髄骨の破骨細胞による骨吸収が抑えられ,骨髄骨が肥厚することが示唆された。
  • Fazlollah AFRAZ, 山本 義雄, 岡田 育穂
    1991 年 28 巻 5 号 p. 300-305
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏における胸腺摘除並びに胸腺移植がマレック病に対する遺伝的抵抗性に及ぼす効果について研究した。供試した鶏群は移植片対宿主反応能について高,低二方向選抜によって確立されたGVHR-HA及びLA系統である。孵化時にそれぞれの系統の雛より胸腺を摘除し(摘除群),またそのうちの一部の雛については,他方の系統の胸腺を移植した(移植群)。手術後マレック病ウイルスを接種し,未処理の対照群と比較した。対照群ではHA系がLA系より抵抗性を示したが,摘除群ではHA系の抵抗性が低下したのに対し,LA系の抵抗性は逆に増大した。移植群では,両系共抵抗性の低下がみられたが,対照群に比べ有意な低下がみられたのはHA系のみであった。この結果は,胸腺移植によってマレック病感受性も移されることを示唆している。
  • 1991 年 28 巻 5 号 p. 306-310
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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